二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

図書館戦争 堂x郁 記憶喪失(郁視点)

INDEX|2ページ/14ページ|

次のページ前のページ
 


郁は朝起きてからも落ち着きが無かった
前日に同室の柴崎へ昇任発表の件について、不安を伝えていたが
柴崎は「大丈夫よ。当麻事件の考課が最大限に適用されてるんだから、安心して寝なさい」と
宥められ、郁は渋々ベットに横になった

今朝は目覚ましいらずで覚醒したので、いつもよりも早めに特殊部隊事務室へと向かった
「おはようございます!」
扉を開けると、まだ隊員達の姿は少なく、郁は堂上の姿が見えないのでキョロキョロとしていた
「何してる?」
後から不意打ちに声を掛けられ、「きゃっ!」と振り返ると、堂上がバインダーを方手に立っていた
「おはようございます」
「ん、おはよ。今日は早いな」
「はい・・なんだか落ち着かなくて・・・」
えへへと笑って堂上と共に部屋に入る

席に着き、なんだか落ち着かない郁は「コーヒー淹れてきます」と一言堂上に告げる
「そろそろ小牧達も来るだろう。一緒に用意してくれ」
「はい。わかりました」
郁は席を立ち、給湯室へ向かう

隊長室の前を通ると、既に玄田と緒方は出勤しており、何やら書類を見ながら話しこんでいる
--- 昇任結果でも見てるのかな?
郁はチラリとドアの中を伺いながら、それでもなるべく平常心を保とうと努力し、コーヒーの準備を始めた

始業時刻になり、今回昇任試験を受けた隊員が隊長室へと向かう
郁は両手をギュッと握りしめ、次々と呼ばれる隊員達の結果を聞いていた

次が自分達の番になろうとしたとき、堂上がチラリと郁を見たことに気付いた
まるで『大丈夫だ』と言うような視線
郁は緊張が最高潮に高まる


「笠原郁士長、三正へ昇任!」
「ウソーーーーーーーーーーーーー」
思わず上げてしまった声に、堂上が郁の頭をはたき、廻りの隊員からは笑われる
郁は慌てて背筋を伸ばし玄田に向かい敬礼し「拝命します!」と元気よく答えた



業務後、堂上に声を掛けられ、夕食を一緒にとることになった
「よかったな。カミツレに届いて」
堂上に言われ、嬉しさと、でもまだ信じられない思いが入り混じった感情を郁は「夢みたい」と返事した

柴崎や堂上達に試験勉強を教えてもらい、なんとか筆記試験を乗り切った
スパルタ学習を思い出しながら、郁は肩を落とし上目遣いで堂上を見上げ、
ここまでの道のりをポツリポツリと堂上に伝えた

暫く話すと、堂上から「昇任祝い何が欲しい?」と聞かれた
郁は「でも教官も昇任したじゃないですか!私だけお祝いなんて・・・」と返事をする
堂上は「今更だから要らん。お前は初めてカミツレに届いたんだからな」と切り替えされると郁は唸り目を泳がした

恋人の堂上は自分に甘い
上官と部下の時とは段違いだ
自分だけがお祝いしてもらうのは気が引けると悩んでいると、堂上が「まぁー」と言いながら郁の顔を自分に向け、目を合わせた
「今すぐに答えろとは言わん。今日は色々とあったからな。
 次の公休日までに考えて決めておいて欲しい」

そう言って、郁の頭をポンポンと叩き「さあ、門限に間に合わなくなるぞ」と言って自然と郁の手を取り、店を出た



共同ロビーで堂上と別れ、女子寮へと戻る
部屋に入ると柴崎がスキンケアをしていた
「ただいまぁー」「おかえりぃー」といつものやり取りが交わされる

郁はラフな格好に着替え、お風呂に行く準備をする
「堂上教官にお祝い何が欲しいか聞かれた?」
柴崎は鏡の前でコットンを使い、顔をパタパタと叩きながら聞いた
「え?」
「今日食事の時に聞かれたんじゃないの?」
「うん。聞かれたけど・・・」
郁は首を傾げ、何故知ってるの?と柴崎の後姿を見つめた
「あの唐変木のことだから、ストレートにあんたに聞いたんじゃない?」
自分で選んでプレゼントするって人じゃないしぃーと仕上げのクリームを塗っている

「で、あんたは何が欲しいって言ったの?」
「・・・そんな直ぐに欲しいものなんて・・・」
郁は下を向いてポツリと答えると、柴崎はクルッと回り、郁の正面に座った
「んーじゃ”次の公休日までに考えとけ”ってところかしら?」
郁はコクリと頷き、柴崎の顔をみて「あんたはエスパーか?」と答える

「教官と笠原のやり取りは、大体想像つくわよ」
「え?そうなの?」
「そうよぉーだって観察対象だしぃー」
と言って、郁にウィンクをする

「笠原はダダ漏れで聞かなくてもわかるし、堂上教官はちょぉっと突けばボロが出るし」
面白い二人よね?とクスクス笑う
「柴崎は・・・よく教官のこと見てるんだね?」
「んーだぁってぇー私も堂上教官の事好きだもん」と悪戯っぽく笑う

郁はチリッっと走った胸の痛みを忘れるかのように
お風呂セットを持って立ちあがり「行ってくるね」と声を掛け部屋を出た



戦闘職種の170cm大女
小柄で可愛くて美人な柴崎とは違い、自分は可愛くないと思っている
戦闘職種としては身長は有利だが、いざ恋愛沙汰になるとコンプレックスでしかない

以前、柴崎は錬成期間中に堂上に告白をし、断られたと話していた
でも・・・

--- もしも、堂上教官が柴崎と付き合ってたら?
--- 堂上教官の隣には、私じゃなくて、柴崎かもしれない・・・
--- 堂上教官と柴崎なら・・理想のカップルだろう

考えてみれば、柴崎と堂上教官は二人でコソコソ話していることがある
多分、自分の事だろうとは思っているが、違ったら?
茨城県展の時みたいに、私の知らないところで二人が情報を共有していることだってある

胸の奥がチリチリと熱い・・・
モヤモヤとした気持ちは嫉妬・・・黒くて深くて奈落の底に落ちて行く感じがする
郁は湯船を出て、ざっと冷たいシャワーを浴びた

--- こんな事考えてたらダメだよね

顔をパンパンと叩き気合を入れ直し、脱衣所に向かった