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零崎空識の人間パーティ 30-33話

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「--ってか、なんで俺はここにいんの?」
「なんでって。空識君きてって電話して、『まだかなー』ってゲームキューブ準備して待ってたのに、来ないから探しに出かけたら、空識君が路地裏で血まみれで倒れているのではありませんか!」
「ありましたのかー」
「これはやばい!と思いがんばって家まで運んで、この『神様のカルテ』を読破した零崎白織が手当をしたと言う訳なのです」
「『神様のカルテ』ってそんな話だっけー……。 それと俺はプレステ2派だからねー」
「ということで空識君は、私に感謝の言葉を校長先生の挨拶並みに述べるべきなのです!」
「感謝の言葉はモチロン述べるけどそんなに長くしたくないよー。 それに今リアルに貧血状態だしなー」
「この軟弱物が貧血だと情けない!!」
「ひどいー! 腹をスパって切らて普通だったら輸血必要レベルの血を出したのにー!」
「だまれ! 男なら傷ぐらいベホイミでふさいでしまえ!」
「何故に魔法で、しかもベホイミチョイスー!?」
「ドラクエって面白いよね」
「そうですねー」
(……なんだこの高校生的なノリ? ――まあ、年齢的にはおかしくはないのだけど……)
 なんかよくわからんものに空識がさいなまれていると、白織は不思議そうな顔をして聞いてきた。
「そういえばなんで空識君はあんな怪我をしていたの? 空識君をここまで追い詰めるのは並大抵のことじゃないと思うけど」
「ああ、まあちょっと双識さんとあってねー。ちょっとやばかったよー」
「へーそうなんだ」
「たっくもー。俺が正しくないのは分かってるけどよー。本当に勘弁してほしいよー」
「へーそうなんだ」
「……どうしたの白織ー?」
 なぜか双識と聞いてからの白織の態度が某有名女優ぽくなってしまった。
「別にー」
「駄目押しキターー!! ――とふざけるのはたいがいにしといてー。 マジな話し白織、双識さんをどうにか説得してくんない妹だろー」
 その言葉聞いた途端、捻くれた様にしていた白織が突然クワッと目を見開き、叫ぶように言った。
「嫌だ!!!! だれがあの変態やろうと関わろうとするか!! 私は存一あいつだけは同じ家族であることを全身全霊をもって恥じてるんだ!!!! 私はあいつの妹なんかじゃない!!!!」
「いや……えっとなにがあったのー?」
 若干白織の変わりように引き気味に押され気味の空識は、申し訳なさそうに聞くと水を得た魚とばかりに白織は濁流のごとく双識に対する愚痴を述べ始めた。
「いや最初は尊敬していたよ! 私を『零崎一賊』に誘ってくれたのは感謝してるし、それで空識君と会えたからこのことに関しては感謝しかないけど!! メールアドレスを教えたが最後よ!! なにあのメール量読むのだけで疲れるし、変な深読みで変なメールしてくるし!! マジで無理!! 『精神崩壊(マッド・ミュージカル)』の私が精神崩壊しかけたわよ!! それに...etc」
 この後白織の愚痴は小一時間かかりました。
 

<第三十三話 家族の順位>


「--つまりは関わりたくないわけなの!」
「へェー。ソウナンデスカー」
(リアルに三十分愚痴愚痴と愚痴を聞かされましたよ。マジでお腹いっぱいです)
 さすがの空識もうんざり顔を隠せなくなっていた。
「--まあ、それでも感謝してはいるわ。 おかげで空識君の幼馴染にならずにすんだわけだし」
「へっー? どゆことー?」
「ほらさ、このごろのアニメとか幼馴染とかって負けフラグじゃない?」
「ああー、そういえばそうだよねー。ずーと主人公に想いを寄せていたのに、空から降ってきた女の子とかに主人公をとられる展開ってよくあるねー」
「だからそれに関しては双識さんには感謝してるけど……。 あの変態っぷりは無理!! 私はあの人の妹じゃない!!」
「ソウデスカー」
(同じようなこと何回言うつもりだよ……。ああ、めんどいなー)
 空識は脂っぽいモノを食べすぎた時に感じる、胸やけのようなものを感じていた。
「けど私、空識君の妹で姉だからねー! お得だよ普通はありえない二つの要素を持ってるっだよ! 凄くない!」
「まあ、それは正直にすごいけどー。実際どうでもいいわー。俺に妹姉属性ないしー」
「なっ、なんだと!!」
 白織はがっくしと効果音がなるほどに肩を落とした。
「えーマジでー。 妹属性も、姉属性もないの。なにそれ私の数少ない強みが……」
「ってかー、もう俺『零崎一族』じゃないしー」
 白織の表情は驚愕の一言に支配された。
「おぅ……。 完全に思考の外にいたよ……」
「はぁ……ー、別に良いんだけどさー。白織はさぁー、俺が倉識さんを殺したことー……。--家族を殺した事は気にしていないのー?」
 そう空識が聞くと白織は少し困ったような表情をした。
「--別に気にしてないわけではないわ。けど、良いことではないと分かっているけど、倉識さんより空識くんの方が大切だと思っているから。……それに、これでも空識くんの事良く分かっているつもりだから」
「………」
(--……やっぱり俺コイツ苦手だな)
「そんなことより、なんかして遊ぼうよ! プレステやる? スマブラやる? そ・れ・と・も、xボックス?」
 空気を変えるように白織はテンション高くした。
「いやー、あんましゲームする気分じゃないなー」
「そう……」
 空識の返答に露骨に落ち込んだ白織だったが、
「だったらなんかお話して!」
「お話ー?」
「うん! 私が知らない空識くんの話して」
「俺の話かー……、ハリウッドで映画化できるような奴はないけどー」
「いや、そこまでのクオリティーは求めてないから」
「それじゃあー」
 少し頭を抱えた空識はこの話を選んだ。
「俺が『千刀流』を習得した時の話でもしようか」