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新生勇者戦記 ブレイヴ・サーガ・ディザスター 第63話

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  第63話 「新たなる邂逅と野望」


  謎の魔法少女 「まじめに聞いてくれないのなら、あたしは去るから・・・。」  

  真面目に苛立ったのか、謎の魔法少女はその場を後にしようとする。勇士朗はそんな彼女を必死に引き止めた。

  勇士朗 「あ、不快な思いをさせちゃったならゴメン!!ま、悪気は無いんだ!!本題に移るから許してくれ・・・!!!」

  謎の魔法少女 「そこまで聞きたい??」

  勇士朗 「ああ。もしかしたら、魔女の存在は地球規模の問題かもしれないと思ったからさ。俺達は今まで宇宙の侵略者が送り込んだ巨大生物と闘ってきたんだ。だから新たな脅威の存在となれば俺たちも闘いたい!」

  勇士朗がそう言うと、再び腰掛けて彼女は魔法少女のことを語り始めた。

  謎の魔法少女 「魔法少女は・・・そのキュゥべぇってヤツとの契約によって生まれる存在。かなえたい願い事と引き換えにね。ケドその代償に・・・・・魂を抜き取られて・・・・魔法少女自身はこんな姿にされてしまう!!」

  肌身離さず実につけているジュエル・・・ソウルジェムを取り出してみんなに見せる。

  唯 「わー綺麗!!わたしそれほし・・・もむがっ!」

  天然発言が炸裂しそうになった瞬間、律は唯の口をふさいだ。

  律 「まーた話がこじれるから唯も黙ってろ!こんな姿って・・・どういうことだ?」

  謎の魔法少女 「・・・・この中にあたしの魂が入ってるってコト。もっと言うなら今しゃべってるあたしの身体はゾンビみたいなもの・・・・それに、もう二度と元の身体には戻れない!!!」

  律 「おいおい・・・ゾンビって・・・!!!」

  梓 「え??もしかして・・・これ・・・ひどい話なの??」

  光 「・・・・思春期真っ只中の女の子がそんな目に遭うだなんて・・・・なんか、むかつくぜ!!!そのキュービーだか、キュべレイだかってヤツ!!!」

  勇士朗 「・・・・あ、ああ!!あと、魔女を倒した直後に何かやっていたけど、あれは??」

  謎の魔法少女 「このソウルジェムの汚れをグリーフシードで取っていたの。魔力とこの身体を維持するために・・・・。」

  勇士朗 (どう考える?ファイバード。汚れって言うのがマイナスエネルギーに凄く感じが似ていた!!)

  勇士朗は中のファイバードに呼びかけた。

  ファイバード (おそらくは似た性質のエネルギーだろう。だが、いずれにせよドライアスにとっては格好のエネルギーの源であることは変わりないな。とりあえず今は、彼女の話に耳を傾けよう。)

  一同は、より非現実的な事実を知り、やるせなくなる。謎の魔法少女は更に続ける。

  謎の魔法少女 「だから、仮にもし、キュゥべぇと遭遇したらあなた達女性陣は決して耳を傾けないで!!こんな目に遭うのはあたしだけで十分なんだから・・・・!!!」

  梓 「・・・・・!!」

  悔しそうに涙を浮かべる魔法少女。いち早く彼女の涙を見た梓。彼女の悲痛な思いが、日常の裏に隠された別の黒ずんだ非日常の世界があることを感じさせる。

  謎の魔法少女 「キュゥべぇは・・・外見的には白いウサギに似た可愛いヤツだよ。けど、絶対に外見で騙されちゃダメだ・・・・!!!」

  澪 「じゃあ、とてもメルヘンな話じゃなかったんだ・・・・ところで気になってたんだけど、学校の制服、この近辺の学校の制服じゃないよね?それにその感じだと何日も帰っていない感じじゃないのか?何処の街から来たんだ?」

  すると彼女はこれまでの自らのことを話し始めた。

  謎の魔法少女 「・・・・・あたし・・・失恋してね。幼馴染を友達にとられちゃったんだ・・・・・それで闘う理由を失って・・・更にこの身体のことも知らされたショックで嫌になって街を飛び出した・・・大切な友達とも仲をこじらせちゃってね。後は身体を維持するために魔女狩りをする日々・・・気づいたら、二ヶ月も経ってた・・・。」

  俊 「おいおい。じゃあ、どうやって生活・・・!!」

  謎の魔法少女 「そこは聞かないで・・・聞かれたくない・・・聞かないで・・・!!!」

  悲痛に強調するように訴える彼女。それを聞いた一同は直感してしまう。してはいけない手段で生きてきたということを。更に重い空気が公園を包んだ。

  勇士朗 「・・・・・とにかくそのキューベーが魔女のことについて知っていそうだな。元凶はそいつだ・・・・君は悪くは無い。思いつめるな。」

  謎の魔法少女 「同情なんてされても・・・何にもならないよ!!!こんな身体になった気持ちは魔法少女以外わからない!!!」

  その場を走り去る彼女。場の雲行きが更に怪しくなる。初めとは明らかに感じが変わっていた。

  勇士朗 「あ!!待てっっ!!」

  公園の入り口へ走る彼女。その時、偶然にも聡と友人の琢磨がそこを歩いていた。

  謎の魔法少女 「!!」

  琢磨 「へ?!」

    ドンッ!!

  琢磨 「っ・・・・!!」

  謎の魔法少女 「・・・・!!!」

  その場に尻餅をついて転ぶ少女と琢磨。聡は見知らぬ少女とのドラマにありそうな展開を目にして若干テンションが高ぶる。

  聡 「おおおお?!どーした、どーした?!この展開、ドラマか??!」

  琢磨は、痛みをこらえて立ちり、謎の魔法少女に手を差し伸べた。

  琢磨 「いててて・・・・大丈夫?」

  謎の魔法少女 「――――!!!」

  ついさっきまで苛立ちと殺気を立たせていた彼女の表情が一瞬で和らぐ。彼女は何も言わずに琢磨の手をとっていた。何故か彼女は失恋した幼馴染を初対面の琢磨に重ねていた。

  聡 「おお〜琢磨チャンスじゃん!!漢の春きたあああ!!!」

  琢磨 「な、何言ってんだよ?!聡!!勝手に話進めんなってー!!」

  謎の魔法少女 (恭介?いや、んなわけない!!目がなんとなく似てるだけで違う。けど・・・。)

  この状況を目にした律は頭を抱える。

  律 「ああ〜・・・話が余計にややこしくなったあ〜!!!」




  次の日の昼、舞人が、桜ヶ丘工業高校を訪れる。校内放送で勇士朗の名が呼び出された。

  校内放送 「火鳥勇士朗君、火鳥勇士朗君、至急校長室まで来てください。火鳥・・・。」

  教室内でたむろっていた蓮が美味い棒をかじりながら勇士朗に突っ込む。

  蓮 「お前なんかやったのか??」

  勇士朗 「何もやってねーよ!!いったいなんだぁ??」

  俊 「ひょっとして昨日の魔法少女が来たのか??」

  この時点で俊の読みは半分当たっていた。だが魔法少女どころか旋風寺舞人の呼び出しというのは知るよしもない。

  蓮 「結局、あの後成り行き上、律っちゃんが保護(?)することになったんだよなー。まさかあそこで聡のやつらがあのコと鉢合わせるとはな〜。」

  俊 「マジ、どこでなにがあるかわからんな。」

  勇士朗 「澪が律っちゃんから聞いた話だと、彼女の名前、『美樹さやか』って名前らしい・・・ま、とにかくいってくるぜ・・・。」