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とある転生者の話(第二部)

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side:ハッサム

(やっぱり倒れたか…)
俺はアユムを抱えてため息をついた。
先程のアユムは言わば怒りで【我を忘れている】状態だった。
この状態は、滅多に怒りを見せない彼女が怒りを露にするとなるもので、第二人格と呼んでもいいほど性格が変化する。

そして厄介なのは、この最中の記憶はない。

彼女の経緯は知っている。彼女自身が話してくれた。
多分、彼女が男っぽい事を封印しようとするあまりに歪んで出来てしまったのだろうと。
母上に「俺」という言葉使いや男らしい行動を制限されているからだろうか。
アユムはお人好しだ、母上が傷つかないよう、精一杯忠実に守るに違いない。
なので、【我を忘れた】後の始末を俺は頼まれていた。
が、流石に俺が人を抱えていたら怪しまれる。
すると、隠れていたシルバーが駆け寄ってきた。
「アユムっ!」
……俺は気付いてたからな?
お前、試合が始まるくらいからずっと隠れていたろ。
気にくわないがアユムはこいつを気に入ってる。
それに今の状況では贅沢言ってられない。
『おい、隠れていた事は不問にしてやる。
さっさと部屋に運べ。』
どうせ言葉はわからないだろう。
身ぶりをしようにも抱えているから出来ない。
仕方なく伝わらないのを覚悟で何度も言った。
コイツなりに一生懸命聞いていたらしい。
かなり悩んだ末に言った。
「…運べって言ってるんだな?」
それに頷いてやる。
「オレよりお前のが力あるぞ?」
…そんな事分かっとるがな!!
世間体を考えてみろ!
俺が運んだら誘拐犯だろ!!
スリーパーのせいで、自分のトレーナーでも抱えてると睨まれるんだよ!
「…まぁ、お前がいいなら」
睨んだのが効いたのか、しゃがんで背中を差し出す。
背負わせてやると、すっと立って歩き始めた。
……やれやれ、二人共が自分の気持ちに気付いてないとは。

先が思いやられるとはこの事だな…。