二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

明かされない秘密を解くということ

INDEX|2ページ/2ページ|

前のページ
 

 昨日まで俺の事を気持ち悪いだと鬱陶しいだとと嫌っていたはずの彼は何処に行ったというのか。ひょっとしたら双子?と突飛もない発想をしてしまう程、今の彼はまるで別人のように可愛く…そう、可愛く思えてしまうのだ。
 俺も頭がどうかしてしまっているのかもしれない。小春ならまだしも、財前に可愛いなどという感情を抱くなんて、考えもしなかった。
 からかってやろうだなんて軽い考えはもうどこかに飛んで行ってしまっている。今はただ、目の前にいる財前を…。

「悪いけど、それはできんわ」
「え?」

 財前の瞳が不安な色に揺れる。やっぱりダメだったか、という絶望にも似た悲しい落胆の色。そんな彼の頬を両手でつかみ、額をコツンとぶつけた。重なり合った額がひたすらに熱い。今初めて、自分の顔もまた熱を持っている事を自覚するが、いまはそんなのどうでもいい。

「やって俺はお前にキスしたいねん」

 ニカッと笑った後、彼の唇に噛み付くようにして吸いつく。チュッというリップ音が二人の間で奏でられ、それは少しの間も置く事なく、誰もいない裏庭に響き渡る。そういえばいつの間にか小春も席を外したようだ。
 そして何度目かのリップ音の後、財前は俺の頬を突然つねりあげた。突然の鋭い痛みに思わず「痛っ!」と叫んで、彼から身を放すと、財前はキッと眉を吊り上げ、ワナワナと震え、握りしめた拳を俺に振り下ろす。なんとかギリギリの所でそれを回避し、彼に抗議しようと身を乗り出すと、いつのまにか再び振り上げられた彼の拳が、今度こそ俺の頬にクリーンヒットした。

「調子に乗んなや!この万年発情期!」

 そう言って財前はダーッとコートの方に走り去って行ってしまった。ポカン、と口を開けたままでその後ろ姿を見送る。そして姿が見えなくなった瞬間、湧き上がった笑いに堪え切れず、プッと吹き出してしまった。

「あいつ、ラケット忘れて何しにコート行ったんやろ」

 足元に落ちたままの財前のラケットを拾い上げ、俺は彼の後に続くようにして、コートへ向かう道へと歩を進める。
 コートに着いたら何してやろうか。ギュッと抱きしめるのを忘れたから、いきなり抱きついてやろうか。彼の相方の謙也はギャンギャン騒ぎ立てるかもしれないが、面白い事になるのは間違いない。
 ただしコートに着いた俺に待ちかまえていたのは、その様子を見ていたらしい怒り顔の小春と謙也、そして白石だったのは…予想外である。

 この恋、可愛すぎる後輩に先輩が優しすぎて前途多難。