世界一初恋 高x律 最初で最後の恋
--- 10年前、俺の好きだった奴は突然消息不明になった
高校三年の頃、俺は他人に関心を持たないよう努め、
自分が傷つかないように人と距離をとっていた
そんな俺の廻りで、最近下級生がチラチラ様子を伺ってることを知った
俺のストーカー『織田律』
本人は気付かれていないと思っているだろうが、
俺は数ヶ月前からヤツの存在を知っていた
「この本、俺以外でも借りるんだ」
最初はそう思っていたが、以前読んだ本を数冊手に取り貸出カードを見ると
俺の名前の下に必ずアイツの名前が書いてあった
男が男のストーカーをする。少し興味があった
だから、アイツが俺に告白した時、「いいけど?俺はつき合っても」と答えた
冗談ではないが、本気でもない
だけど・・・
いつの間にかアイツが俺に与えてくれる無償の愛を”嬉しい”と思い、
一緒にいるだけで”幸せ”を感じていた
そう・・・これが俺の『初恋』
*
丸川書店 エメラルド編集部
俺は少女漫画の編集長をしている
男ばかりの編集部だが、そこいらの女子よりも乙女度MAXだ
俺はお荷物編集部を一年で立て直し、且つ『郷に入ってば郷に従え』精神で
部内のカラーはピンク一色、ぬいぐるみや人形などを配置している
だが、入稿前になるとピンク色からドス黒い色となり、生きた屍が床に転がる
大体20日周期で月刊誌を作成している為、校了直前は他部署の奴らも近寄らないほどだ
そんな俺のストレス発散方法と云えば、
酒、タバコ、そして読書
学生の頃から学校の図書室で閉館になるまで本を読んでいた
独りの部屋に帰りたくなかった俺は、図書室が一番の安らぎの場所だった
だから、未だに校了明けには図書館へ足を運び、本を読む
しかし、最近もう一つ図書館へ足を運ぶ理由が出来た
それは、彼に逢うためだった
作品名:世界一初恋 高x律 最初で最後の恋 作家名:jyoshico