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氷雲しょういち
氷雲しょういち
novelistID. 39642
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第6Q これで終わりだからな!!

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1ー黒子テツヤ
「紺野さんに先をとられましたが、僕もいます」
海常の一人をなんなく抜いた僕は黄瀬くんの前に立った。
「……まさか、思っても見なかったっス。黒子っちとこんなふうに向かいあうなんて」
「僕もです」
黄瀬くんは不敵な笑みを一瞬浮かべ、言った。
「なにをするつもりか知らねっスけど、オレを抜くことはできねぇっスよ!」
と同時に僕の右を駆け、抜いた。
しかし、彼の侵犯はすぐに止まった。
火神くんが立ち塞がったのだ。
その硬直、一瞬の硬直を狙い、僕は手を伸ばした。
タンッ
静かにバックチップでボールを突き、火神くんに渡る。
火神くんは走り抜き、ダンクを決めた。
次の海常の攻めもやはり黄瀬くんで、また僕の前で一度立ち止まった。
「それなら、抜かなきゃいいんスよ」
そう言って、彼はボールを高らかに上げた。
「外の3P(スリー)がないなんて、言ってないっスよ」
僕はやはり届かない。だけど、
バシンッ
火神くんなら届く。
結局別の選手により海常の点が入ったが、黄瀬くんを止めたのは現状一番の強みだ。
平面は僕、高さは火神くん。
このマークは堅い。
「一人なら、僕も、火神くんでも無理です。でも、二人でなら止められる」
黄瀬くんはイラついたような顔をして、言った。
「帝光には、こんなバスケ、なかったスよ。火神と黒子っちみたいな協力前提のマークも、紺野っちのパスも」
伊月先輩は火神くんにパスをした。
「あと、もう一個思いついたんだな、これが」
火神くんは黄瀬くんに言い、黄瀬くんの左へボールを放った。
黄瀬くんは火神くんが左に移動するのだろうと左へ身体をひねった。だが、火神くんは右に動き、
パシンッ
目を疑った黄瀬くんの背中をボールが通った。
「火神が、黒子にパス!!」
そして、僕が火神くんに即返す。これで黄瀬くんを抜いた。
火神くんはダンクを決め、32-35。
僕のカゲの薄さを利用したこの攻撃は、いくら黄瀬くんでもコピーできない。だから強力な武器に、攻撃になるのだ。
次の攻めももう一度同じ事をやり、僕にパスが来る。
だが、『同じ手は喰らわない』と火神くんに足を向けた黄瀬くんを見て、即ルート変更をして、紺野さんに渡した。
「今度は、紺野?!」
振り向く海常勢と笑みを浮かべた火神くん。そして、3Pラインから紺野さんは通常のシュートを撃った。
スパンッ
ボールがくぐり、35-37。
「一応、3Pも撃てるんだな、これが」
微笑みを浮かべつつ、紺野さんもしてやったり顔だ。
汗のかきかたに不安を覚えるが。
黄瀬くんは少し荒々しく、「クッソ、」と言いかけながら腕を振った。僕の眼前で。
ガッッ
彼の肘は僕の頭をかすった。
動揺する黄瀬くんをよそに、先輩たちが駆け寄る。
「大丈夫か、黒子?!」
「って、血出てるじゃん!!」
僕は片目をつむって、
「大丈夫です。まだまだ試合は、」
これからでしょう、と続けるには体力がなさ過ぎた。
僕はぱたりと倒れ、日向先輩の絶叫とともにベンチに戻された。

2-紺野舞
黒子くんが倒れ、黄瀬くんはショックを隠せないようだ。たしかに、今のはお互い不本意だったに違いない。
ベンチに運ばれる黒子くん。私はそれを見届けて、歩き出した。
否、倒れた。
またも体育館で二度目の日向先輩の絶叫が木霊したのは言うまでもない。

私が目を覚ますと、ベンチに横になっていたようだった。
「あ、紺野さん、気づいた?」
相田先輩が顔を覗いてきた。
焦点が合って、頭の痛みに気づいた。
「ちょっ、まだ寝てなさい、紺野さん。全く、黒子くんがベンチに入った直後に倒れるなんて……びっくりしたわ」
「私、どうしたんですか?」
「たぶん、発作が一時的に暴発したのよ。汗も尋常じゃないし。まぁ、数回とは言え、黄瀬くんのマークさせたりしたからだろうね。今は発作落ち着いてるんだろうけど、氷枕だし、そこで寝なさい」
「……試合は?」
「今、再開されたとこ。っていっても、二人が倒れたのが第1Q終了直前だったから、今第2Q。二人の代わりに、水戸部くんと小金井くんを入れたわ」
「……ニセは?」
「火神くんが抑えてもらうようにしたけど、実際コピられるから、攻撃はダメって言っといた」
バカ神くんは聞かなかっただろうけど、どうしたんだろ、と苦笑しながら横を向く。
誠凛ボールからのようだ。
「大丈夫でしょうか……」
「やぁね、うちら二年はあのメンバーだけで決勝に行ったような曲者よ。実際、それぞれ武器があるし、強いわよ」
相田先輩はニヤリとし、二年たちを見やった。
私も見ると、ちょうど誠凛の攻撃で伊月先輩にボールが渡っていた。
「まず、伊月くん。鷹の目とクールな頭脳で弾き出される最適パスルートを見極めるPG!ただしたまのダジャレが寒いのが惜しいっ」
伊月先輩は、小金井先輩のスクリーンで相手を振り切った日向先輩にパスした。
「次は主将でありSGの、日向くん。優しいときは並の人。でも、勝負所には3Pを決めまくるクラッチシューター!クラッチタイムの時は取扱注意よ」
3Pを決め、小さく、しかしドスのきいて低く響いた声で「ざまぁ~」というつぶやきをする日向先輩。
「あと、水戸部くんは縁の下の力持ち。無口で誰も声聞いたことないけど、優しくしっかり守るC」
「……小金井先輩は?」
「あ、コガくんは、器用貧乏なF」
「……それだけ?」
「それだけ」
「………………」
いろんな意味を含めた視線を向けるも、「とにかく、」と相田先輩は無理矢理振り切った。
「あいつらはそこまでヤワじゃないわよ、ってこと」
私は視線の意味合いをどけて、普通に試合を見た。
お互い順当に点を重ねていった。
さて、インターバル。
第2Q終了までで77-81。点差は広がったが、仕方ない。むしろ、2点しか広がらなかったことがすごいと言えよう。
私とホクロくんが抜け海常はやはり今まで以上にニセにボールを回し始めた。
バカ神くんのディフェンスだけでどうにかなる相手でもない。
だから、
「なにいってるの?!あなたは出さないわよ、紺野さん!」
と、私の出場許可をあっさり取り下げられた。
「でも、喘息は落ち着いています。たった5分しかでなかったんですよ!それでインターバル込みで20分。四倍も休んでるからもう大丈夫です!」
相田先輩も他の先輩たちも苦虫をかじったような顔でためらっている。
そこへ、バカ神くんが言った。
「いんじゃね?です。実際、今は息が上がってねぇし、今の10分間でかなり見慣れたろ、あいつらの動き。だったら、もっと行けるだろ、紺野。それに、あんだけで終わるわけねぇしな」
私も口角をあげてそれに応えた。
相田先輩はため息を勢いよくついて、言った。
「まぁ、実際今のままじゃ点差開くばかりだろうし。そうね……いいわ。出しましょう」
「ただし、ぶっ倒れそうになったら止めろよ。もちろん、それ以上は、って思ったときには俺たちも止めるからな。あと、」
日向先輩は私の肩に手を置いて言った。
「敬えよ、俺らを」
とドスのきいた声で言った。
「え、あ、はい」
私は笑顔でそう言って、立ち上がった。
さて、ちょうど第3Q開始だ。
また誠凛ボールだ。まず、このメンバーで一番体力の残量がある私にボールが来た。