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神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件~30-40話

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第30話 破滅

「久保田教授、あなたは大学で教えるには些か力量不足なようだ」
 その場に崩れ落ち挫折を味わう久保田教授に追い打ちを掛けるように
ネチネチとした安田の嫌みが始まる。
 それが少しずつ彼に残されたプライドのかけらさえ打ち砕いていく。
それを見ていたシャマル、テル先生、四宮先生は思う「恐えぇ」と。
「そうですなあの程度の腕で生徒を指導しようとは片腹痛い」
 嫌みに北見まで加わる。
「あなたに追放されたシャマルさんはそれでもあなたの事を一言も訴えては来なかったよ」
「彼女の救済を訴えてきたのは友人達や大学病院の先生達だ。
あなたに比べたら彼女の方が如何に人望があるかが良く判るだろう?」
「それにあなたは人を見る目も無いようだ、もし人を見る目があるなら彼女の才能に気付いたはずだ、彼女の医者としての才能がずば抜けている事に」
「いや、気付いていたから潰したかったのかな?自分を圧倒的に凌駕する才能に自分が蹴落とされるのが恐ろしくて潰しを入れたのかな?」
「いや、そこまでの目は持っていないでしょう?恐らく自分が気に入らなかったから徹底的に嫌がらせをして追い出したというのが真相なのでは?」
 浴びせかけられる辛辣な言葉が彼の心を抉っていく、ズタズタになった彼のプライドを木っ端微塵に打ち砕いていく、
「……お前ら、誰に向かって物を言っている?俺は教授だぞ、医者の人事は俺が握って居るんだ、俺に逆らえばどうなるか判っているのか?」
「どうなるというのかな?」
「そんな事言っちゃって良いのかねえ?あんた明日から大学の教授すらやっていけないよ?」
「何だと?」
「いや~、あんたの手術が始まった所から今のやり取りまで、って言うか未だにこのやり取り全世界にインターネット中継されてるんだけど?」
 そうレーベンの回りに取り付けられたカメラによりインターネット中継されていたのだ。
もうこれで彼の信用自体この世のどこにもない、もう信用してくれる人間など居なくなったと最後通告されたのだ。
 完全に叩き潰された久保田教授に最後のトドメが刺される。
「シャマルさん、あなたの目から見て久保田教授はどう見えましたか?医者としてどうですか?」
「非常に言いにくいんですが、余り大した腕ではないと思いました。教授から学ぶ物は何も無いと思います」
 床に手をつきがっくりと項垂れるその姿は魂の抜け殻その物だった。
もうプライドの欠片も教授としての誇りもないただの無気力な人間だった。
「才能ある若者の将来を奪うとは言語道断、もうあなたにはここにいる事さえ許されない!帰りたまえ」
 久保田教授は立ち上がるとふらふらと歩いて病院を後にする。
もう既に視線が定まっては居なかった。
「シャマルさん、これは私からの推薦状だ、カリフォルニア医科歯科大学の学長とは古い友人でね、向こうでもビシバシ鍛えて貰える様一言書いておいた、これを持って行きなさい」
「ありがとうございますっ!」
 深々と頭を下げたシャマルの目に涙が光っていた。