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図書館戦争 堂x郁 記憶喪失(郁視点)

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館内を案内している途中で「今日皆で食事に行きましょうね」と柴崎に言われた
嬉しい半面、複雑な思いも入り混じっていた

--- 堂上さんと柴崎は付き合ってるのかな?
って言うか、何で堂上さんとのことを気にしてるんだろう?
逢いたいとは思ったけど、それはあの日見た堂上さんの表情が焼き付いて離れないから・・・
この感情は何だろう?

郁は閲覧室で考えごとをしていると、館内に閉館を告げるアナウンスと音楽が鳴り響く

--- もうそんな時間?全然本読めなかった・・・
途中までの本をパタリと閉じ、本棚へ戻し外に出た

--- もう12月だもんね
館内入口にはリースが飾られており、所々豆電球が装飾されライトアップされていた
ほぅーと見入っていると、私服に着替えた柴崎が近寄ってくる
「あんた今日泊るところ決めてないでしょ?今夜は寮室に泊りなさい」などと言って
近くのベンチに腰掛けた

堂上達が来る間、実家で過ごしていた一カ月余りのことを話していた
「写真とかビデオとか見て、何か思い出したことは無いの?」
「んー何かね、映っているのは私なんだけど、実感がなくて・・」
頭をポリポリ掻きながら「全然思い出せないの」と伝える
柴崎はそんな郁を見ながら「記憶、取り戻したい?」と聞く
「・・・どうかな・・そりゃ記憶があった方が色々と周りに迷惑かけないし
 今まで生きてきた自分の過去だから、戻った方が良いとは思うんだけど・・・」
ふぅーと一回深呼吸をしたあと
「なんかさぁー忘れたいことでもあったんじゃないかな?って思ってるんだ」
郁は空を見上げながら「変だよね?」と答えた

柴崎はジッっと郁の横顔を見つめている
「・・・笠原、何か悩み事があったら私が相談に乗るわ」
些細な事でもいい、気になることがあれば自分に打ち明けてほしい・・・
柴崎は二度と郁を失いたくない一心で問いかえる

郁は視線を柴崎に合わせた
真剣な表情で自分を見つめている
心配してくれてるのは十分に分かるのだが、どうしても堂上との関係が気になる
純粋な目を向けられると、自分の心を見透かされる気分にもなる

一拍置いて「ありがとう。柴崎」と言って二コリと笑うが、少しぎこちなかっただろうか?
少し首を傾げて様子を伺っていると、同じく私服に着替えた堂上達が近づいてきた

柴崎は堂上達に気付き、「それじゃ行きましょ?」と言って郁の左腕に自分の右腕を絡ませ
目的の居酒屋に向かった

チラリと後を振り返ると、男三人は黙々と後を着いてきている
--- やっぱり見間違いだったのかな?
病室で見た堂上は、自分が夢でも見ていたのでは?と思う程、今の堂上とかけ離れていた
--- 不機嫌そうだしなぁー

そんなことを考えながら歩いていると、目的地に到着した
店内は空いており、6人用の個室へ案内された
郁は柴崎に押されながら、一番奥の席に座り、隣に柴崎が腰掛ける
郁の向かい側には小牧、手塚、堂上と席に着く
なにやら手塚が堂上に話しているが、堂上は「構わん」と答え座る

一番端と端、堂上に逢いたくてここまで来たのに、傍に行けない
近くにいるのに遠い距離感
記憶を失う前の自分は、堂上をどう思っていたのだろうか?
恋愛感情?
いや・・だとしたら相当滑稽だろう
不釣り合いの上、上官と部下という関係でありえないと思う
それじゃ何だろう?
上官として尊敬する人だから、逢いたかったのだろうか?

--- 考えてばっかりだとお腹が空くなぁー

次々と料理が運ばれると、郁は「美味しそう!」とパクパク食べ始めた
なるべく余計なことを考えないように、黙々と食べていると「お前・・ホント良く食うなぁ」
と手塚が呆れたように呟く
「ごめんなさい・・お腹すいちゃって」
郁は箸をとめ、うぅー恥かしい・・と肩を落す
「いいよ。気にしないで。もっと沢山食べていいからね」
小牧がスーと手元の料理皿を郁の方へ押し出しながら伝える
柴崎が手塚を一喝したところで、郁は箸を動かし始めた

お腹も落ち着いたところで、郁は記憶が無くなる前の”自分”はどんな人物だったのかを
問い、柴崎からは「ダダ漏れ、純粋培養純情乙女・茨城産」などと言われ、
「無鉄砲で落ち着きがなく、考える前に行動する」と手塚にも突っ込まれる

--- えぇーーなんだか全然ダメダメじゃん!

郁は顔を赤くしながら「ごめんなさい」と答え、顔を下に向けていた

--- 堂上さんは私のことどう見てたのかな?

堂上にも聞いてみよう!と思い、バッと顔を上げて堂上を見る
「堂上さんから見て、私はどういう部下だったのでしょうか?」
堂上の顔が一瞬強張った気がしたが、気にせず言葉を待った
「案件を脳まで持っていかず、脊髄で行動していた」
「手塚さんと同じじゃないですか・・」

--- 私って役に立ってなかったのかな? 
--- 足手まといだったのかな?

グルグルと考えていると、先程上戸の世界へ旅立っていた小牧が復活し
「そんなことないよ。笠原さんは隊内でも不審者の確保率高いしね
 自慢の瞬発力と持久力で大活躍だし、シェパードにも勝っちゃうしね」

--- えっ?シェパード?犬だよね・・・私何やってるの?
小牧は話した後、「やばい・・腹膜が・・死ぬ・・」とひっくり返りながら笑い出し
「勝手に死んでろ!」と堂上に怒鳴られている

自分の評価が思っていた以上に悪く、これ以上聞くと浮上できないかも・・と思い
話題を変えようと、柴崎に「彼氏とかいるの?」と首を傾げながら聞いた
柴崎は呆気にとられ「はぁ?」と言った後「私みたいな美女に釣り合う男性なんてそう居ないわよ」と
言って、受け流された

--- 美人も大変なんだねぇ
チラリと手塚を見ると「俺は居ないぞ」と即答され、そっぽを向かれた
それじゃ小牧は?と思い小牧を見るが、「聞くのは無理かな・・」とポツリと呟き
つい、堂上の方へ顔を向けると、目が合ってしまった
--- 答えてくれるかな?
ジッっと見ていると「・・・俺も居ない」と答え、堂上は席を立つ

--- お付き合いしてる人いないんだぁー

あれ?何だか胸が苦しい・・・痛い?どうして?

そんな郁を他所に、復活した小牧と柴崎が手塚を弄りながら会話している
手塚はグッタリとし、なんだか可哀そうだと思ったが、その風景を懐かしく思い
クスクスと笑っていた

席に堂上が戻ってきたタイミングで、柴崎は提案をした
「明日、堂上班は公休ですよね?
 折角笠原も居ることだし、久しぶりに遊びに行きませんか?」
すかさず小牧も話しに乗り、手塚は柴崎に視線だけ送り何も答えない
柴崎は何も答えない堂上に確認を取り付けた

今日だけしか逢えないと思っていたので郁は素直に「わぁ嬉しい!どこ行くの?」
と柴崎に話しかけ、予定を決めていく

ショッピングに映画、また近くに新しいケーキ屋が出来たと柴崎は話す
郁も退院後久しぶりに自由に出かけられると意気揚々だった

ラストオーダで運ばれたウーロン茶を手にした時「もう一度乾杯しよう?」と小牧が言い
グラスを合わせた

郁は喉が渇いていたので一気にグラス半分程飲み干した
--- あれ?なんか味が変なんだけど・・・
と思った瞬間、身体が熱くなり焦点が合わなくなる