世界一初恋 高x律 記憶喪失
--- 俺の話しを聞いて・・・律
「俺、記憶がないって話したよな?」
「・・・・・」
「四国に行く前の記憶がないんだよ」
言いたい事わかるよな?小野寺は俯いたまま何も返事をしない
ハァーと一回息を吐き出し、順を追って話しを続けた
「お前と・・まぁー実際は再会ってことなんだろうけど、
今の俺にとっては”初めて”出会って、一緒に仕事をするうちに、魅かれていったんだ。
それと同じ時期に同じ夢を何度も繰り返し見るようになった。」
コーヒーを一口含み、話しを続ける
「学校の図書室で、俺はずっと”誰か”を探してるんだよ
で、『先輩』って声を掛けられて、振り返ると目が覚める」
「重版祝いで呑んだ時、お前”嵯峨先輩”って言っただろ?
その時、理解したんだよ。
夢の中でずーと待ってた相手は、お前だって」
「記憶は全部思い出した訳じゃなかった。
でも、別に過去は過去で良いんだけど・・・
俺が好きなのは今のお前で、それは変わらないし譲れない」
「・・・それなら・・どうして話してくれなかったんですか?」
「俺が旧姓”嵯峨政宗”だって言ったら逃げるだろ?」
「・・・・っ」
「直感だったけどな、怖かったんだよ。お前を失う事が。
だから黙ってた・・・ごめん」
「・・記憶・・どこまで戻ってるんですか?」
「あー今日、お前に回し蹴りくらった夢みた」
「は?」
「なんか、お前が俺に好きかって聞いてたな」
え?え?と小野寺は記憶が無いらしく「俺、知りませんよ?」と首を傾げる
「教えてよ。何で俺達別れたの?」
「だ・・・だから、俺が先輩に”俺のこと好きですか?”って聞いたら鼻で笑われて・・・
遊ばれた!って思って・・・」
ゴニョゴニョと俯きながら答える
俺は今日見た夢をもう一度思い出して、ポンと手を叩いた
「あーそれって”コイツ今更何言ってんの?”って思ったんじゃね?」
「へ?」
「だから、俺達は勘違いして別れたんだよ」
カーーーーッと顔を真っ赤にして、目を見開き俺を凝視する
「そう言うことなら、もう一度口説いてもいいよな?」
俺は小野寺の傍まで行き、ぎゅっと抱きしめる
「好きだ・・律」
お前は?と尋ねる
「お・・俺も・・・高野さんのこと・・好きです・・・」
「嬉しい」
触れた指先から伝わる懐かしい感触
サラサラしている髪を優しく梳きながら、緩む口元を抑えられない
俺は記憶を失っても、またお前に出会って好きになった
好きになるのに「理由」はないんだよ
お前だから、小野寺律だから俺は何度でも魅かれるんだ
一生、離してやらないから覚悟しろよ・・律
end
****>> おまけ※漫画6巻 NO.10参考(会話のみ)
数日後・・・
「あのさ、お前『織田』って名字じゃなかったか?
親離婚したの?」
「へ?・・・・あ゙あ゙ーーーっ!!!!」
「何?」
「いや・・・あのぉ・・・すみません!!すみません!!」
「ハァ?」
(数分経過)
「お前・・・可愛過ぎだろ!!
だが・・純粋な俺を騙してたんだから、ちゃんと罰を与えないとな(ニヤリ)」
「・・・・・っ!」
律っちゃんは翌日腰痛の為、会社をお休みしました・・・なんてね
end
作品名:世界一初恋 高x律 記憶喪失 作家名:jyoshico