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世界一初恋 高x律 最初で最後の恋

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初めて逢ったのは今から半年前
自宅マンションの近くにある図書館で、何時も通り目的の本を探していると
サラサラの栗色でスラリとした青年が俺の目の前を横切った
腕には角遼一の『瓶の蓋』を大事そうに抱えていた

俺も借りようと思っていた小説だったから、自然と背表紙のタイトルへ視線を向けた
その視線に気付いたのか、青年は苦笑しながら「直ぐ読み終えると思いますので」と
小声で俺に話しかけた

「あ・・いえ。すみません」
振り返り様に見た青年の目の色は、珍しくエメラルド色の瞳だった

--- 綺麗だ

色白の肌に栗色の髪、そして瞳はエメラルド色
一瞬で俺の鼓動が高鳴る

10年ぶりの感覚
今まで『織田律』以外で心から欲しいと思った人物はいなかった

それからというもの、校了明けには必ず図書館へ赴き
自然と彼を探していた



毎回逢える訳ではない
それでも逸る気持ちを抑えつつ、閲覧室で彼を待つ

昔とは違い、現在は個人が登録するICカードを使って自動貸出システムが適用されている
ライブラリープライバシー、個人情報が漏れないようにセキュリティが強化されている

つまり、彼の借りた本を再び手にとっても『名前』が分からないということだ

久しい訳ではないので、直接名前を尋ねることも出来ない
”気持ち悪い”と思われるのは厄介だ

--- 昔のアイツもこんな気持だったのかもな・・・

10年前の恋人を思い出し、ニヤリと口角が上がった



開館時間から閲覧室で張っていた時、彼が小脇に本を抱え歩いてきた
表情からして若干疲れが伺えたが、嬉しそうに俺の斜め前の席に座る

ジッと見つめていると、俺に気付いたのかペコリと軽く会釈し「こんにちは」とポツリとつぶやく
声を掛けられたことで、我に返り返事を返す

やってることは中学生のようだが、それでも今日のミッションは達成された
半年かけて、やっと俺を覚えて、挨拶を交わす仲になった