機動戦士ガンダムRS 第4話 サイレントラン
ヘリオポリスは、宇宙の藻屑となりいまや無数のデブリとなっていた。
「X-105ストライク、応答せよ」
通信からは、バジルール少尉が必死に呼びかけていた。
しかしキラは、ヘリオポリスが崩壊したショックで呆然としてその通信が耳に入っていなかった。
「X-105ストライク、聞こえているか?
応答せよ」
そんなことなどまったく予想できていないバジルール少尉の呼びかけがむなしくコックピットに響き続けていた。
「X-105ストライク、聞こえているか」
(ヘリオポリスが・・・・壊れた)
しかしそんなバジルール少尉の呼びかけに反してキラは、ヘリオポリスのことしか見えていなかった。
「応答せよ」
(どうして?)
キラは、アークエンジェルが主砲を使ったことを知らなかったためなぜヘリオポリスが壊れたのか分からなかった。
※
アークエンジェルでは、非常灯が赤く点灯していたがそれが消え通常点灯に替わった。
※
アークエンジェルのブリッジでは、フラガ大尉とラミアス艦長が崩壊したヘリオポリスに釘付けだった。
「ここまで簡単にもろいとは」
フラガ大尉は、CICの席からたって吸い寄せられるようにモニターに近づいていった。
ラミアス艦長は、自分の判断は適切だったとはいえヘリオポリスを崩壊させてしまったことに罪悪感を感じて握りこぶしを作った。
「X-105ストライク、X-105ストライク。
キラ・ヤマト。
無事なら応答しろ」
「こちらX-105ストライク。
キラです」
その応答にやっとバジルール少尉が安堵した。
「無事か?」
「はい」
「こちらの位置は、わかるな?」
「はい」
「ならば帰艦しろ。
他のものは、とっくに帰艦している。
戻れるな?」
「はい」
そこで通信を切った。
※
「X-105ストライク、X-105ストライク。
キラ・ヤマト。
無事なら応答しろ」
キラは、大声で自分を呼ぶ声で我に返った。
「こちらX-105ストライク。
キラです」
しばらくしてからその声の主がバジルール少尉だと気づいた。
「無事か?」
「はい」
「こちらの位置は、わかるな?」
「はい」
「ならば帰艦しろ。
他のものは、とっくに帰艦している」
「戻れるな?」
「はい」
そこで通信が切れた。
キラは、また目の前のヘリオポリスの残骸を見た。
(父さん、母さん、無事だよな)
キラは、両親の心配をした。
そのとき救命信号を知らせるブザーが鳴った。
その方向にカメラを拡大してみると救命艇が1隻漂っていた。
「あれは、ヘリオポリスの救命艇」
キラは、シュベルトゲーベルを背部にマウントすると救命艇に近づいていった。
※
「で、これからどうする?」
フラガ大尉がラミアス艦長に今後の予定を聞いた。
「本艦は、まだ戦闘中です。
コロニー艦の動きは、掴める?」
ラミアス艦長がフラガ大尉の質問に答えロメロ伍長に質問した。
「だめです。
残骸には、熱を持ったものもありますし。
これでは、レーダーも熱探知も使えません」
その回答にラミアス艦長が表情を暗くした。
「向こうも同じと思うけどね。
追撃があると?」
フラガ大尉がラミアス艦長に気休めを言い質問した。
「あると想定して動くべきです。
もっとももうコロニー内の戦闘では、ないので死神も本気で攻めてくるでしょう。
そうなればこちらに勝ち目は、ありませんが」
コロニーが崩壊してしまった今コロニーという最大の防御でビーム兵器の使用がなかったが今は、そのコロニーがないためビーム兵器を使ってくる危険性が高い。
マン・マシーンの使うビーム兵器は、地球軍製ガンダムが使うビーム兵器とは桁違いに強力であるためラミネート装甲を採用したアークエンジェルもどこまで耐えられるかわからない。
しかもガンダムは、フェイズシフト装甲のためビーム兵器に対して無力同然である。
どうあがいても絶望な状況だった。
「だな。
こっちには、虎の子の『G』に俺とクルーゼ中佐のボロボロのメビウス・ゼロとシグーハイマニューバだけだ。
艦もこの陣容じゃな」
改めてフラガ大尉から指摘されたがアークエンジェルのブリッジの陣容は、連戦を行える陣容ではなかった。
「最大戦速で振り切れるか?
かなりの高速艦なんだろ、こいつは」
フラガ大尉は、戦うことよりも逃げる選択肢に切り替えた。
「確かに速度は、こちらが上ですが向こうは死神です。
先回りされるかもしれません」
死神の考えは、自分たちの1つ2つも上と考えるべきだと思っての回答だった。
「なら素直に投降するか?」
その提案にラミアス艦長が驚いた。
「それも1つの手では、あるぜ」
しかしそれは、最後の手あるいは禁じ手であった。
「何だと?
ちょっと待て。
誰がそんなことを許可した?」
突然バジルール副艦長が怒鳴った。
「バジルール副艦長、何か?」
ラミアス艦長が何事かと質問した。
「ストライクが帰艦しました。
しかし救命ポッドを1隻保持しています」
それには、ラミアス艦長とフラガ大尉も驚いた。
※
「認められない?
認められないってどういうことですか?
推進部が壊れて漂流していたんですよ。
それをまた放り出せというんですか?
避難した人が乗ってるんですよ」
キラは、救命艇をもってアークエンジェル内に入れない理由が分からなかった。
※
「すぐに救援艦が来る。
アークエンジェルは、今戦闘中だぞ。
避難民の受け入れなど許可できるわけ無いだろ」
バジルール副艦長は、これからすぐに戦闘になるかもしれないのに避難民など受け入れることなどできないと断言した。
さらにアークエンジェルは、慢性的な水不足もこれに拍車をかけていた。
「いいわ。
許可します」
しかしラミアス艦長は、こんな状況下でも許可を出した。
「艦長」
これには、バジルール副艦長が驚いた。
「今は、こんなことで時間を取りたくないの。
収容急いで」
「分かりました、艦長」
バジルール副艦長が敬礼した。
※
アークエンジェルのモビルスーツハッチが開きストライクガンダムがその中に入っていく。
※
「状況が厳しいのは、分かります。
しかしこの艦と『G』は、絶対にコロニー軍には渡せません。
われわれは、この艦と『G』を無事に大西洋司令部に持ち帰らなければなりません」
ラミアス艦長は、抱負を語った。
「艦長、私はアルテミスへの入港を具申します」
バジルール副艦長がラミアス艦長に具申した。
「アルテミス?
ユーラシアの軍事要塞でしょ?」
「『傘のアルテミス』か?」
フラガ大尉の質問にバジルール副艦長がうなずいた。
モニターには、宙域地図が映し出された。
「現在本艦のもっとも取りやすいコースにある友軍基地です」
バジルール副艦長がラミアス艦長に説明を始めた。
「でも『G』もこの艦も大西洋連邦所属しか友軍コードを持っていない状況よ。
それにこれらは、大西洋連邦の極秘機密よ。
それをユーラシアが受け入れるか問題よ」
「X-105ストライク、応答せよ」
通信からは、バジルール少尉が必死に呼びかけていた。
しかしキラは、ヘリオポリスが崩壊したショックで呆然としてその通信が耳に入っていなかった。
「X-105ストライク、聞こえているか?
応答せよ」
そんなことなどまったく予想できていないバジルール少尉の呼びかけがむなしくコックピットに響き続けていた。
「X-105ストライク、聞こえているか」
(ヘリオポリスが・・・・壊れた)
しかしそんなバジルール少尉の呼びかけに反してキラは、ヘリオポリスのことしか見えていなかった。
「応答せよ」
(どうして?)
キラは、アークエンジェルが主砲を使ったことを知らなかったためなぜヘリオポリスが壊れたのか分からなかった。
※
アークエンジェルでは、非常灯が赤く点灯していたがそれが消え通常点灯に替わった。
※
アークエンジェルのブリッジでは、フラガ大尉とラミアス艦長が崩壊したヘリオポリスに釘付けだった。
「ここまで簡単にもろいとは」
フラガ大尉は、CICの席からたって吸い寄せられるようにモニターに近づいていった。
ラミアス艦長は、自分の判断は適切だったとはいえヘリオポリスを崩壊させてしまったことに罪悪感を感じて握りこぶしを作った。
「X-105ストライク、X-105ストライク。
キラ・ヤマト。
無事なら応答しろ」
「こちらX-105ストライク。
キラです」
その応答にやっとバジルール少尉が安堵した。
「無事か?」
「はい」
「こちらの位置は、わかるな?」
「はい」
「ならば帰艦しろ。
他のものは、とっくに帰艦している。
戻れるな?」
「はい」
そこで通信を切った。
※
「X-105ストライク、X-105ストライク。
キラ・ヤマト。
無事なら応答しろ」
キラは、大声で自分を呼ぶ声で我に返った。
「こちらX-105ストライク。
キラです」
しばらくしてからその声の主がバジルール少尉だと気づいた。
「無事か?」
「はい」
「こちらの位置は、わかるな?」
「はい」
「ならば帰艦しろ。
他のものは、とっくに帰艦している」
「戻れるな?」
「はい」
そこで通信が切れた。
キラは、また目の前のヘリオポリスの残骸を見た。
(父さん、母さん、無事だよな)
キラは、両親の心配をした。
そのとき救命信号を知らせるブザーが鳴った。
その方向にカメラを拡大してみると救命艇が1隻漂っていた。
「あれは、ヘリオポリスの救命艇」
キラは、シュベルトゲーベルを背部にマウントすると救命艇に近づいていった。
※
「で、これからどうする?」
フラガ大尉がラミアス艦長に今後の予定を聞いた。
「本艦は、まだ戦闘中です。
コロニー艦の動きは、掴める?」
ラミアス艦長がフラガ大尉の質問に答えロメロ伍長に質問した。
「だめです。
残骸には、熱を持ったものもありますし。
これでは、レーダーも熱探知も使えません」
その回答にラミアス艦長が表情を暗くした。
「向こうも同じと思うけどね。
追撃があると?」
フラガ大尉がラミアス艦長に気休めを言い質問した。
「あると想定して動くべきです。
もっとももうコロニー内の戦闘では、ないので死神も本気で攻めてくるでしょう。
そうなればこちらに勝ち目は、ありませんが」
コロニーが崩壊してしまった今コロニーという最大の防御でビーム兵器の使用がなかったが今は、そのコロニーがないためビーム兵器を使ってくる危険性が高い。
マン・マシーンの使うビーム兵器は、地球軍製ガンダムが使うビーム兵器とは桁違いに強力であるためラミネート装甲を採用したアークエンジェルもどこまで耐えられるかわからない。
しかもガンダムは、フェイズシフト装甲のためビーム兵器に対して無力同然である。
どうあがいても絶望な状況だった。
「だな。
こっちには、虎の子の『G』に俺とクルーゼ中佐のボロボロのメビウス・ゼロとシグーハイマニューバだけだ。
艦もこの陣容じゃな」
改めてフラガ大尉から指摘されたがアークエンジェルのブリッジの陣容は、連戦を行える陣容ではなかった。
「最大戦速で振り切れるか?
かなりの高速艦なんだろ、こいつは」
フラガ大尉は、戦うことよりも逃げる選択肢に切り替えた。
「確かに速度は、こちらが上ですが向こうは死神です。
先回りされるかもしれません」
死神の考えは、自分たちの1つ2つも上と考えるべきだと思っての回答だった。
「なら素直に投降するか?」
その提案にラミアス艦長が驚いた。
「それも1つの手では、あるぜ」
しかしそれは、最後の手あるいは禁じ手であった。
「何だと?
ちょっと待て。
誰がそんなことを許可した?」
突然バジルール副艦長が怒鳴った。
「バジルール副艦長、何か?」
ラミアス艦長が何事かと質問した。
「ストライクが帰艦しました。
しかし救命ポッドを1隻保持しています」
それには、ラミアス艦長とフラガ大尉も驚いた。
※
「認められない?
認められないってどういうことですか?
推進部が壊れて漂流していたんですよ。
それをまた放り出せというんですか?
避難した人が乗ってるんですよ」
キラは、救命艇をもってアークエンジェル内に入れない理由が分からなかった。
※
「すぐに救援艦が来る。
アークエンジェルは、今戦闘中だぞ。
避難民の受け入れなど許可できるわけ無いだろ」
バジルール副艦長は、これからすぐに戦闘になるかもしれないのに避難民など受け入れることなどできないと断言した。
さらにアークエンジェルは、慢性的な水不足もこれに拍車をかけていた。
「いいわ。
許可します」
しかしラミアス艦長は、こんな状況下でも許可を出した。
「艦長」
これには、バジルール副艦長が驚いた。
「今は、こんなことで時間を取りたくないの。
収容急いで」
「分かりました、艦長」
バジルール副艦長が敬礼した。
※
アークエンジェルのモビルスーツハッチが開きストライクガンダムがその中に入っていく。
※
「状況が厳しいのは、分かります。
しかしこの艦と『G』は、絶対にコロニー軍には渡せません。
われわれは、この艦と『G』を無事に大西洋司令部に持ち帰らなければなりません」
ラミアス艦長は、抱負を語った。
「艦長、私はアルテミスへの入港を具申します」
バジルール副艦長がラミアス艦長に具申した。
「アルテミス?
ユーラシアの軍事要塞でしょ?」
「『傘のアルテミス』か?」
フラガ大尉の質問にバジルール副艦長がうなずいた。
モニターには、宙域地図が映し出された。
「現在本艦のもっとも取りやすいコースにある友軍基地です」
バジルール副艦長がラミアス艦長に説明を始めた。
「でも『G』もこの艦も大西洋連邦所属しか友軍コードを持っていない状況よ。
それにこれらは、大西洋連邦の極秘機密よ。
それをユーラシアが受け入れるか問題よ」
作品名:機動戦士ガンダムRS 第4話 サイレントラン 作家名:久世秀一