神手物語(ゴッドハンドストーリー)名医の条件102話~EP
一方、もうすぐ夏休みのなのは達、学校と管理局の両立は、非常に大変だった。
最近は管理局の仕事があると御式内の修行が出来ない事も多く少しばかり焦りを感じているなのはだった。
そんなある日の事だった。
「お姉ちゃん、一度本気で相手をして下さい」
なのはは今の自分の強さを知る為美由希に組み手を申し込んだのだった。
「いいわよ別に、ただあんまりガッカリさせないでね」
こうして本気で戦う事になった高町姉妹、だがそこには信じられないほどの実力差が立ちはだかる事になった。
道場でなのはと美由希が睨み合う。
御式内同士、お互い手の内は分かっている。
いや、より多くの奥義を知っている美由希の方が断然上なのだがそれ以上に実戦経験が違うという事になのはは自分の弱さを噛みしめる事になる。
組み手を始めた瞬間だった。
最初は差し手争い、お互い相手の手を捌き合いながら距離を詰める。
なのはが美由希の手首を掴んだかに見えた。
でもそれは掴んだのではなく掴まされていた。
そのままもの凄い勢いで壁に向かって投げられていた。
壁に叩き付けられる寸前で受け身を取って壁を蹴るなのは、その瞬間美由希に飛び込まれていた。
容赦のない当て身がなのはの全身に突き刺さる。
奥義を出す間さえ与えて貰えずあっという間にKOされていた。
暫くして気が付いたなのはは、天井を仰いだまま大の字になっていた事に気が付いた。
全く何もさせて貰えなかった。
しかも奥義を出させることなく通常の技だけで簡単にやられていた。
「あれが5段の世界……」
今まで築き上げてきた自信がプライドが一気に打ち砕かれていた。
天井を見上げたまま涙が溢れて見えている物が滲んだ。
もう、フェイト達と1対1の組み手では自分の強さは伸びない、もっと強い相手ともっと数多くの戦いを経験しないととてもあの領域に到達出来ない。
それにこの所フェイトやはやて達もその忙しさから稽古に来る事が減っていた。
それでも何とか教えられた奥義位は使いこなせる様になろうと試行錯誤の毎日が続いている。
あれからはやてが無双取りを成功させる様になり後少しで使いこなせると言う所まで来ている。
フェイトも無拍子を後少しで体得出来そうだ。
特に稽古に来る機会が減っているシグナムも、無双取りと無拍子を何回かに1回の割合で成功させている。
完全に体得するまで後少しだ。
なのはは修行法の変更を余儀なくされていた。
どうすれば強くなれるのか?
「まずは覚えられる限りの奥義を全部覚える、それからもっと強い人たちと戦って強さを磨く」
それがなのはの出した答えだった。
まずは難場走りの強化、山駆けを2往復に増やした。
次に士郎に頼み込んだ、そろそろ新しい奥義を教えて欲しいと……
作品名:神手物語(ゴッドハンドストーリー)名医の条件102話~EP 作家名:酔仙