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神手物語(ゴッドハンドストーリー)名医の条件102話~EP

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第102話 もっと強く

 季節は7月中旬、シャマル達はエチオピアに来ていた。
7月ならかなり暑いはずのアフリカにあってエチオピアは涼しい。
 平均標高2400m海抜が高い為非常に快適なのだ。
でもこの国もまた疲弊しきった非常に貧しい国だった。
約20年前の内戦とその10年後に起きた大干ばつは約10万~25万の死者を出し最近は隣国のソマリアから大量の難民が流入していた。
 隣国ソマリアは未だに内戦状態だったのだ。
 ここもまた地獄だった。
内戦は戦う意思のない人々を難民に変え回りの国々にも多大な被害を及ばす。
 ただ、今回は事前に情報を掴んでいた。
またしても難民キャンプの救済だったが、こちらは少しずつ支援が進んでいた。

 それでもソマリアからの難民はもの凄い数だった。
10万人以上もっと居るだろうか?
無政府状態となった国から脱出してくる人で日々キャンプは膨れ上がっている。
 そんなキャンプの人々を治療して回るシャマル達、コンゴの時の様な悪夢がそこにあった。
 でも同じ轍は二度と踏まない。
この国では80年代から続く支援金がまだ備蓄されていた。
これをコンゴの教訓を生かして井戸掘りと芋の栽培、食糧支援に回して少しずつ成果が上がり始めていた。
 確かに苦しい医療である。
でも、その先に少しずつ明るい兆しが見えてきていた。
 ただ困った事は、シャマル達が来る前に女神伝説がこの国に伝わっていた事である。
「女神様ならきっと何とかしてくれる」
 そう言うとんでもない期待の眼差しで見られる事にシャマルはすっかり辟易していた。