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とある死神の平行世界

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御坂妹と別れて、寮に着いた頃には既に陽が沈んですっかり夜になっていた。


「ただいま。」


「おかえりーいちご!」


「あっ!おじゃましてます先輩!」


「ツナ来てたのか?ワリィな、料理なんかしてもらって。」


「いえ、俺も好きでやってるだけなんで!」


インデックスが来てからも、この隣人であるツナがたびたび家に来て料理なんかたまにしてくれる。
なんともいい後輩をもったもんだ。


「でもね、ご飯作ってくれるのはうれしんだけど量が少しもの足りないんだよ~…」


「作ってもらう立場で何言ってんだよ!しっかり味わってありがたくいただけ!シスターの名が泣くぞ。」


「いちごは毎回毎回そうやって私をバカにして!」


「あー…はいはい。」


スイッチが入ったインデックスの小言はとにかく長い。
なので、最近スルースキルがかなり高くなった気がする。


「ところで、ツナは俺になんか用があったじゃねぇのか?」


一護はここで話題を切り替えるべく、ツナに話を振る。


「あっ…えっとー…そのー…。」


ツナは歯切れの悪い感じでごにょごにょと独り言をつぶやき始めた。
そして急に顔を上げて、


「あの、俺の部屋に少しだけ来ていただけませんか?二人で話がしたいんです。」


ツナがこういう時は大抵なにかしら大きな事件が多い。
嫌な予感しかしないが、だが後輩の願いをむげにできない。
一護はだまって頷いて隣のツナの部屋に移動した。


「んで、なんの話だ?」


「えっと…最近の御坂さんのそっくりさんの話、聞いた事ありませんか?」


「御坂のそっくり?…あー、それならさっき御坂にそっくりな妹を見たよ。それがどうしたんだ?」


「それじゃあ、学園都市がレベル5のクローン実験を行っているっていう噂は?」


「それはー…聞いた事ないな。」


レベル5のクローン?
そんなものいくらこの学園都市だからって簡単に作れるわけがない。
一護はただの噂話をツナが持ち込んだのかと思い、少し拍子抜けしていた。
だが、次に出てきたツナの言葉に一護は驚きを隠せなかった。


「そのレベル5のクローン。超電磁砲《レールガン》御坂美琴のクローン、通称妹達《シスターズ》を使った、人体実験がこの学園都市で行われている。って俺が言ったら信じてもらえますか?」


「人体実験だと?」


一護はそう簡単には言葉の意味を整理できなかった。
そんなまさかよりにもよって御坂のクローンが?
だとすると…。


「まさか、俺が今日会った御坂妹が?」


「おそらく、御坂さんのクローンで間違いないと思います。」


「だとしてもだ。学園都市はそのクローンを使って何をしているんだ?どっかで戦争でもしようってのか?」


「いえ、今回の実験での目的は絶対能力進化計画《レベル6シフト計画》。学園都市第1位である一方通行《アクセラレーター》をレベル6にするための実験です。御坂さんのクローンである妹達《シスターズ》をいくつもの状況で二万体殺す事でレベル6になれる。その演算結果をツリーダイアグラムが出したことでこの実験が始まりました。」


ツリーダイアグラム
学園都市製の人工衛星で、その中には高性能を誇るスーパーコンピューターを搭載されていた。
されていた、という表現をするのはこの間のインデックスの一悶着によって破壊されてしまったのだ。
あれに関しては、原因不明の事故ということで片付けられている。
つまり、


「その実験を止める為にその第1位を倒せばいいのか?」


「まぁ、ざっくり言えば。」


つまり、一度ツリーダイアグラムが出した演算を実験の責任者に間違いだったということにすれば実験は中止になる、ということだ。


「その実験はどこでやってるんだ?」


「白井さんに頼んで部屋に入れてもらって調べると、こんな紙を発見しました。おそらくこれが実験場所のポイントを表していると思います。」


「わかった。んじゃ、行きますか!」


一護はすぐさま立ち上がって玄関に向かう。


「先輩!」


「まってろ!すぐこんなふざけたこと終わらせてやる!」


「アクセラレーターは先輩が本気出さないとおそらく殺されますよ!」


「俺をなめてんじゃんぇぞツナ!帰ったらなんかおごれよ!」


そう言い残して、一護は夜の学園都市を走り始めた。

作品名:とある死神の平行世界 作家名:スバル