必殺仕事人 in ヴォルケンリッター 第12話
仕事が始まった。
「奴のオフィスは、18階の25号と……」
スコープを覗くと奴の姿が確認出来た。
弾丸は、Raufoss Mk 211(作:Raufoss Mk 211、焼夷弾と徹甲弾、炸裂弾の効果を併せ持つ弾丸で、劣化ウラン弾でもある)
彼はレバーを起こすと後ろに引いて薬室に弾丸を装填した。
そのままレバーを戻して元の位置に倒すと二脚を開いて銃を固定する。
ここは本部ビルから1500m離れた一般のビルの屋上だ。
バレットM82A2対戦車ライフルの射程はおよそ2500m、弾丸の飛距離は実に12Kmに達する。
ここからなら余裕の距離だ。
風は南南西1.2mほとんど障害にならない風だった。
一方、オルネライア執務官はドアに注意を払っていた、窓側はビルの外500mにバリア、そしてはめ殺しの窓は防弾ガラス、襲ってくるならドアしかないと踏んでいた。
ヴァイスはトリガーに指をかけ、ゆっくりと引き絞った。
瞬間、もの凄い轟音と共に爆煙と炎がマズルブレーキから吹き出す。
放たれた弾丸はあっさりとバリアをぶち抜き、ガラスに小さな穴を開けた。
直後、オルネライア執務官は胸から上を木っ端微塵に吹き飛ばされ、彼の部屋は瞬間的に5000度の炎が支配した。
「ラグナ、敵は取ったぜ」
夜中の国道を、西に向かって走る車が1台、あの5人が乗っていた。
「八神ってのは随分辺鄙な所に住んで居るんだな」
「この距離やばくないですか?市内までぎりぎり砲撃が届かない距離ですよ」
「なかなか、考えているじゃないか」
国道から分かれる道まで来た時、道の真ん中に、甲冑姿のはやてが立っていた。
「遅かったなぁ、もっと早う来るかと思ったわ」
「これはこれは、わざわざ殺される為にお出迎えご苦労」
彼のミスは車を止めて外に出てしまった事だった。
ズドッ
瞬間、背中から剣が彼の胸まで貫通していた。
暗闇に潜んでいたシグナムにあっさりと殺されたのだ。
「殺されに来たのは、どっちやろうなぁ?」
残り4人のザコ達は、もはやどうする事も出来なかった。
一人は窓から入ってきた太い腕に掴まれると首をへし折られて絶命した。
後部座席の真ん中に座っていた一人はガラスの外からペンデュラムで頭を打ち抜かれた。
はやてが助手席のドアを開ける。
外に転げだした一人に、ラケーテンハンマーが振り下ろされる。
最後の一人は完全凍結されて、砕け散った。
翌朝、港で無惨に殺された4人が乗った車が引き上げられたという。
「じゃあ拘置所まで護送をお願いします」
あの3人を、護送車に乗せてギンガがハッチを閉じた。
この護送車は一旦ハッチを閉めると中からでは絶対に開ける事が出来ない。
掛けたバインドが解かれると内部は密閉式のAMF空間に代わる仕組みだ。
そのため犯人達と一緒に看守が乗る事はないのだが、それを見越していたかの様にどこかから弾丸が飛んできた。
ガンッ
金属音がした瞬間、護送車の装甲が大きく凹みその真ん中に穴が空いていた。
もう一度ハッチを開けると犯人達は黒こげの焼死体になっていたという。
遅れて遙か遠くの方から銃声が聞こえてきた。
どおやら狙撃だった様だ。
「主、今回の様な危険な事はなるべくおやめ下さい、我々の目の届かない所で何かあっても困ります」
「う~ん、シグナムがそう言うならちょっと気を付けるわぁ」
「でも、奴らはこれで本腰を入れて仕事人を潰しに来るやろうねぇ?これからはキツイ戦いになるよ」
「はい、望む所です」
第12話 完
作品名:必殺仕事人 in ヴォルケンリッター 第12話 作家名:酔仙