遊戯王異聞録-DUEL SURVIVOR-
序章-かくして、運命は牙を剝く・4
突如、視界が大きく揺れる。
揺れは収まる気配を見せず、列車はまるで幼児に揺さぶられる箱のように振動に弄ばれる。
晶と神奈はとっさに床に伏せる。
「晶、これ…」
「地震だな。しかも、かなり大きい」
神奈と晶の会話を遮り、けたたましい音が鳴り響く。
その後殺到するGに、晶は床から引き剥がされそうになるが、何とか床にしがみつき堪える。
(緊急列車停止装置が働いたのか…でも…)
窓から見えていた海の上の景色を晶は思い出す。
ここはオノゴロ人工島への架け橋の上。
万一、橋が崩れたり列車が脱線して橋から落ちれば、晶達はひとたまりもない。
不意に世界が回転する。
(列車が横転した!?)
晶は咄嗟に神奈を抱きしめる。
平時ならきっと赤面するだろう神奈の身体の感触も匂いも、今は感じるどころではなかった。
(なんとか、神奈だけでも…!)
晶のそんな思考は一瞬の後、
ガツン!
という音とともに、目の前に火花が散り、霧散した。
そして、晶の意識は白い闇に堕ちていく。
作品名:遊戯王異聞録-DUEL SURVIVOR- 作家名:六堂 修羅