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世界一初恋 高x律 続パラレル

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穏やかな日差しの中、桜は満開となりピンク色が濃くなり美しく咲き誇っている季節
窓を開ければ生温かい風が部屋の中に入りこむ

「あー良い天気だなぁー」
俺、小野寺律は校了明けの休日、久々に部屋の掃除をして人間に戻るべく目覚めたのだが・・・・

「お前さ。よくこの部屋に住んでられるよな」
俺は無理。と一言余計なことを背後の青年は言う

「あーなんか幻聴が聞こえる・・・俺耳鼻科に行った方がいいかな。
 今回の入稿酷かったからなぁー」
いやぁー本当に酷かった。過去ベスト5入りするぐらいのデット入稿だった・・・

「おい。聞いてんの?」
声の主の方を振り返り、何度か瞬きした後目を擦った

「ハァー。眼科も行った方がいいかも。総合病院って近くにあったっけかな?幻覚まで見えちゃってるよ」
「幻覚でも幻聴でもねぇーよ」
「・・・・やっぱり?」

ガックシと肩を落とし、もう一度ハァーと溜め息を吐く
そう、この無礼な青年は、以前パラレルワールドから来たもう一人の高野政宗だった

「とりあえず、シャワー浴びてきたら?」
ピョンピョンと跳ねている俺の寝ぐせをクシャリと掻き混ぜながら言う
「そうだね・・そうする」
まだ疲れの取れない身体を引きずるように脱衣所へ向かおうとすると「俺も一緒に入ろうか?」とニヤリと笑いながら言うから始末が悪い

熱いシャワーを浴び、頭をスッキリとさせたところで、リビングへ戻る
彼は足の踏み場もない部屋を少しずつ片付けていた
「いいよ。俺が後でやるから。とりあえず座ったら?」
そう話しかけると「部屋が汚いと落ち着かねぇーんだよ」とぶっきら棒に答える
「・・すみません」
取り合えず謝りながら、冷蔵庫を開けペットボトルの水を口に含む

脱ぎ捨てた衣服を纏めて洗濯機へ放りこみ、洗濯済みの山をクローゼットへ片付け、コンビニの容器をまとめて不燃物として纏める
フローリングに掃除機を掛けている間に、食器を洗い片付ける
そうこうしている内に洗濯機が鳴り、ベランダへ運んで干す
ひと通り終わったのは一時間後だった

俺はコーヒーを淹れ、マグカップを彼に渡した
「どうぞ」
「どーも」
テーブルを挟んで互いに向き合うように座り、カップに口付ける

ふぅーとひと息入れたところで、彼が口を開いた
「なんかさ。俺が情緒不安になるとこっちの世界に来れるっぽいな」
「へ?」
間抜けな声を出すと、くすくすと彼が笑い「色気がないな」と言う
「・・そんな事より、情緒不安って何?なんかあったの?」
一々彼の一言に振り回されるのは癪なので、本題を聞きだそうとした

「ああ。律と喧嘩した」
「・・・・仲直りすれば?」
「いや・・・多分今は無理」
「何で?」
「俺が許せないから」
「”律”が原因なの?」
「・・・原因は他にあるけど、ムカツクから話したくない」
「・・・そっか。じゃ別に話さなくてもいいよ」
俺がそう答えると、彼は目を見開き呆気に取られている様子だった
「だって、話したくないんだろ?無理強いしてまで聞かないよ。話したくなったら言って」
「・・・やっぱり律はどっちの世界でも律なんだな」
「何それ。バカにしてんの?」
「いーや。惚れ直してたところ」
「はいはい」
俺は少し冷めたコーヒーを一気に飲みほし、コトンとテーブルの上に置いた