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神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件91-101話

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 年が明けてすぐシャマル達はアマゾン川を下り始めた。
目指すは首都ブラジリア、一週間かけて川を下る。
 スーにとってそれは新しい世界への旅立ちでもあった。
だんだんと広くなる川幅、少しずつ切れていくジャングル。
見る物全てが驚きの連続だった。
 途中の町で船を乗り換える。
交替の医師達が今までの船に乗り込んでまたスー達の村を目指すのだ。
 そして始めて見る車、もの凄く大きな建物、もの凄く多くの人々、スーにとって、これほど多くの人間を見た事はなかったのだ。 
目をぱちくりさせて驚くスー、でもそれはまだ序の口でしかない。
予定通り首都に着くとすぐに日本大使館へ出かける。
 スーの養子縁組と日本国籍を申請する為だった。
事情が事情なため簡単には行かないだろうと思われたが案外簡単に認められてパスポートまで発行して貰えた。

「与那覇先生、本当に連れて行く気かね?」
 マルク団長がそう聞いた。
「ええ、この子を預けるあてなんてありませんし、この子を一人にも出来ません、何があっても俺が守り抜きます。
それにこの子に見て欲しい、知って欲しいんです、人間の強さ、弱さ、優しさ、汚さを、それを全て知って強く大きな人間に育って欲しい」
 与那覇先生は本気だった。
こうして一行は次の国、アルゼンチンに向けて旅立った。