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こらぼでほすと 十一月5

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「あいつは、ちゃんと欲しいものを言うから、それにする。あんたは言った試しがないだろ? 」
 同じ日に生まれた双子の嫁のほうは、その日に何かしら刹那から貰っていく。だから、そちらは、いいのだ。このおかんは、そんなこと言ったこともないので、刹那も、ちゃんとしたモノを贈りたいと思う。
「・・・欲しいもの・・・・欲しいものねー・・・・」
 刹那の髪の毛を撫でて呟いていたが、そのうち無言になった。すぅーっという寝息になったので、刹那が見上げると、すでに親猫は眠りの中だった。
 ほら、あんたは言わないじゃないか、と、刹那も苦笑して目を閉じる。さすがに、ティエリアの組んだ降下スケジュールは強行だった。途中、乗り換えなんか全速で走らないと間に合わないという代物だったから、刹那でも疲れた。温かい体温に晒されると、刹那も眠りに誘われる。これがあるから生きているという実感がある。後十日、その後は、地上のことを心配せずにいられると思うと、刹那も嬉しい気分になる。



 深夜を廻った頃に、ようやく寺の住人が戻って来た。ライルも、こたつに転がって居眠りしていたが、騒々しい足音で目が覚めた。
「お疲れ様です、義兄さん、悟空。」
「お疲れ、ライル。ママは寝た? 」
 寺の住人からは、美味しい匂いが広がってくる。本気で焼肉だったらしい。
「ちゃんと寝たぜ、悟空。風呂は保温してるから入れると思う。」
「おう、じゃあ、俺も入って寝る。」
 そのまんま、すったかたーと悟空は風呂場に消えた。残るのは、無言の坊主だ。そのまま、居間の隅に用意されている普段着に着替えて、こちらも風呂場に消える前に、「もう、寝ていいぞ。」 と、声だけかけていった。やれやれ、と、ライルも立ち上がる。とりあえず、こたつの上は先に片付けたので、許可さえ出れば寝るだけだ。


 脇部屋に入ると、ひとつの布団に親子猫が眠っていた。ぴったりと寄り添うように寝ているので引き剥がせない。

・・・・でも、エロくもなんともないんだよなあ・・・・・・


 大の大人が寄り添って寝ているのに、そういういかがわしさは感じない。どっちも、ぐっすりと寝ているらしく、ライルの物音にも反応がない。とはいうものの、端の布団に一人で寝るのは寂しいから、真ん中の布団に横になり、逆側から刹那の背中に張り付くように横になる。掛け布団を刹那にもかけてやると、ライルも、あふっと欠伸が出る。実兄が包む刹那の身体は温かいものだ。この場所を確保したい、と、刹那は願う。刹那は、今のパートナーで女房のライルと共に戦って、ここに戻る。どこまでも、双子一緒だけど役割は違うんだな、と、思うとおかしくなる。でも、ライルが失くした家族が、違う形で戻って来たのだとは思う。後少しで、この時間と場所は確保できる。そう思うと、ライルもほっと安堵して目を閉じた。




 翌日、刹那が目を覚ましたら、でかい双子に挟まれて寝ていた。親猫のほうは、やはり軽い昏睡状態であるらしく、刹那が動いても目を覚まさない。嫁のほうは、目を覚ました。
「あーあーよく寝た。おはよーダーリン。」
 と、言いつつ寝返りをうって、さらに二度寝の態勢だ。まあ、疲れたのだろうから、放置して起き上がる。刹那も疲れてはいたが、それでもロックオンほどではない。回廊を降りて、居間に顔を出すと、悟空が、ほっとした顔になった。
「よかった。刹那、ママにクスリ飲ませて欲しいんだ。・・・えっと、とりあえず、朝昼晩。いつもの液体と、別に丸薬を一個ずつ。あと、水分も摂らせてくれ。夕方には俺が帰ってくるから。」
 そろそろ学校へ出かける時間だが、なかなか刹那が起きてこないので、脇部屋に行こうと思っていたらしい。寝ているだけだが、栄養は摂らせておくほうが安全だから、悟空が、それをやっているのが、いつものことだ。矢継ぎ早に、介護方法を説明する。
「了解だ。他には? 」
「別にない。寝てるだけだからさ。・・・もしかしたら、八戒かドクターが様子を見にくるかもしんない。あと、メシは、そこにあるから適当にしろ。昼は冷凍庫のヤツをチンな? 」
 寺の女房は、ちゃんと起きられないことを予測して、朝の支度はしていた。だから、それなりのものは用意されている。じゃあ、後は頼んだっっ、と、悟空はカバンを片手に走り出した。
「嫁は、どうした? 」
 悟空がドカドカと廊下を走って消えてから、ようやく坊主が卓袱台にいるのに気付いた。こちらも食事は終わっているから、のんびりとタバコタイムだ。
「二度寝した。」
「とりあえず、俺の女房の介護をしてこい。」
「了解した。」
 坊主当人は動く気がない。刹那が言われた通りの準備をして出て行く。まあ、起きられないことは予想していたのだろう。ちゃんと坊主の昼ご飯には、シナチクの入った野菜炒めが冷蔵庫に用意してあった。それをインスタントラーメンの上に載せれば、坊主のリクエスト通りのメニューになる。
作品名:こらぼでほすと 十一月5 作家名:篠義