世界一初恋 高x律 最初で最後の恋
俺の誕生部はクリスマス・イブである12月24日だ
小野寺は俺の誕生日を覚えているか定かではないが、
イブには一緒にケーキを食べる約束を無理やり取り付けた
年末進行も重なり、正直体力及び精神的にも厳しいが
一度失った恋人を取り戻す為なら、鞭を打ってでも乗り越えるだけの自信はあった
丁度イブは休日であった為、朝から小野寺を拉致し一緒にケーキを買いに行く
小さな苺のホールケーキ
『織田律』と一緒に過ごすイブをシュミレーションしていたことを思い出す
二人で食べるケーキの大きさはどのぐらいか?
プレゼントは何にしようか?
実際はイブを迎える前に別れてしまった為、今回が初めてのイブとなる
*
シャンパン、チキン、クリームシチュー、ケーキとテーブルに用意し
時間的には少し早いが、早速パーティを開始した
「乾杯」
カチンとグラスを交わし、食事を取る
小野寺は最初こそ渋っていたが、食べ始めると「美味しいです」とニコニコと笑みを浮かべる
食事が終わり、ケーキを食べる為にコーヒーを淹れる
小野寺は食事のお礼と称して、洗いものを手伝ってくれた
俺は用意していたクリスマスプレゼントを渡した
緑色の皮製のブックカバーとシルバーチェーンのブックマーカーだ
本が好きな小野寺に使ってもらいたいと考え購入した
小野寺は真っ赤な顔で「ありがとうございます」と礼を述べると「ちょっと待ってて下さい」と言って
一旦部屋を出て行った
暫くして戻ってきた小野寺の腕の中には、包装されたプレゼントが二つ用意されていた
「これは、クリスマスプレゼントです」
緑色の包装紙+赤のリボンに包まれた箱を渡す
中身は黒皮の万年筆
「こっちが・・・誕生日プレゼントです」
オレンジ色の包装紙+黄色のリボンに包まれた箱を渡す
こっちは俺がプレゼントしたのと同じゴールドチェーンのブックマーカーだった
正直、クリスマスプレゼントを用意してくれていただけでも驚いたのに
誕生日を覚えていてくれたことが、とても嬉しい
「あっあの・・・お誕生日、おめでとうございます」
耳まで赤く染まった顔で、上目使いで俺に伝える
--- もう・・我慢できない
小野寺の腕を引っ張り、掻きむしるかのように抱きしめる
逃げないように、離さないように、離れないように・・・
サラサラの栗色の髪に指をさしこみ、耳元で囁く
「嬉しい。ありがとーございます」
小野寺は背中に手を伸ばし、抱きしめ返した
「・・・学生の時、嵯峨先輩と一緒のクリスマスを想像してて・・
ケーキの大きさやプレゼント何にしようかとか・・・
だっ・・だから・・・」
小野寺から続く言葉を俺は唇で塞いだ
最初は啄ばむようにキスを落すし、舌で唇を割って口腔を掻き乱す
熱い都いきを漏らしながら、上顎を舐めて、舌を絡ませ強く吸う
何度も何度も角度を変えながら口づける
カクンッと足の力が抜けた小野寺と一緒にズルズルと床に座り込む
抱きしめた腕は離さずに・・・
「律・・・好き・・好き・・・」
熱に浮かされたように耳元で甘く囁くと、小野寺は言葉には出さずコクリと頷く
--- 戻ってきた・・俺の宝物
狂おしい想いが胸に疼いて、抱きしめた感触が、声が、鼓動が、俺を温かく包み込む
少し離れ目を合わせると、微笑んでくれた
心臓がうるさく鼓動を高鳴らせる
「もう逃がさない。俺はお前を離さない。
お前が離れたいと言っても、俺は二度と手放す気はないからな」
--- お前なしでは生きていけないと気付いたから・・・
小野寺は顔を歪め泣きそうな表情で俺を見上げる
俺はサラサラしている髪を軽く梳きながら、「抱くぞ」と声を掛け、小野寺を寝室へ連れて行った
作品名:世界一初恋 高x律 最初で最後の恋 作家名:jyoshico