新生勇者戦記 ブレイヴ・サーガ・ディザスター番外編2
ブレイヴサーガ・ディザスター番外編その2 「ダブルデート〜IN・秩父〜」
デストリアンとドライアスとの激戦が終わった。
激戦の果てに生まれたデストリアンによる犠牲者は大震災レベルの人数に相当した。俺はそれでも多くの人たちの為に戦った・・・・いや、「闘った」という文字の方がいいかもしれない。
だが、宇宙へと逃亡したドライアスとの闘いはまだ決着の兆しすら見えていない。けど、今はとにかく仲間達と、そしてやっと付き合うことができた澪と勝利を勝ち取った事の余韻に浸りたい。光達も本当によくやってくれた。
闘いが集結しても尚、翌朝の早朝まで警戒宣言が解かれなかった。多分念を押してたんだろう。
配られたシーツ一枚をはおってブルーシートの上でみんなで寝ていた。こういう光景を見てると改めて「仲間」ってのが実感できた。
俺は澪と一緒にならんで寝ていた。ぶっちゃけ嬉しすぎて闘いの疲れもどっかにふっとんだ。
その時、澪がころっと寝返りをうって俺のところに寄り添うように来る。
体が固まった。伝わってくる澪の体温がなんともいえない。やっぱ人って温かい。ぶっちゃけスゲー嬉しい。好きなコとこうしていられることのシチュエーションは生まれて初めてだった。
ファイバードが俺の中で話しかける。ファイバードはたまに話しかけてくるんだよな。
ファイバード ((嬉しいんだな・・・勇士朗。))
勇士朗 (ああ、スゲー嬉しいよ。好きなヒトとこうしていられるのはさ。)
ファイバード ((私は、改めて彼女の持っているプラスエネルギーがスゴイと思い知らされた。))
プラスエネルギー。文字通り「陽」のエネルギーだ。以前、ファイバードから聞かされたことのあるパワーだ。それが澪をはじめとした、桜高軽音部のメンバーの音楽から生み出されるようだ。勿論澪達以外にも他にそういうエナジーを生み出せる地球人はいるようだが・・・・。
勇士朗 (ああ。俺も後で聞かされて正直おどろいた。)
ファイバード ((はははははっ。プラスエネルギーは、彼女達、あるいは勇士朗が想う澪の想いが私が本来持つプラスエネルギーと共鳴したものがパワーの正体だ。だがそれだけでは説明がつかない事が今回起こっている。))
勇士朗 (え?なんだ??)
ファイバード ((おそらく君たちの想いがプラスエネルギーを具現化したんだ・・・。))
あの時だ。俺が澪の目の前でファイアーシャトルを召喚した時・・・実は好きなコの前でカッコいいトコ見せたかったっていうのもあったんだけどな。
ファイバード ((更にそのエネルギーで召喚させたファイアーシャトルに莫大な影響を与えた。結果、本来のグレート化をさらに上回る能力を発揮できたんだ。))
勇士朗 (そうなのか・・・・!!!)
改めて澪がスゴイ存在と思った。そして感謝の気持ちも芽生える。思えば俺が澪に一目惚れしていなければ、今頃全く違う展開になっていたんだろう。高1の時に出向いた桜高の学園祭が今に繋がっている事が奇跡に思えた。
澪 「ん・・・おかえり・・・勇士朗・・・。」
澪が寝言を言う。俺の夢を見てくれているみたいだ。
夜が明ける。本当の意味で夜明けを迎えた。街に太陽の日差しが照らされる。澪の寝顔にも太陽が照らされていた。
夜明けが赤く燃えるように俺は走り続ける。澪の彼氏として、ファイバードとして・・・。
ファイバード ((だが、ドライアスとの闘いはこれからだ・・・いつになるかは定かではないが、必ずまた地球への侵攻を開始するだろう・・・・。))
勇士朗 (ああ!!その時は俺と光達、ブレイヴフォースのみんなで迎え撃ってやるさ!!!)
翌週のある日。学校帰り、俺と澪の「付き合った記念」のデートに行く。
俺は桜高の校門まで出向いた。やっぱり男から迎えにいったほうがいい。俺の持論だけど。
愛用ベース・エリザベスを背負った澪が、校門の近くでキョロキョロしながら俺を探していた。そして目が合うと満面の笑みで手を振ってくれた。やっぱ・・・・綺麗で可愛い。
俺は澪の正面まで軽く駆け出す。
勇士朗 「ごめん、まった?」
澪 「ううん。私もさっき部活が終わったばかりだからさ・・・。」
勇士朗 「そっか・・・。」
彼女は恥ずかしがり屋だ。顔を赤くしながら何度も俺と視線を合わせてはそらす。
そんな仕草もまた可愛いかった。ホントこの時間、幸せだ。
澪 「それじゃ・・・いこうか、記念デート!」
一般的には付き合った日数の日や半年、1年を迎えた記念にデートするのが記念日デートだ。
だが、俺と澪の場合は違った。付き合うことができた事自体に対しての記念だった。なにせ思い返せば命がけの日々が多々あった気がする。お互いにそれらの危険を乗り越えた上で付き合っている。
なんだか本当に運命を感じる。
桜ヶ丘の街を歩く俺達二人。フラッシュバックする闘いの日々。勿論、取り逃がしたドライアスとの闘いはまだこれからだ。でもとりあえず、デストリアンという種の巨大生物との闘いは終わった。
実質、十数年におよんでこの地に張り付いていた災厄は、俺たちが葬ったんだ。
澪 「変な話になっちゃうけど、私達が直接知り合う事ができたのって皮肉な事にあの時のハカイジュウのおかげでもあるよね?」
本人の言うとおり変な話だ。でもそう考えてみれば確かにそうだった。だが、過去の繋がりをとやかく考えるより今があれば俺はよかった。
勇士朗 「まあ、考えようによってはそうかもしれないけど、とやかく過去を考えるより俺は今があればいいよ。陰陽全ての流れの繋がりがあって今がある・・・・ってね。」
澪 「いい事言うなぁ〜・・・そうだな!いまがあればそれでいいな!」
俺達は、相模大野駅周辺を周る。ここには、以前からも俺達は学校帰りに寄り道したりしていた。
ショッピングしたり、カラオケに行ったり、食事もしたり、ゲーセンも行けたり結構遊べる。最も高校生の俺達じゃ遊べる時間は限られるけど。
ゲーセンで澪が気に入ったカメのヌイグルミをゲットする為にクレーンゲームをする。
結構トライして1000が軽く消える。1800円かけて取った。
勇士朗 「よっしゃー・・・やっと取れた!はい!カメちゃん!」
澪 「やった!ありがとう!でも結構お金使っちゃったよね?大丈夫なの?」
勇士朗 「うん!余裕、余裕!!!」
実は警視庁の冴島さんから、特別貢献感謝の気持ちとして現金20万円を贈呈されていた。高校生の俺としては、気が遠くなる金額だった。命が掛かった行動に対する冴島さんからの感謝の自腹金。来年の今頃は俺の上司になってるんだよな・・・冴島さん。
他にもギターマニアや太鼓の達人、シューティングゲームとか色々遊んだ。
もちろん、プリクラも・・・。
その後はカフェに立ち寄る。ここで俺は復活祭の時に出してもらったお茶を思い出す。
作品名:新生勇者戦記 ブレイヴ・サーガ・ディザスター番外編2 作家名:Kブレイヴ