世界一初恋 高x律 出会えた奇跡
--- 最近、隣の部屋に新しく引っ越してきた奴がいる
普段から不規則な生活を送っていると、ご近所状況など気にもしないのだが・・・
偶々ドアノブに”引越しの挨拶”と称して、サランラップ数本入っていた
「まぁーご丁寧なことで」
一定の距離を保ち、他人に関心を持たないように一歩下がって接している日常を送っていると
こんな些細なことでも、少し嬉しくなってしまう
中に入っていた挨拶文を見ると
『前略
○月○日に1202号室に越してきました小野寺と申します
何度かお伺いしたのですが、お留守のようでしたのでお手紙にて失礼させていただきます。
仕事上、不規則なため、しばらくの間、夕方から片付け等でお騒がせすることと思いますが、
何かご迷惑になることがございましたら、どうぞ遠慮なくお声をおかけ下さい。
今後ともよろしくお願い致します。』
くすっ・・思わず笑ってしまった
今時、律儀に挨拶してくるなんて、珍しい
少しだけ興味を持ったので、受け取った旨をポストに入れた
それが切っ掛けで俺と小野寺の文通が始まった
*
隣人にも関わらず、互いに逢うことはなかった
何度か手紙のやり取りをはじめて三カ月が経過していた
お互い顔も知らず、よくやると思う
どうやら小野寺も不規則な生活をしているみたいだった
ベランダ越しに明かりが漏れているのを見るが、わざわざ声を掛けるほど久しい訳でもない
仕事の悩みだったり、職場の愚痴であったり、些細なことが数行綴られているだけの簡素な手紙
それでも俺は嬉しいと思い、この行為が楽しいと思っていた
作品名:世界一初恋 高x律 出会えた奇跡 作家名:jyoshico