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神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件~ 第1~9話

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 一方、安田記念病院
「院長、消防庁からHOTです」
「患者、11才の女の子、背中から胸に刃物で刺されて貫通した傷有り、
現場を通りかかった医大生が緊急処置して、大学病院へ搬送、
経過が思わしくなく、現在も危篤状態、検査データはUSBメモリーで渡すそうです」
「北見、テル、緊急オペに入るぞ!」
「ヘリの受け入れ準備急げ!」

 月村邸から、東京消防庁に偽装したヘリが飛び立つ。
5分としないうちにヴァルハラに到着した。
 残り時間後二日と半日、ぎりぎりの攻防が続く、最後の希望はヴァルハラのゴッドハンドに託された。
 遅れて家族が、すずかやはやて達も到着した。
「お父さんですか?院長の安田潤司と言います、状況ですが、極めて厳しいとしか言えません。
心臓近くの血管が切断され、一応繋がれては居ますが、未だに血液が漏れ出しています。
もう一度、胸を大きく開けて手術する必要があります。
ただ、あの子の体力が持つかどうかが、手術成功の鍵となります」
「お願いします、もうここが最後の希望なんです、
向こうの医師からは手の尽くしようが無いと言われたんです」
「判りました、お引き受けしましょう、助けられる確率は3割5分と言った所でしょうが、
何、うちのスタッフならやってくれますよ、逆転の満塁ホームランを期待して下さい」
 安田院長の力強い言葉に、やっと安堵の色を見せた士郎だった。


「シャマルさんと言ったかな?応急処置をしたとか?」
「はい、そうですが?」
「良かったら間近で手術を見てみないかね?他に聞きたいこともあるし」
 戸惑ったシャマルだったが、結局見学することになった。
その間にも、緊急手術の準備が進む。
「挿管終わりました、麻酔入ります」
 手術が始まった。
手術室の前で祈る家族や友人達、その中に入っていけず一人人気のない中庭で涙を流す人物が居た。
ヴィータだった。
 探しに来たシグナムが声を掛ける。
「シグナム、お願いがあるんだ、もうこんなの耐えられない!
もし、なのはが助からなかったら、この首を刎ねてくれ!」
「甘ったれるなっ!」
 シグナムがヴィータを殴り倒した。
殴り倒して、胸ぐらを捕まえ締め上げる。
「仮にもお前は鉄槌の騎士ヴィータだろ!騎士として逃げることは許されん!
お前が騎士として、高町なのはにしてやれることを考えろ!それをやり通すまで、
死ぬことは許されない、そして今死ぬことは主に対する裏切りだと理解しろっ!」
 余りの厳しい言葉に、反論さえ出来ない。
ただ歯を食いしばって涙を流すしか出来なかった。