二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

通れないんですが

INDEX|1ページ/2ページ|

次のページ
 
こんにちは、初音ミクです。
夏と言えば定番なのですが、
幽霊トンネルとかありますよね。
この前、私たちでそういうところに行ってきたんですよ。

トンネルと言えば逗子トンネルとか黒部ダムのトンネルとか
結構有名なところもありますけれども、
私たちが行ったのはかなりマイナーなところなんです。
それなりに企画がもう出来上がっていて、
いくつか候補地を選ぼうってことでロケハンすることになったんです。
ほんと仕事選べませんよね。

今回もメイコさんが助監督やってて
ハクさんがディレクターでついて行ったんですよ。
ルカさんは霊感があるってことで
また嫌々行かされたって感じなんですけどね。

いつもの四人でのこのこと車でその幽霊トンネルに行ったわけです。
よりによって到着が夜なんですよね。
本当にこりないです。
ちなみに、私とルカが後部座席でハクが助手席に座ってましたね。
運転はメイコさんがやってました。

さすがに夜にもなると周りは何にも見えなくて、
ライトなんて足元ぐらいしか照らせませんから。
本当に周り見失っちゃいそうになるんですよ。
周りに街灯なんかありませんし、
とりあえず道なりに進んでくしかないんです。

で、私たちはこのまま進んでいくわけですが、
ずっと奥の方にぼやっとした明かりが見えるんですね。
赤っぽい、オレンジ色みたいなもやっとしたのが。
メイコさんがそのとき最初に彼女が気付いたんです。

「あれはなんだ? トンネルか?」って言うわけですよ、運転しながら。
私たちもそっちの方を見るわけです。
確かにありました、あれがトンネルなんでしょうね。
でも、途中で茂みに隠れちゃって見えなくなっちゃったんです。

このまま私たちは道なりに進んで行ったらありましたよ、トンネルが。
でも、なんとなくさっきの明かりとは違うんですよね。
なんかこう、こっちのトンネルのライトのほうが明るい感じがするんです。

それで私たちはトンネルの入り口に車を止めて、
車内でどうしようか相談し合ったんです。
今の道大丈夫かな、とか。
道が暗すぎて俳優さん逃げちゃうんじゃないかな、とか。
照明とかどこに置こうかな、とか。
ちゃんと事前に考えるわけですよ。

狭い車内で明かりを付けながら打ち合わせをしてたんです。
エンジンも止めないで。
誰もトンネルを通ろうなんて言い出さないわけですよ。
みんな車内で丸まって打ち合わせをするんです。
フロントのほう見ないんですよ。

それぐらいトンネルの雰囲気が凄いんですよね。
トンネルのライトはちゃんと付いてるんですけど、
切れかけてたり汚れてたりで薄ぼんやりって感じなんです。
壁も手入れがされてませんし、
天井から水が漏れてるのか辺り一面水浸しなんですよ。
なんとなく先には入りづらいなって、
なんか見るのも怖いなってみんな思ってるんですよ。

それでみんなで現実逃避がてら打ち合わせをしてるとですね、
一番霊感の強いルカさんがなんか居心地悪いって言うんです。

「悪寒がするので暖房つけてもらっていいですか?」

ルカさんがそう言うわけです。
あ、なんかやばいのが近くにいるんだなって、
私は思いましたね。
だんだんと気温が下がってくのが私にもわかるんですよ。
ルカさんが言うからには間違いない。
キターというか、クルーって感じですよ。
何事もないように帰らせてくださいって、
神にも頼む気持ちでしたよあの時は。

何せ、音が何にもないんですよ。
そのときみんなで息をひそめてたんです。
外から虫の声も聞こえないぐらいしずかーなんですよ。
辺りはシーン、としていて何か音を立てればすぐにわかるぐらいです。
唯一、車のエンジン音がトロトロ、トロトロと音を立てるわけですね。

何と言うか、みんなそのとき固まっちゃいましてね。
まるで金縛りにあったような感じです。
あー、トンネル見たくない、外も見たくない、
メイコさんUターンして早く東京に戻してくれって。

そのときですよ。
コンコン、車のドアを叩く音がしたんです。
もうみんなハッとしましたね。本当に驚いたんです。
何の前触れもなく、コンコンって。
運転席のドアだったんでメイコさんなんて
「ギャー」とか言って悲鳴あげて飛びのいちゃったりしてるんですよ。
ルカさんなんて過呼吸寸前の金魚みたいになって、
こんな感じに口をパクパクさせてるわけです。
まるで地獄の闇鍋みたいな感じですよ。
私なんかも思わず声が出ないほどびっくりしていましてね、
顔中の筋肉がもう引きつっちゃって大変でしたよ。

でもよく見ると中年ぐらいの男性が運転席のドアの前に立ってて、
大声で言うわけです。

「すみませーん。前通してもらってもいいですか?」

まあ普通の中年の男性ですよね。
Gパンにチェックの本袖シャツを着た男性です。
ちょっと背が高くて細身でしたね。
190ぐらいはありました。
私もお化けでも幽霊でもなくてちょっとだけ安心しましたよ。
ハクさんも人間だからってすごく安心していて、
まるで空気が抜けたみたいになってましたね。

メイコさんも半泣きだったんですが、
「わかりましたー」とか大声で返すんですよ。
すると、その男性は「お願いします」とか言って、
後ろの方にすーっと引き返すわけです。

「とりあえず、前行きましょうか」ってそのときハクさんは言ってて、
ちょっとルカさんもまだ落ち着いてない感じだったんですが
そのままメイコさんは発進したわけですよ。
ちょっと手が震えてて危ない感じだったんですけど、
アクセル入れて、ぶーんって。
後ろに人がいるんだから安心だな、よかったなってみんな思うわけです。

トンネルもそこそこ長い感じだったと思いますが、
結構メイコさんアクセル入れてたんですぐに抜けちゃうわけです。
危ないですね。
トンネル抜けた後も街灯もなくて危なっかしかったんですが、
そこからはメイコさんも安全運転で行ったんですよ。

ここらへんからやっとルカさんのほうが落ち着いてきて、
みんなもやっとひと段落終えたって気分になったんです。
ところがルカさんがこう言うわけですよね。

「後ろから車、ついてきてますか?」って。
私は後部座席にいたので後ろを振り向いたのですが、
あれおかしい。確かに誰もついてこない。

トンネルの道は一通でしてね、
車一台しか通ることができない道なんですよ。
後ろから車か何かが付いてきていたら引き返せないんです。
あれ、確かにおかしいな。
どうしたのかなあの男性は。
遅れてついてきてるのかな。

しばらく後ろを見てまして、
どうにも来ないので振り返ると
メイコさんも後ろを確認してたみたいで
バックミラーと目が合ったりするんですよ。

「いや、必死だったから覚えてない」って
メイコさんも釈明するわけです。
おかしいな、おかしいな。

ルカさんはこうも言うわけですよ。
「あの男性の顔を見ました?」

みんなで顔を見合わせるわけです。
「ハクさん見ました?」
「いや、見てない」
「メイコさん見ました?」
「私も見てない、見えなかった」
「私も見えなかった」

するとルカさん、こう言うんです。
「よかった。あれは見ないほうがいい」

ぞっとしましたね。
作品名:通れないんですが 作家名:竹渕瑛一