we're wasting time!
それは一発の銃声が始まりを告げた。
we're wasting time!
*
ガッ、と。
足下を抉る音がした直後、彼は進行方向を変えて、傍らの店に飛び込んだ。
実際は、彼は普通に店内へ足を向けたのだと思うだろう程に自然な動作だった。
そんなに数多くはない道行く者も誰も、彼の行動を不審なものだとは思わなかった。
・・・ビルの空き部屋の一室から階下を見下ろし、スコープでその背に標準を定めていた者を含めて。
だが、その者も含めて、もしも店の出入り口の見えるその場にずっと立ち止まって観察していた者が居たのなら、少し不審に思ったかもしれない。
店に吸い込まれていった筈の客の1人が、いつまでも出てこなかったという事を。
作品名:we're wasting time! 作家名:みとなんこ@紺