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第四話　タマゴといっしょ

「で、その年上の男の子をぼっこぼこにしちゃったと…」
「う、うん…」
ただいま父さんに説明中なボク。
なにせ授業終わってるのに帰ってこないから、居残りだったんじゃないかとか思ったらしい。
…ライセンスクラスに居残りなんてないけどね。
で、理由を説明してたんだ。

「にしてもヌケニンか…また渋い選択するねぇ、俺たちの娘よ」
「レンタルのドラゴンポケモンって技微妙だもん、ヌケニンならふしぎなまもりで無双できるし」
てかやっちゃったし。
「ふ…ははははは！！さすがアユム！この年で特性まで覚えてしまってるとは！！」
「ホント、アユムは頭がいいのねぇ。私、特性なんて最近考え始めたのよ？」
母さん、貴方はコンテスト専門でしょうに。

「さてさて、アユム。今日のビックイベントだよ！」
そう言って父さんはタマゴを二つ、持ってきた。
「父さんと母さんのポケモンで余ってたタマゴがこれしかなかったんだ。
俺にはどっちがどっちのかわからない。知ってるのは母さんだけだ。
さあ、好きな方を選びなさい。」

右のタマゴは左より小さい気がする。
きっと母さんの…小型ポケモンのタマゴなんだろうな。
…いや、まてよ？
母さんはかっこよさ部門もたくましさ部門もマスターランクだ。
もしかしたら左のタマゴが母さんのかもしれない。
いや、でも母さんがタマゴを産ませるのならきっと美しさ部門だろうな。
…よし！

「…ボク、左のタマゴにする。」
「そうか。生まれてからもしっかり面倒みるんだぞ」
「うん！」

こうして、タマゴとの生活が始まった。
毎日、話しかけた。
毎日、磨いてあげた。
毎日、ひなたぼっこもしていた。
父さんのポケモン達や母さんのポケモン達と語ってる時も一緒にいた。

そんな、ある日だった。

「…最近、こつこついってるんだよなぁ…」
コツコツどころかよく動くようになっていた。
「もうすぐのはず…なんだけどなぁ」
そう言いながら撫でていた。
「まぁ、君がどんなポケモンかは知らないんだけどさ、無理に生まれなくていいんだよ？
そりゃあ…すぐに生まれたらすっごく嬉しいけど。急がなくてもさ、いいんだよ。」
そう言いながら撫でていた。

ぱきっ

「…ん？」
殻が…割れた？

ぱきっ…ぱきぱきっ

「！！？」
ボクは息を潜め、待った。

ぱきぱきっ…ぱこんっ

「………」
……うま…れた…。

『……だれ…』
「ボクのこと？」
ポケモンに言った。
『……うん』
「ボクはアユム。君の相棒だよ」
『あい…ぼう…？』
「そう。相棒。これからよろしくね、ストライク。」
『……よろしく、アユム。』


こうして、ボクは相棒━━ストライクと出逢った。
この後数年後、衝撃的な進化をするとは、ボクは夢にも思わなかったのだが。