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通れないんですが

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ルカさんは泣いちゃいますし。
帰りの車は本当に気が気じゃなかったですよ。
ハクさんは助手席で丸まってますし、
私も体が震えが止まりませんし。
メイコさんも途中一度も止まらずに
知り合いのお寺まで運転をずっと続けたんです。
よくできたもんですよ。

結局、到着したのはもう朝方になっていて、
途中、一睡もできるわけないじゃないですか。
ずっとシートの上で固まっていたんです。
到着したらすぐお坊さんに車ごと御払いを頼んで、
付いてきませんように、付いてきませんようにって。
お坊さんは何もついてきてないとは言ってたんですけど、
こっちからするとやり過ぎることに越したことはないんですね。

あとから考えるとほんとうにあれは不思議でしてね。
あの男性はなんだったんだろうなって。
あのトンネルに入る前の光はなんだったんだろうなって。
わかんないからすごく気になるわけです。

上からはもう一度調査し直してこいとか言われるわけですよ。
きっかけとしては最適なんでしょうけど、内心は最悪なんですね。
あんなに居心地の悪いひと時はなかなかあるもんじゃないです。
それにルカさんに話を振ると激怒されますし。
私たち一同はあそこに行くことを拒否してます。
それぐらい嫌な体験だったんですよ。

結局、ことの真相はお蔵入りですよ。
あそこは幽霊トンネルだ、それだけです。
上がなんと言おうともあそこに誰か立たせて撮影するのはまずい。
それでもうロケハン段階で企画は中止ですよ。
ルカさんも凄い剣幕で怒り始めますし、
行ってない人は意外と洒落にならなかったで納得してもらってるんです。

だって、普通はただのトンネルですから。
撮影中に入る幽霊だってスタッフがやってるのに、
本物が入り込んだらどうするんですか。
だいたいお寺からは出禁ですよ。
やばいの連れ込んで一回御払いしてもらったら無理です。
きっと、お坊さんもリスクを覚悟でやってるんでしょうね。

それから私たちは普通に撮影スタッフとかやってますけどね。
なんだかんだ言って心霊物は相変わらずです。
フォトショップで加工したり、
ベジェでお化けの切り抜き作業を死ぬほどやったり。
撮影だとレフ版持って追いかけたりとか。
日々の仕事に忙殺されるわけです。

でも、ふと考えるときがあるんですよ。
あの男性の顔はどうなってるんだろうな、って。
あのとき窓を開けていたらどうなったんだろうな、って。
作品名:通れないんですが 作家名:竹渕瑛一