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涼風 あおい
涼風 あおい
novelistID. 18630
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また出会えたその時は、

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日向くんと再会してから、あっという間にひと季節が経とうとしていた。季節はもうすぐ夏だ。

「ゆりっぺ!英語の宿題見せてください!!」
休み時間に入るなり、目の前にやってきて両手を合わせ頭を下げる男を呆れ気味に眺める。
これで何度目だ。
GWがあけてから、授業も段々と難しくなり、課題も増えた。それが部活に精を出している日向くんにとってはキツイらしい。最初はわからないところを聞いてくる程度だったのに、最近ではほぼ写すという有様だ。
日向くんのためにならないと分かっていながら、自分を頼ってくれることを少し嬉しく思ってしまうから断り切れない。
とはいえ、毎度毎度タダ見せするのにもいい加減うんざりしてきた。
「駅前の喫茶店のケーキ1個で手を打つわ」
「うえぇ!駅前の喫茶店ってあそこだろ!?高くねぇ!!??」
「だから奢ってもらうんじゃない。今まで何度も無償で見せてきたんだから、たまにはいいでしょう?それが嫌なら自分でやれば~?」
片手で頬杖をついたまま、もう一方のノートを持った手で追い払う仕草をする。
日向くんをいじるのは楽しい。根が素直なのか反応がおもしろくてついからかってしまう。それはあたしのみならず、他のクラスメイトや部活仲間からも大抵そんな扱いだった。
「ほーら、どうするの?もう時間ないわよ?」
英語の授業は次の次だが、今回は量が多かったから、写すとはいえ休み時間だけでは時間不足だろう。と、すれば、次の授業中の時間も使うしかない。したがって、この休み時間中に借りられなければアウトだ。
日向くんは頭を抱えてひとしきりうんうん唸った後、もう一度両手を合わせて頭を下げた。
「わかりました!ケーキ奢らせてください!ノート見せてください!!」
「交渉成立ね」
嬉々としてノートを受け取り、自分の席で早速写し始めた日向くんをぼーっと眺めながら改めてバカだなぁと思う。友達の多い彼なら、無償で見せてくれる子もいるだろうに。
特にやることもないのでそのまま観察していると、彼の友達が何人か集まってきた。
「なぁなぁ、前から気になってたんだけどさ、お前と仲村さんってけっこー最初から仲いいけど、同中だったとかなん?」
「いや、俺コイツと同中だったけど仲村さんいなかったぜ?小学校とか?」
「どっちでもねぇよ。んー…まぁ昔な、ずっと前に、付き合いが、あったんだよ」
手を休めずに返答しているせいか、言葉がカタコトになっている。
彼の周りにはいつも友達がいる。人懐っこさと明るさのおかげで、とっつきやすいらしい。
そういえばあの世界でもそんな存在だったなと昔を思い出す。面倒見もよかったので、新人は大抵日向くんを介して他のメンバーとも馴染んでいっていた。
「仲村さん、ちょっと気が強そうだけど美人だよな~」
「あれでいて、2人きりになったりすると甘えてくれたりすんのかな~。ツンデレってやつ?」
「スタイルもいいしな!いいよな~~羨ましいぜ日向」
「日向ぁ、ちょっと取り持ってくれよ~」
会話の内容に気まずくなって、目線を机の上に戻す。普通、同じ教室内に本人がいるのにそういう話するかしら。
とはいえ、正直悪い気はしない。
「悪魔に魂を売る気かお前ら…。つーかお前ら席戻れよ!俺は今宿題やってんの!忙しーの!邪魔すんなよ!」
本人たちは故意に邪魔をするつもりがないにしろ、結果的に日向くんの集中力を削ぎ、作業ペースを落としていた。「わりぃわりぃ」と、軽く謝りながら散り散りになっていく。
つーか誰が悪魔だ、それも聞こえてるっつーの。
日向くんが再び集中し始めた頃、始業を告げるチャイムが鳴った。


「ゆーりっ!一緒にご飯たーべよっ♪」
ご飯ならいつも一緒に食べてるというのに、いつもと違うテンションで近づいてきたひとみに警戒心を抱く。
嫌な予感がしたので、今日は天気がいいから中庭に行こうと教室から連れ出す。
「で!で!?どうなってるの日向くんとは!」
「どうって…どうもこうもないけど」
案の定コレだ。教室から離れてあまり人の来ない裏庭に移動してきて正解だった。
何かと恋愛事にしたがるひとみを、煩わしく思った時期は正直、ある。けれど嫌いにならなかったのは、自分にはないそんな女の子らしさを羨ましく思ったり、かわいいなと思ったりもするからだ。
「またまたぁ~。ちゃっかりデートの約束してたじゃないのさぁ~~」
「デートの約束なんてしてないけど」
全く身に覚えがない。
「け・え・き、食べに行くんでしょう!?デートじゃない~~~」
目をキラキラさせたひとみの周りにはピンクや赤いハートが浮かんで見える。
どうして他人の話にそんなに興味を示せるんだろう。あたしにはできない。
「べつにあれはそういう意味で言ったんじゃ!」
「またまたぁ~隠さなくてもいいのに~。入学式の朝は知らないフリしてたくせにさぁ~翌日にはあだ名で呼ばれちゃってるし!入学式の日、何があったのか教えてくれないんだもんなぁ~~~」
「だから、入学式の日の朝は気づかなかったんだって。後々思い出したのよ。それだけだってば!」
「いっつもそうやってはぐらかすんだからー」
嘘は言ってない。けれど何度そう言ってもひとみはなかなか納得してくれず、頬を膨らませて拗ねられる。
「そんなことより、お弁当食べましょ?お腹空いちゃったわ」
お腹が空いているのは嘘ではないが、この話題を打ち切りたかったのが本音だ。
お互い箱を開けて、いただきますと言っておきながらまだ一口も食べていなかったお弁当にしばし集中する。
食べることに集中している時の話題は、どうでもいいクラスの噂とか、恋愛事以外の近状報告とか、そんなようなことだ。
中学までは給食だったから、こうしてお弁当を食べるのは密かな憧れだった。学食にも憧れて一度行ったが、混んでるし上級生が多いしで落ち着かなかったから止めた。いずれリベンジしようと志し、しばらくはお弁当ランチを満喫することにした。
「ん~~ごちそうさまっ!」
「ごちそうさま」
当り障りのない話をしつつ食事を終わらせると、さぁて食後のお楽しみの甘いデザートね!…というテンションでひとみがまた絡んできた。
「まだ付き合ってなくても、ゆりは日向くんのこと好きなんでしょ?」
「はぁ!!??」
「だって現国の時間、ずーっと日向くん見てたじゃない。違うの?」
「ち、違うわよ!!あれは…」
「あれは…?」
現国の時間といえば英語の前の時間だ。休み時間の会話の後、なんとなくそのままぼーっと眺めていた…確かに、見てた…けど、あれに意味なんて…。
「な…なんとなく…?ノート貸したから気になっちゃって!」
自分でもわからない行動に曖昧に笑ってごまかそうとする。
ふぅ~ん、と言いつつも全然納得していないひとみがこわい。
「あ、ほら、そろそろ戻らないと!ねっ!」
広げていたお弁当箱を手早く片付け、荷物をまとめて先に歩き出す。
「まったくゆりったら…。無意識に目で追ってしまう、は立派な恋の始まりよー!」
後ろから聞こえてくる言葉は、聞こえなかったことにした。
もしも…もしも本当に日向くんを好きになったとしたら、それは果たして今のあたしの気持ちなんだろうか。
ふとそんな疑問が頭の中をよぎった。


「おっはよーさん!」