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新生勇者戦記 ブレイヴ・サーガ・ディザスター番外編2

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  勇士朗 「そういえば復活祭の時、お茶出してもらったよなー・・・。」

  澪 「そういえばそんな事あったよね。軽音部のお茶、おいしかったでしょ?」

  勇士朗 「うん、また飲んでみたいんだけどなー・・・学園祭の時にまた飲ませてもらおうかな。」

  澪 「そうだよ!そうだ、そうだ!」

  何かを思い出したように澪は言った。一体なんだ、なんだ???

  澪 「今年の学園祭、クラスでロミオとジュリエットの劇やる事に決まったんだ!」

  勇士朗 「へぇ!誰が主役やるの?」

  澪 「実はさ・・・・クラスの投票で私と律になったんだぁ〜・・・・・どうしよう!!」

  勇士朗 「どうしようって・・・凄いじゃん!みんなから認められてるってことじゃんか!!」

  澪 「凄くなんかないよぉ!!恥ずかしくて出来ないよ!!」

  勇士朗 「恥ずかしがり屋なのはわかる。だけど、澪はその、可愛いし、容姿端麗だし、自信を持ってもいいと思うよ。恥ずかしいのって自信がないからそうなっちゃうんじゃないの?」

  澪 「うう〜・・・!」

  なんだろ。もどかしい。何て言ってあげればいいんだ・・・・そうだ!!

  勇士朗 「恥ずかしいとか言いながらさ、何だかんだで乗り越えてこれてるじゃん。歌だってライヴの時いいカンジで歌えてたし、何といってもさ、俺とこうして付き合えてる時点である程度の恥ずかしさの壁越えてるんじゃない?」

  澪 「そりゃ、今でも勇士朗といると恥ずかしい気持ちはあるよ。あ、私の感情的な意味でね!けど、やっぱり劇だけは別物なんだぁ〜・・・。」

  うーん・・・・どうしよう?俺は結局カフェではまた話題を変えてあげる事しかできなかった。

  それにしても、学園祭か・・・。去年のあの出来事から今に一年が経とうとしているんだな。

  デストリアンが初めて俺達の目の前に現れたあの日のことが改めて甦る。今思えば当時の澪はひどく傷ついていた。それが今となってはこんなにも明るさを取り戻してくれた。

  ファイバードがいなければこんなカタチにはなっていなかっただろう。恐らく、今でも傷ついたままでいたんだろうな・・・。

  その日の帰りがけ、俺は光達とよく来る高台の山へ澪と一緒に来ていた。夕暮れの空が東から蒼く染まっていく。

  澪がその光景を見て呟き始める。歌詞のフレーズのようだ。

  勇士朗 「何それ?新しい歌詞浮かんだ?」

  澪 「うん。・・・・今浮かんだ。」

  勇士朗 「澪ってスゴイな。この光景見てすぐに歌詞が浮かんだんだろ?」

  澪は笑って謙遜する。

  澪 「凄くなんかないよ。ただ浮かんだ歌詞呟いただけだから・・・。」

  勇士朗 「そこがまたスゴイんだって!さっき言おうとしたけどさ。自信、もっと持っていいと思うよ。澪は、澪自身が思ってるよりずっとスゴイんだ。ベースだって、歌だって、歌詞だって才能持ってる・・・・なら、演技の才能が隠れ潜んでいてもおかしくない!その才能をさ、みんなに思い知らせてやる!!っていうくらいに思えばいいんじゃないかな?」

  澪 「勇士朗・・・。」

  じっと俺を見つめる澪。澪程じゃないが、逆に俺が恥ずかしくなる。

  勇士朗 「ま、まぁ・・・それでもダメって言うならしょうがないけど・・・。」

  澪 「わかった。勇士朗がそこまで言ってくれるなら私も頑張ろうと思う!」

  勇士朗 「澪・・・!」

  澪 「やってみるよ・・・・ロミオの役。明日からでも律とさ・・・・!」

  澪に俺の気持ちが伝わってくれた。しばらく空を見つめ続けた後にごろんと二人で寝転がった。

  澪の手が横に来る。俺はさりげなく手を握った。

  澪 「あ・・・・くすっ・・・。」

  澪はくすっと笑って嬉しそうに手を握り返してきた。もちろん、スゲー嬉しい。

  こんな事を思いながら蒼空の下にいる俺こそ、蒼空のモノローグだった。多分、澪も自分のモノローグを作っているんだろう・・・。

  久しぶりに感じる安らぎを俺は噛み締めていた。

  香澄 「ふーん・・・じゃあ、今日はそのデートだったんだ!!やったなー!!勇くーん!!」

  その日の夜。久しぶりに姉さんとケータイ越しに会話する。とりあえず姉さんのいたところに大きな影響は無かったみたいだ。

  勇士朗 「・・・・ありがと・・・そっちも無事で何よりだよ。」

  香澄 「ホントよもー!!一応、こっちも交通や通信手段に影響あったけど、死者とかそういったのはなかったよ。でも・・・本当によくやったよ、勇士朗!」

  勇士朗 「え?」

  まるで見ていたような言い回し。どういうことだ?嬉しいけど。

  香澄 「テレビ中継でみてたよ!!あんた達の活躍ぶり!!今までの元凶をぶった押してくれたって大好評だよ!!ブレイヴ・フォース!!」

  世間にも俺たちの功績は称えられているようだ。実感はわかないけど。

  勇士朗 「そっか・・・・それはそれでいいけど・・・姉さんの方こそ彼氏とかどうなの?」

  香澄 「えー?仕事でそれど頃じゃないよ、今は〜。なーに?お姉ちゃん心配してくれてるの?」

  勇士朗 「ば、ばかっ、んなんじゃねー!!!」

  正直な気持ち、そんなこと恥ずかしくていえない。とりあえず今は今度のダブルデートに備えるとするかな・・・・。



  それで秋分の日。この日、和ちゃんが行きたがっているということで埼玉県の秩父市に行くこととなった。俺自身は規模の大きい遊園地とかかと思ってたんだけど・・・ま、いいか。

  澪と一緒に時間共有できるんだ!!

  俺たちはエクスカイザーに乗って都内を北へと突っ切って走る。俺は勇さんの隣に、澪と和ちゃんは後部座席に乗っている。

  正直、日常で県外から出ることは早々なかったからおれ自身もわくわくしていた。

  勇士朗 「勇さん、県外に行くってわくわくしますね!!」

  勇 「そうか?お前はファイアージェットがあるんだから、その気になりゃ海外だって行けるぜ?もっとも違法だけどな!」

  勇士朗 「はははは!確かにそうっすね・・・話変わりますけど、今日いくトコは秩父ってコトですが・・・。」

  勇 「ああ・・・『あの花』ってアニメ知ってるか?」

  澪の勧めで一緒に見ていたから一応の話は知っていた。基本、蓮達もそうだけどロボット系か少年誌系の熱いアニメしか見たことなかったから新鮮だった。ぶっちゃけ泣けた。

  勇士朗 「はい、澪と一緒に見ましたよ。けっこー最後の方泣けましたね。」

  勇 「涙もろかったのか、お前。でー、その舞台になったところでな。和ちゃん、そのアニメにすっかりハマちゃってな!まぁ、受験生にも息抜きってやつは必要だからなー。それで行こうってなったんだ。」

  確かにずっと缶詰になって勉強していても身体に毒だ。後ろでは和ちゃんが澪にそのアニメのことを語っていた。

  和 「・・・初め私は生徒会の後輩のコに勧められて、あの花のDVD見てみたの。そしたら結構感動しちゃってさ〜!」