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神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件~81-90話

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 翌日、大変な事になっていた。
部族の人たちが殺気立っている。
何があったのか?
「そもそもジャガーは私達にとって神なのだ、
そのジャガーを殺すとは言語道断とても許されるべき物ではない」
 それが族長の突き付けてきた意見だった。
「でもスーちゃんが襲われていたんです、彼女の命を守る為に死なせない為にどうしようもなかったんです」
 シャマルの言葉は届かなかった。
「神が彼女の命を望んだのだ我々はそれを止める事は出来ないよ。それがジャングルの掟だ」
 そう一般文明社会と彼らジャングルの民とでは全く死生観も考え方も違うのだ。
彼らにとって自然その物が神であり神の意志には逆らっては行けない物なのだ。
「ちっ、仕方ねえなあその神様を殺したのは俺だよ」
 そう名乗り出たのは与那覇先生だった。
「俺もそんな掟があるなんて知らなかったし、守りたいから守っただけだそれにその神様とやらは俺より弱かった」
「何だと?神が人間より弱い?」
「ああそうだ、俺より弱かった」
「そんなバカな事があるはずがない、きっと何か武器を使ったに決まっている!」
「使ってないよ、俺のこの手以外は?」
「確かに与那覇先生は武器を使っていません、素手で自分の力のみでジャガーを倒しました」
 シャマルが証言をする。
 それでも信じようとしない部族の人たちに納得して貰う為与那覇先生が演武をする事になった。
 まずは天然石折り、手刀の一撃で手に持った石を砕いてみせる。
そして村の近くに生えていた椰子の木を一撃の下にへし折って見せた。
 空手は己が肉体その物が武器である。
武器と化した肉体はあらゆる物を粉砕し破壊する。
 流石に部族の人々も納得するしかなかった。
ジャガーよりジャングルの民よりも強い人間が居る事に。
 でも、スーはもう部族には戻れないという。
一度神が望まれた物、部族に戻るには一月の間ジャングルを一人で彷徨い、
再び生きて帰ってこなければ戻る事は許されないのだという。
「そんな!そんな事をすればあの子が死んでしまいます!」
 シャマルが反論するがまたその意見は通らなかった。
「なら、あの子は俺が貰う!文句は無いだろう?」
 与那覇先生だった。
 彼らもそれ以上は文句を言わなかった。
こうしてスーは与那覇先生の養子になった。
 でもまだ与那覇先生は諦めては居なかった。
シャマルと結婚する事を……