樹ニ入ル(誰が為に陽光は輝くネタバレ)
「手傷を負わせたかどうかはわかりませんが、あの状況から姿を消すことができる程度の人間です。一筋縄でいくとも思えない。それに」
出されたジョッキを軽く掲げてから、メディックは静かに口をつけた。
「どういう手段かはわかりませんが、あの魔物もおそらく彼の仕業でしょう。……次、もしも私たちの前に姿を表すとすれば」
静かな迫力に、ほかの皆は小さく息を飲んだ。
「全力でアルケミストを止める手段を模索しておいた方がいいかもしれませんね」
「そっちかよ!」
パラディンのツッコミに、メディックは穏やかな笑みを浮かべた。そして、大丈夫ですよと口にする。
「大丈夫です。なんとかなります。少なくとももう二度と、拾い食いの事故はないでしょうから」
「アンタも言うねぇ……」
オヤジのため息とともに、皆は再度杯をさしだした。乾杯、と。労いの言葉と笑顔で、今回のもうけばなしは終了した。
fin.
作品名:樹ニ入ル(誰が為に陽光は輝くネタバレ) 作家名:東明