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神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件~41-48話

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 あの手術から1ヶ月、彼の息子は走り回れるまでに回復していた。
今まで心臓が悪くてろくに歩く事さえ出来なかったのに、それが信じられない位に回復している。
もう回りの子供達と比べても全く変わりない元気な子供だった。
「ぁ、シャマル先生!」
 あっという間に子供達が集まってくる。
シャマル先生は優しく暖かい笑顔で子供達を抱き上げたり頭を撫でたりしている。
 そんなシャマルを離れた所から組長は見ていた。
その時、斜め上から差し込んだ光に彼女の姿が変わって見えた。
その瞬間彼女の背中に大きく白い翼を見た。
その翼が優しく子供達を包んでいた。
 もう一度瞬きした時にはいつものシャマル先生だった。
「オイ、今のを見たか?」
 彼は護衛の組員にそう聞いた。
「見ました……今のは一体?」
「今日を限りに組を解散する!もうヤクザから足を洗うぞ!」
 こうして彼はマフィアを辞めた。
それから彼は得意の絵を生かして生活を始めた。
 教会に出向き絵を描かせて欲しいと頼み込んで日々の糧を得るようになった。
彼の描く絵はいつも決まって女神が天使と遊んでいる絵だった。
その絵を見る者は暖かい涙を流すほどに愛に溢れた絵だという。
 そう、その絵は彼が見たあの光景をモチーフに描かれていた。
優しいシャマル先生と子供達のあの光景を思い浮かべて描いていた。

 何年か後、彼は全米でも5本の指に入る画家として大成したという。
晩年彼はこういう話をしていた。
「若い頃はさよく絵の裏にコカイン貼り付けて運んだんだよな」


 「ぁ、シャマル先生!」
 今日も子供達が集まってくる。
シャマルは子供達に優しく回復魔法を掛けていた。
「早く退院できますように」と……