とある転生者の話(第二部)
side:シルバー
……心配だ。
のほほんと能天気に送り出すあいつを見て不安になった。
変な奴に絡まれないか。
変な事に巻き込まれてないか。
結局集中出来ず、町に戻る事にした。
予感は的中。
あいつとあの馬鹿が言い争ってる。
すぐにアユムを連れて戻ればいいのに、オレはなぜか隠れていた。
オレが盗んだワニノコは三匹の中でも強いと感じた奴だ。
当初はワニノコも戸惑いをみせていたが、すぐに慣れたのか素直に言うことを聞くようになった。
そんな所も気に入っていた。
あの馬鹿はワニノコを博士に返すためにオレを追っていたらしい。
盗んだのは事実だ。
いつかは…返さなくてはならないだろう。
しかし、今は強くならなければならない。
今はワニノコは不可欠だ。
それを話した事はない、なのにアユムは知っていた。
理由も聞かずになぜか一緒にいる。
そして、正論を言っているヒビキに対し、怒りを露にしていた。
「――他の誰が、例えシルバー本人が許しても―ボクは許さない。」
そう言い切った。
オレハアイツヲリヨウシヨウトシテルノニ。
ソンナコトバヲイワレルシカクナンテナイノニ。
オレハアイツノムスコナノニ。
アイツトイッショデアクニソマッテシマッテルノニ。
心臓がキリキリと痛む。
オレはアユムを裏切ってる…?
オレを知ったらアユムはヒビキの味方をするんじゃないか?
ヒビキとアユムのバトルが始まった。
作品名:とある転生者の話(第二部) 作家名:紗雅羅