必殺仕事人 in ヴォルケンリッター 第10話
「こんにちは、スカ博士」
「なんだそれは、ジェイル・スカリエッティ様と呼べ」
「長いし言いにくいやん、スカ博士でええやん」
「事件の事なら話さないぞ」
「事件の事はええねん、今日はこの前フェイトちゃんに話した理論が間違ごうとる言う事を言いに来たんや」
「間違っているだと?私の理論は完璧なはずだ、ミスなど有るはずがない」
「じゃあ、次元存在確率論って知っとるか?」
「次元存在確率論?なんだそれは?」
「やっぱりなぁ、じゃあこれを見てみ」
そう言って手渡したのは、シャマルの大学の教科書を抜粋した物だった。
「ふむ、面白そうな理論だが……」
読んでいく内にスカ博士の顔が青くなっていく。
「済まないが何か書く物を貸してくれないか?」
何か猛烈な勢いで書き始めたスカ博士、いろんな公式やら数字やらが踊る。
「何て事だ、これじゃあ私が支配する世界が無くなるではないか?」
「どういう事や、って言うかまだそんなアホみたいな事を考えとったのかい?」
「私の理論は完璧だ、アルハザードはこちらに呼び出せるだろう?……だが」
「だが、なんや?」
「呼び出した後どうなるかまで、考えていなかった」
「その後どうなるんや?」
「存在衝突という現象が起きる」
「存在衝突ってなんや?」
「存在衝突とは、同一時空内に同一個体が二つ以上存在出来ない場合、パラドクスを解消する為に、
一つの個体がもう一つの存在を消滅させようとして衝突が起きる現象だ」
「衝突が起きるとどうなるの?」
「途方もないエネルギーが放出される、それもこの次元世界全てを消滅させられるほどに」
「よく分からんなぁ」
「そりゃそうだろう、例えば、物質衝突による反応消滅が起こったとしよう、1gのアルミニウムが反応消滅した場合のエネルギーは、
およそ10万トンの海水を1秒で蒸発させるほどだが、存在衝突の場合はそれの10×10億乗倍のエネルギーが発生する」
「そんな事言うたら、一円玉一つで星一つ吹っ飛ばせるやん」
「その通りだ、ただそれだけじゃあない、その最初に衝突した物と存在が繋がる物が全て連鎖反応的に誘爆する。
つまり、アルハザードと繋がりのある物全てが存在衝突に連鎖して反応消滅を起こす」
「ってことは、ミッドチルダは滅びると……?」
「そんな生やさしい物じゃあない、存在の力はその物が回りに与えた影響によって更に大きくなるんだ。
つまり、私も、ナンバーズ達も君も私に係わった全てがアルハザードと繋がってしまっている、
その全てが反応消滅を起こすんだ。
その光景を見てみたい物だが、見る事は叶わないだろう」
随分というか、もう凄すぎて話にならないほどえらい事態になっていた。
「こりゃやばいで、はよ帰ってなんとかせんと……博士今日はありがとな」
「こちらこそ礼を言わなければならない、実に有意義な思考が出来たのだから」
作品名:必殺仕事人 in ヴォルケンリッター 第10話 作家名:酔仙