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神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件~10-18話

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第10話 目覚め


「片岡先生、それ例の交換日記ですか?」(テル
 それは通称交換日記、別名をシャマルノート
大学の授業や医療の疑問があるとシャマルは安田記念病院の医師に質問をしていた。
なのはのお見舞いに来ると必ず医局に顔を出し、その際に担当科の医師に質問をする。
どんな質問をしたか?どんな答えだったかを的確に書き取りノートに残しているのだ。
 お目当ての先生が居ない時はノートに質問を書き込んで栞を挟むと担当医師の机の上に置いていく、
後から担当医師が質問に対する回答を書き込んでまた机の上に置いていくというやり方だ。
 辿々しい日本語で書かれたそれでも一生懸命な質問にどの医師も優しく答えてくれた。
彼女のノートは既に7冊目になるらしい。
彼女の努力は既に病院内でも評判になり始めていた。
 それに加えてテル先生がいつも練習している糸結び、ティッシュ縫い、ゴム管縫いなど縫合に関する技術練習の成果も毎日見て貰っている。
彼女のその熱心な努力家ぶりに誰もが舌を巻いた。
「彼女は凄いね?きっと良い医者になるよ」
「縫合だけだったらもうテル先生より上手いんじゃない?」
 など評価は非常に高かった。
それだけでなく、最近はレーベンも使わせて貰えるようになってきた。
まだ基本の盲腸摘出術だけだが既に成功率99%を治めるまでになっていた。
大学生で医師免許がまだ無い為患者を手術させては貰えないが、少しずつ難易度の高い手術に挑戦するシャマルの姿があった。
ごく稀に手術を間近で見学させて貰える事もあり、それが非常によい勉強になった。


「あれ?テル先生、そんなに難しい顔をしてどうしたの?」
「ぁ、森先生、そろそろなのはちゃんが目覚めそうなんですが、
ご家族にあのことを話さないといけなくて、どう説明しようか悩んでます」
「ああ、そうだね、本当に大変なのは手術よりもその後のことだ」
「特に女の子で一番難しい年齢です。
家族や介護スタッフとどこまで上手くやっていけるか?非常に心配で」
「まだ結婚もしたこと無ければ子供なんて持ったことのないテル先生には荷が重いかもな?」