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けいおん! LOVE!LOVE!LIVE! 〈1〉

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♯1「出会い!そして入部?」



「……すけ~、りょ……~……きて~」
うるせえなあ。いいから寝かせろよ。まだ春休みだろうが。
俺は聞こえてくる声に心の中で反論し、体を壁側へと回した。
「おきろ~、おなかすいたぞ~」
何故だろう。この言葉に俺の怒り部分が反応した。
「だぁ~、うっせえっ!朝飯ぐらい自分で作れ!それにまだ春休みだろうが!!昼まで寝かせろ!!」
勢いよく飛び起き、家事がまったくできないこのダメ姉貴に言った。
「……は?何言ってんの?」
姉の頭に疑問マークが浮かんでいる。それはこっちもだ。お前こそ何言ってる。
「今日あんた入学式でしょ。桜高の」
しばしの沈黙……。
入学式?桜高?それぞれの単語を俺は頭の中で関連するキーワードを検索しはじめ……。
「だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!しまったぁぁぁぁぁ!!」
俺はベッドから飛び出し、部屋を飛び出し、洗面所まで直行した。
顔を洗って歯磨きをし、ワックスで髪を整えた後、部屋へ引き返す。来ている服を桜高の規定服であるブレザーへとジャージからランクアップさせた。
そしてあらかじめ机の上に置いてあった鞄を持ち、玄関へ直行、靴を履いて玄関の扉を開き、階段を下りて我が自宅であるマンションっぽいアパートを後にした。
「ちょっと~!朝ご飯はぁ~?!」
「コンビニでもなんでもいいからとにかく勝手にすませろ!!」
ベランダから顔を出して俺に叫んでいるダメ姉にいい飛ばし、俺は目的地である桜高へ駆けだした。
そして幾多の罠(主に信号とか近所のおばさんとか車とか)をくぐりぬけようやく桜高の校門に到着した。
息が切れているので下を向いて整え、整うと桜高を見る。
「はあ……はあ……間に合った……」
俺は校舎を見る。綺麗だ。
俺は時計を見る。綺麗だ。ホント、時間的な意味で。
「はははは、まだ1時間も余裕があるじゃん」
……家で時計見ときゃよかった。
っていうかそのことぐらい言えバカ姉貴。
溜息をつき、俺は校門をくぐる。
これから先、3年間通い続ける高校の校門を。

生徒はまだほとんどいなかった。せいぜい元気だけがとりえそうなバカな男子や、「あれ~?間違えて早く来ちゃった~」的な女子ぐらい。
クラス表は玄関の近くの掲示板に張ってあるとか言ってあったが、まだ余裕があるため、見ずに学校の外をうろうろすることにした。
外は綺麗で池があったり、小さな森林があったりと俺が前いた中学では考えられないぐらいの綺麗さだ。
……まああの学校は花があるだけですげえんだけどな。
半周ぐらいしたところに普通の木があった。卒業樹かどうかしらないが多分そうだろう。
そんな事を思っていると、俺は木の根っこでしゃがんでいる女子生徒の存在に気がついた。
……何やってんだ。あんなとこで。
「お~い、なにやってんだ~?」
……返事がない、ただの屍のようだ。
ってそうじゃない。めげずに徐々にその女子生徒に近づいて、
「もしも~し」
女子生徒の体がぴくんと動く、そしてこっちを向き、俺と目があった。
しばしの沈黙……ってさっきやったか。
「何やってんだ?こんなとこで」
「え~とね、このてんとう虫さんを見てたの!」
……テントウムシ?
おいおい、小学生かこいつは。
俺は女子生徒の隣にしゃがみこみ、木の根っこに生えている草の上にいるてんとう虫を眺めた。
「なんでてんとう虫とにらめっこしてたんだよ」
「だって、かわいいじゃん」
そうか?俺はありのほうがいいな。
「ありさんは顔が怖いよ」
あ、そいやそうだ。幼稚園の時図鑑見て泣きかけたのを思い出した。
「ってか、そんだけ?」
「うん」
……あ~、なんとも言葉にしにくい。
「まあいいや。それより時間だから教室行かないと遅れるぞ」
腕にはめているデジタル時計を見るといつのまにか残りのタイムリミットは30分をきっていた。
「あ、ホントだ。じゃあ一緒に行こ?」
「へ?俺も一緒に?」
「うん、わたしね、まだクラス表見てないんだ」
そりゃ偶然。俺もだ。
「あ、そいやまだ名前言ってなかったな。日暮遼祐ってんだ」
「わたし、平沢唯って言うの。よろしくね、りょうくん」
――りょうくん?
「うん。遼祐だからりょうくん」
りょうくんか。りょうく――。
「ッ!」
――りょうくん……、りょうくん……。
頭が痛くなってきた。同時に誰かがりょうくんって言う声が聞こえてくる。
「どうしたの?」
「いや、なんでもない。んじゃ行こうぜ平沢」
「うん!」
俺たちは一緒にクラス表を見に行った。
それにしてもなんだったんださっきの?

「え~と、俺の名前は……あ、3組か。……って、お前も一緒のクラスだぞ」
「えっ!?りょうくんと同じクラス!?わーいわーい!」
そこまで喜ぶことか?まあいいか。
教室の場所を確認し、俺たちは1年間勉強することになる教室へ向かった。
さて、教室を見つけるだけで25分も費やしてしまった俺たちは教師へ到着する頃には既に俺たち以外の生徒の皆さまは席へおつきになられていた。
……恥ずかしい。
そう思いながら平沢と共に席についた。
たまたまなのか、偶然なのか、運命なのか、俺の後ろは平沢だった。
まあ名字も同じ『ひ』だし。近いのは当り前か。と言う事で答えは『当り前』だ。
え?選択肢にない?固い事言うなよ。たかがクイズだろ?
……ごめん、これ言いたかっただけなんだ。
席へついてしばらくすると担任らしき人物が教室へ侵入してきた。
女性で正直言うとあんま美人ではなかった。
なんだよ、俺はてっきり高校の女性教師っていうのは美人ばっかりだと思ってたのに……。
「え~と、皆さん。入学おめでとうございます。自己紹介を始めたいところですが入学式が始まるため、これから体育館へ移動します」
うわあ、入学式だ。俺の嫌いな行事ベスト3を万年キープしてる奴だよ。
「めんどくせえなあ、サボるか」
小声で後ろにいる平沢に話しかけた。
「駄目だよ、ちゃんと出ないと怒られちゃうよ」
怒られるのが怖くてサボれるか。
と男が相手ならそういいたいところだが、初日だし、真面目に式に出る事にした。
平沢って見た目以上にしっかりしてるんだな。見た目めっちゃふわふわしてそうなんだが。

「……」
「……ぐぅ……」
隣で寝ているのは平沢だ。
こいつを真面目な奴だと思った俺がバカだった。
いや、真面目なのは真面目だと思うよ?多分。
だけどさあ……。
「さて、我が桜高が共学になった訳は……」
「起きろ平沢」
「はっ!?わたし寝てた!?」
「寝てたよ、奇跡だぞ。校長の話が始まって30秒で寝るなど」
「えへへへ、どういたしまして」
「褒めてねえ!」
溜息をついて前を向いた。
横目で平沢を見ると校長の話を聞いていた。
よく見ると可愛いなこいつ……しかも黒タイツだし。
……って関係ねえ!!
それにしても、高校生か。
今の服装を見て見る。
一番上のボタンが外れ、ズボンに入れていないカッターシャツ。
ボタン全開のブレザー。
ゆるめたネクタイ。
どう考えても1年生の服装じゃねえ。明らかに不良じゃねえか。
だがそんな事は気にしない。これが俺の服装だ。なんか文句あるか?
……よろしい。
そんな事を思っているうちに殺人的麻酔力を持つ校長の話は終了し、入学式は終了を迎えた。