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神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件91-101話

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 一方こちらはアルゼンチン、シャマル達は地方都市の診療所を回る生活だった。
 この国では圧倒的な医師不足で月に一度しか開かないような診療所も珍しくはない。
 シャマル達は地方都市の病院を拠点に診療所を回る生活を始めた。
 一方、スーは見る物全てに興味を示していた。
新しい服を買って貰え、靴も買って貰えた。
見た事もない建物、病院は比較的清潔で綺麗だった。
 現地の言葉は殆ど分からないが日本語と英語はかなり分かるようになってきた。
もうある程度の読み書きをし始めていた。
 そんなときシャマル達の元にある小包が届けられる。
中には予防接種のセットが入っていた。
 それを見たマルク先生が酷く深刻な顔をする。
「マルク先生、どうしました?」
 そう聞いたシャマルに、マルク先生が答える。
「困ったよ、次の南アフリカは既に地獄と化しているようだ。
1日何千という人間が死に恐ろしいペースで病気が蔓延している。
我々は細菌兵器が使われた戦場へ飛び込むような物だ。
この中でも何人かが命を落とすかも知れない」
 そう、送られてきたのは開発されたばかりの予防接種、
まだ効果があるのかさえ判らない代物のワクチンだった。
 そして病気の名前は「エボラ出血熱」感染すれば致死率50%以上、感染力も強いと来ている。
「そのワクチンを信じましょう、信じて使わなければ私達は前に進めません」
 シャマルの決断は早かった。今使わなければ手遅れになる。
ワクチンは、摂取から最低2週間、出来れば1ヶ月以上経たないと効果はないのだ。
 シャマル達はすぐにワクチンを接種した。
特にスーは念入りに経過観察をして2週間後にもう一度摂取したほどだった。