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図書館戦争 堂x郁 記憶喪失(郁視点)

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--- 夢を見た

堂上と二人で館内を警戒していると、警報が鳴り良化隊が迫って来ていた
郁は利用者の避難を優先し、堂上と離れて行動する
戦闘服に着替え、堂上の元に駆けつけると廻りは静かで、堂上と柴崎が手を取り合い歩いている

二人は何を話しているのか聞こえないが、堂上は優しい笑みで柴崎に話しかける。
柴崎も堂上の手を取り受け答えている

--- 堂上教官!
郁が叫んでも聞こえないのか二人は歩みを止めない
何度呼びかけても立ち止ろうとしない

--- 置いて行かないで!!
私を置いて行かないで!私を見て!私の声を聞いて!
何度も何度も声にならない叫びをあげる

すると、やっと気が付いたのか堂上が振り返る
柴崎の手を話し、郁に手を差しのべながら近づいてくる

--- 教官・・・
郁は堂上の大きな手を掴み、安堵する



意識が浮上すると、堂上が「気が付いたか?」と声を掛ける
慌てて身なりを整え「すみません。寝てました?」と答える
正直、夢の内容は覚えていない
ただ、とても胸を締め付けられる思いと、最後の安堵感だけが漂う

堂上からミネラルウォータを受け取り口に含む
廻りを見渡すと二人っきりのようだ
「今柴崎がコンビニに寄ってる」と堂上は郁に言うと、自分も購入したコーヒーを飲んだ

チラリと堂上を見ると、何やら考えごとをしているようだった
郁も選んで話す程共通の話題がない為、無言のままだった

ただ近くに堂上が座っているだけでドキドキと心臓が高鳴る
隣に聞こえないだろうか?聞こえてたら恥ずかしい・・・
グルグルと考えていると、タイミングよく柴崎が戻ってきた



女子寮に戻り、部屋に入ると柴崎は「明日はとびっきりの良い女にしてあげるわ」と不敵な笑み浮かべながら言う
おもむろにクローゼットを開き、「このピンクのワンピースがいいわね」と取り出す

郁は自然と机の上のジュエルボックスが気になり手をかける
「それ、笠原のだから開けてみれば?」と言われ、郁は一瞬躊躇したが開いた
ボックスの中には可愛いネックレスが入っていた

「可愛い・・・でも私のじゃないと思う・・・」
「あら。それはあんたのよ」
「でも・・・こんな可愛いの似合わないから・・・」
「そのネックレス。あんた凄く大事にしてたのよ」
「そうなの?」
「そう。大事な人からプレゼントで貰ったのよ」
丁度いいから明日着けて行きなさい!と柴崎は告げる

--- 大事な人・・
私にもいたのかな?大事な人。大切な人。
全てを忘れた私を、今その人はどう思ってるのかな?



翌朝、柴崎に強制的に身支度を施され、姿見の前に立っている
--- こんな女の子っぽい格好恥ずかしい・・・
髪はコテで軽くカールされ、昨日用意したワンピースにネックレスを着けている

「ねぇーやっぱり着替えるよ」
「なんでよぉー似合うわよ?」
「なんだかスカートの丈も短い様な気がするし・・・」
「もう時間ないんだから行くわよ!」

ズルズルと部屋を出て待ち合わせ場所へ向かう
その間も「やっぱり着替える!」と言う郁に「教官達を待たせる気?」と腕を引っ張り連行されていった

郁は柴崎の後に隠れるように背を丸くし、共同ロビーへ向かうと、既に堂上と手塚が待っていた
柴崎が「渾身の作なんですけどぉー」と言って、郁の腕を取り堂上の前に押し出した

--- ど・・どうしよう・・・恥ずかしい
--- 堂上さん何も言わない・・やっぱり似合わないのかな・・
待たせちゃうけど、着替えに戻ろう!

「やっぱり似合わないですよね?着替えてきます」そう言って女子寮に戻ろうとすると、堂上は郁の左腕を掴み「似合ってる」と言ってくれた
嬉しくて頬が上気するのが分かる
「ありがとうございます」そう返事するのが精いっぱいだった



午前中はショッピングモールを廻り、今昼食を取っている
食後のデザートが運ばれ、喜んで食べていると、午後の予定会議が始まった
郁はフォークでケーキを少しずつ崩しながら食べていると
「この後は夕飯まで自由行動ってことにしませんか?」と柴崎が提案する

成り行きを見守っていると「だったら、堂上は笠原さんと映画でも見に行けば?」小牧は郁を見ながら「いいよね?」と言って返事を催促する

二人っきりなんてドキドキして何を話していいのか分からないけど・・・
折角なんだから女は度胸!で当たって砕けろかな?

「ご迷惑でないのなら」と答えると堂上が溜め息をつき「分かった」と静かに答えた