第7Q 最後に黒子っちとバスケできたしね
1-黒子テツヤ
「せ、誠凛の勝利ーーーーー?!!!!!!」
審判の人は叫び、ゴールしたに着地した火神くんはガッツポーズをして、「っしゃぁぁぁああ!!」と吠えた。
僕も、ようやく安堵する。
ベンチの紺野さんやカントクたちもホッと胸をなで下ろしていた。
そして、火神くんの隣で、突然涙を流す黄瀬くん。
それを蹴り飛ばしたのは海常の主将だった。
「ってか、初めて負けたとかふざけてんだろっ。お前のスッカスカの辞書に『リベンジ』ってのを追加しとけ」
ユニフォームから着替え、海常の体育館前に集まる。
ピッカピカの顔をしたカントク率いる誠凛と相対するのは苦虫をかんだ顔をした監督率いる海常だった。
二人を背に、主将同士が握手を交わした。
「地区違うから、次はIHっすね」
「絶対行きます。全裸告白とか嫌だし」
疑問符をあげた顔つきをする海常のキャプテンである。まぁ、あの約束はしらないでしょうから。
さて、黄瀬くんはと言うと、会えないからとどこかに行っているらしい。どこだろう。
別れは心苦しいけど、再戦を胸に誓い、誠凛の一行は海常高校を去ったのだった。
2-黄瀬涼太
負けてしまった。初めてだ。バスケで負けたのは。
コピーできない、敵わないかもしれない、と思ったのは帝光での彼らがそうだったが、正式に負けたのは初だった。
やばいなぁ。と思った俺は水を浴び、顔を上げた。
そこで足音が近づく。
たしか、先輩たちは黒子っちたちを見送ったはずだが……と思い、見上げると、
「お前の双子座は10位、黒子の水瓶は3位だったが、まさか負けるとは思わなかったのだよ」
キセキの世代の一人である、緑の彼だった。
「まぁ、どちらが勝っても不快な試合ではあったが……猿でもできるダンクの応酬。運命に選ばれるはずもない」
俺はぶつくさと挨拶してから反論する。
「ってか、ダンクでも何でも、入ればいいじゃないっスか」
「だからお前はダメなのだよ。近くから入れて当然。遠くから決めるからこそ、価値があるのだよ」
そう言って、彼はテーピングされた左手を挙げる。そこにカエルのおもちゃがあった。
「俺は人智を尽くすために、おは朝のラッキーアイテムを持っているのだよ」
「毎回思うんスけど、最後んとこやっぱ分かんねぇっス」
「ふんっ、バカめ」
俺は思う。なんでこの”緑間真太郎”が、キセキの世代のNo.1シューターなのかと。
結局、俺が潰すからリベンジはできない、とかなんとか言って、緑間っちは去って行った。
高尾とかいう生徒を連れて。
3-紺野舞
――ってことで、海常を後にした私たちは、帰りに食べに行くことを考えていた。
「なぁ、何食べに行く?」
「あ、軽いの。俺、金ねぇわ」
「オレもー」
「おれもっす!」
「ちょっ待て!今、帰りの交通費抜いて、全員でいくらだ?!」
と日向先輩の一斉で持ち寄った金の総数は73円。と、
「700円?!」
「はい」
私の差し出したお金に、みんなが驚愕した。
「「「なんでこんなに?!」」」
「えと、念には念を入れて、といつも母から」
そこで小金井先輩が動いた。
「ねぇ、その金でみんなに奢ったりは?!」
「その構えが傲ってますよ」
そこへ相田先輩が間に入る。
「ダメよ、不用意に彼女のお金は使えないわ。だいたい、女子に奢らすなんて、ダメでしょ、男子として」
その言葉で、男子勢が一気に沈んだ。
そこで私は辺りを見回し、助け船を出した。
「じゃあ、いっそガッツリと行きましょう!」
私の言葉にみんな首をかしげたが、店内には行って、納得した。
『超ビッグ牛っ肉!!30分食べ放題!!でも、食べきれなかったら一万えーん!!!』
という長いスローガンのお肉が先輩たちの前に並べられた。
それはもう、本当に大きなステーキであった。
「で、えっと、これを食えと?」
「そうよ」
「食い終えそうにないんだけど……食えなっかったらどうすんだよ」
そう日向先輩が問うと、相田先輩は平然として言った。
「なんのために毎日走りこんでんのよ」
と、言外に脱走という言葉がある。みんな思っただろう。
(((バスケのためだよ!!!)))と。
それでも、出されたのだから仕方ない、と必死にナイフとフォークを動かし始めた。
ある者は涙を浮かべ、ある者は目を反転させて倒れそうになっていた。
現に、
「水戸部―!!!」
「このステーキ、素敵!!」
「ごめん、いまそれ、超ウザい!!!」
「すいません、ギブです」
「黒子ぉぉぉぉおおおおお!!!」
と、皆、死にかけだ。
皆は小さく呻いた。
「お、終わった……」
と。
そこで、赤髪が揺れた。
「なぁ、これっておかわりあるのかな?って、あれ?みんな食わないの?ですか?」
バカ神くんは、ケロリと、リスのように食していたのだった。
ちなみに、
「なんでお前ら二人はパフェなんだよ!!!」
「「節約のおかげです」」
と、私と相田先輩は、二人でチョコパフェを食べていたのだった。おいしっ。
そして、バカ神くんのおかげで逃亡はせずに済み、全て平らげられていた。
私は、外の風に当たってくる、というホクロくんを連れ、先に出た。
「すいません、紺野さん。パフェ食べ終わってなかったでしょ」
「いや、どうせ小食だし、相田先輩が食べてくれるから」
「そうですか……あっ」
ホクロくんが何かに気づいた。
私が視線をたどると、
「ニセ」「黄瀬くん」
がいた。
彼も私たちに気づき、遠慮がちにこう言った。
「ちょっと、その、話さねぇっスか?」と。
4-火神大我
オレがステーキの大半を食い尽くし、腹がやばくなったところで、ちょうど完食。
「さすがに食い過ぎた……」
そう言って店を出た。
もう来んな、と恨めし顔でいう店長を背に、オレたち誠凛高校バスケ部はぞろぞろ歩く。
オレもそれに倣う。
「んじゃ、とりあえず集合!……って、あれ?黒子は?」
「どうせいつもみたいに最後尾に……」
オレも振り向くも、
「いや、いないっすよ。マジで」
だったので、カントクと主将が揃ってキレた。
「んだよ、いねぇのか、舐めやがって」
「そいや、紺野さんもいないわね…逆海老の刑に処すわよ」
こ、こぇえ。
で、手分けして探すことになった。メンドイが。
しばらく歩くと、ストリートでバスケをする連中を見かけた。
彼ら越しに、見慣れた二人を目にし、オレはそこへ進んだ。
5ー紺野舞
ニセ、ホクロくんと私は三人で公園に来た。
ニセはバックからボールを出し、頭にのせてベンチの背もたれに身体を乗せた。
足を伸ばし、バランスをとる。
「落ちますよ」
「大丈夫っス」
「つか、落ちろ」
「ちょ、紺野っち!?」
空を見上げながらニセは溜め息をついた。
「もう、高校入って早々、黒子っちにはフラれて、試合には負けて、紺野っちには怒号くらって、踏んだり蹴ったりっスわ」
その声にホクロくんはやや考え顔で答えた。
「すいません」
「ざまぁ」
「ざまっ?!」
「紺野さん、さすがにそれはどうかと……」
「あら、じゃあ、ごめん」
「まあ、…………いいっスけど」
「なんだ、その間は」
「ノリっスよ!!」
その反応で、私は突然筆箱を漁った。
「それは糊!ノリ違いっス!」
今度はサブバックから、
「それは海苔!なんでこんなこと言わせてるんスか?!」
「せ、誠凛の勝利ーーーーー?!!!!!!」
審判の人は叫び、ゴールしたに着地した火神くんはガッツポーズをして、「っしゃぁぁぁああ!!」と吠えた。
僕も、ようやく安堵する。
ベンチの紺野さんやカントクたちもホッと胸をなで下ろしていた。
そして、火神くんの隣で、突然涙を流す黄瀬くん。
それを蹴り飛ばしたのは海常の主将だった。
「ってか、初めて負けたとかふざけてんだろっ。お前のスッカスカの辞書に『リベンジ』ってのを追加しとけ」
ユニフォームから着替え、海常の体育館前に集まる。
ピッカピカの顔をしたカントク率いる誠凛と相対するのは苦虫をかんだ顔をした監督率いる海常だった。
二人を背に、主将同士が握手を交わした。
「地区違うから、次はIHっすね」
「絶対行きます。全裸告白とか嫌だし」
疑問符をあげた顔つきをする海常のキャプテンである。まぁ、あの約束はしらないでしょうから。
さて、黄瀬くんはと言うと、会えないからとどこかに行っているらしい。どこだろう。
別れは心苦しいけど、再戦を胸に誓い、誠凛の一行は海常高校を去ったのだった。
2-黄瀬涼太
負けてしまった。初めてだ。バスケで負けたのは。
コピーできない、敵わないかもしれない、と思ったのは帝光での彼らがそうだったが、正式に負けたのは初だった。
やばいなぁ。と思った俺は水を浴び、顔を上げた。
そこで足音が近づく。
たしか、先輩たちは黒子っちたちを見送ったはずだが……と思い、見上げると、
「お前の双子座は10位、黒子の水瓶は3位だったが、まさか負けるとは思わなかったのだよ」
キセキの世代の一人である、緑の彼だった。
「まぁ、どちらが勝っても不快な試合ではあったが……猿でもできるダンクの応酬。運命に選ばれるはずもない」
俺はぶつくさと挨拶してから反論する。
「ってか、ダンクでも何でも、入ればいいじゃないっスか」
「だからお前はダメなのだよ。近くから入れて当然。遠くから決めるからこそ、価値があるのだよ」
そう言って、彼はテーピングされた左手を挙げる。そこにカエルのおもちゃがあった。
「俺は人智を尽くすために、おは朝のラッキーアイテムを持っているのだよ」
「毎回思うんスけど、最後んとこやっぱ分かんねぇっス」
「ふんっ、バカめ」
俺は思う。なんでこの”緑間真太郎”が、キセキの世代のNo.1シューターなのかと。
結局、俺が潰すからリベンジはできない、とかなんとか言って、緑間っちは去って行った。
高尾とかいう生徒を連れて。
3-紺野舞
――ってことで、海常を後にした私たちは、帰りに食べに行くことを考えていた。
「なぁ、何食べに行く?」
「あ、軽いの。俺、金ねぇわ」
「オレもー」
「おれもっす!」
「ちょっ待て!今、帰りの交通費抜いて、全員でいくらだ?!」
と日向先輩の一斉で持ち寄った金の総数は73円。と、
「700円?!」
「はい」
私の差し出したお金に、みんなが驚愕した。
「「「なんでこんなに?!」」」
「えと、念には念を入れて、といつも母から」
そこで小金井先輩が動いた。
「ねぇ、その金でみんなに奢ったりは?!」
「その構えが傲ってますよ」
そこへ相田先輩が間に入る。
「ダメよ、不用意に彼女のお金は使えないわ。だいたい、女子に奢らすなんて、ダメでしょ、男子として」
その言葉で、男子勢が一気に沈んだ。
そこで私は辺りを見回し、助け船を出した。
「じゃあ、いっそガッツリと行きましょう!」
私の言葉にみんな首をかしげたが、店内には行って、納得した。
『超ビッグ牛っ肉!!30分食べ放題!!でも、食べきれなかったら一万えーん!!!』
という長いスローガンのお肉が先輩たちの前に並べられた。
それはもう、本当に大きなステーキであった。
「で、えっと、これを食えと?」
「そうよ」
「食い終えそうにないんだけど……食えなっかったらどうすんだよ」
そう日向先輩が問うと、相田先輩は平然として言った。
「なんのために毎日走りこんでんのよ」
と、言外に脱走という言葉がある。みんな思っただろう。
(((バスケのためだよ!!!)))と。
それでも、出されたのだから仕方ない、と必死にナイフとフォークを動かし始めた。
ある者は涙を浮かべ、ある者は目を反転させて倒れそうになっていた。
現に、
「水戸部―!!!」
「このステーキ、素敵!!」
「ごめん、いまそれ、超ウザい!!!」
「すいません、ギブです」
「黒子ぉぉぉぉおおおおお!!!」
と、皆、死にかけだ。
皆は小さく呻いた。
「お、終わった……」
と。
そこで、赤髪が揺れた。
「なぁ、これっておかわりあるのかな?って、あれ?みんな食わないの?ですか?」
バカ神くんは、ケロリと、リスのように食していたのだった。
ちなみに、
「なんでお前ら二人はパフェなんだよ!!!」
「「節約のおかげです」」
と、私と相田先輩は、二人でチョコパフェを食べていたのだった。おいしっ。
そして、バカ神くんのおかげで逃亡はせずに済み、全て平らげられていた。
私は、外の風に当たってくる、というホクロくんを連れ、先に出た。
「すいません、紺野さん。パフェ食べ終わってなかったでしょ」
「いや、どうせ小食だし、相田先輩が食べてくれるから」
「そうですか……あっ」
ホクロくんが何かに気づいた。
私が視線をたどると、
「ニセ」「黄瀬くん」
がいた。
彼も私たちに気づき、遠慮がちにこう言った。
「ちょっと、その、話さねぇっスか?」と。
4-火神大我
オレがステーキの大半を食い尽くし、腹がやばくなったところで、ちょうど完食。
「さすがに食い過ぎた……」
そう言って店を出た。
もう来んな、と恨めし顔でいう店長を背に、オレたち誠凛高校バスケ部はぞろぞろ歩く。
オレもそれに倣う。
「んじゃ、とりあえず集合!……って、あれ?黒子は?」
「どうせいつもみたいに最後尾に……」
オレも振り向くも、
「いや、いないっすよ。マジで」
だったので、カントクと主将が揃ってキレた。
「んだよ、いねぇのか、舐めやがって」
「そいや、紺野さんもいないわね…逆海老の刑に処すわよ」
こ、こぇえ。
で、手分けして探すことになった。メンドイが。
しばらく歩くと、ストリートでバスケをする連中を見かけた。
彼ら越しに、見慣れた二人を目にし、オレはそこへ進んだ。
5ー紺野舞
ニセ、ホクロくんと私は三人で公園に来た。
ニセはバックからボールを出し、頭にのせてベンチの背もたれに身体を乗せた。
足を伸ばし、バランスをとる。
「落ちますよ」
「大丈夫っス」
「つか、落ちろ」
「ちょ、紺野っち!?」
空を見上げながらニセは溜め息をついた。
「もう、高校入って早々、黒子っちにはフラれて、試合には負けて、紺野っちには怒号くらって、踏んだり蹴ったりっスわ」
その声にホクロくんはやや考え顔で答えた。
「すいません」
「ざまぁ」
「ざまっ?!」
「紺野さん、さすがにそれはどうかと……」
「あら、じゃあ、ごめん」
「まあ、…………いいっスけど」
「なんだ、その間は」
「ノリっスよ!!」
その反応で、私は突然筆箱を漁った。
「それは糊!ノリ違いっス!」
今度はサブバックから、
「それは海苔!なんでこんなこと言わせてるんスか?!」
作品名:第7Q 最後に黒子っちとバスケできたしね 作家名:氷雲しょういち