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【とある】とある神秘の氷彫刻師【①】

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「えっ〜、オレ?」
時魅の方はやる気が全く感じられない返事をした。

「う、うるさいっ!あんたが負けてればよかったのよ!!!」
顔を真っ赤にして御坂は叫んだ。

「わぁったよ。」
時魅はため息をついて御坂にケータイを向けた。

そんな2人の世界をスルーして残された3人はケータイを取り出した。
「あのですね、基本的な使い方は説明書を読んでますからわかるんですよ!
まずこの【ゆーざーでーた】を編集してっと・・・。」
水野の言葉はゆっくりだが、指先はとんでもなく早い。

「はいできました!紅葉さん、白井さん、やりましょうか。」
2人はうなずいた。

「そういえば、どうして水野さんは佐々木さんのことを【紅葉さん】と呼ぶのですか?
私やお姉様は苗字なのに。」
白井がふとケータイをいじりながらたずねた。

「そういえば変ですね。アメリカではみんなファーストネームだったので、やっぱりここでも
ファーストネームがいいんですが、御坂さんたちは苗字のほうがいいかな〜って。
感覚ですかね。」

水野が照れながら言うと、白井は微笑んだ。
「私のことは【黒子】と呼んでもらって結構ですわよ?お姉様もきっとそうおっしゃるに違いありませんし。私たちも貴方を下の名前でよんでよろしいですか?」

「はい。もちろんですよ、黒子さん。それに紅葉さんもわたしの事は【凛】でいいです。」
水野はケータイを操作するのを中断して顔をあげた。

「2人とも、よろしくです。」
そのときの笑顔がまぶしくて、佐々木は目を細めた。
―――本当に不思議な子だ(ですわ)。
2人の言葉が心の中でかぶった。


                     @

「さようなら〜!」
常盤台と長点上機の方向へ5人は別れた。
ただしこの出会いはこれからの人生の重要なピースになることなど、彼らは知らない。
ただ―――。
明日も笑えるといいな、と水野は思う。
つらく悲しい過去
おもいで
を胸に秘めているからこそ、強く、強く想った。