GANTZ Paradise Lost 田中星人篇
秀吉Side・・・
ふと気づくと、ワシはあの部屋に戻っていた。
部屋の奥には黒い球体が相も変わらず鎮座していた。
すでに部屋にはワシ以外のメンバーは全員転送されているようだった。
ある一人の人物を除いては。
「・・・・ナオ・・・・・」
ナオだけが居なかったのだ。
力が抜けたようにその場にへたり込む。
それと同時にやり場の無い怒りがこみ上げる。
―――あの場で、あの場で、ナオを助けられていれば・・・・!―――
激しい後悔と自責の念が押し寄せる。
「・・・・ちく・・・しょう・・・・・」
ふと、いつもなら決して言わないようなセリフが口から零れる。
「・・・・ナ・・・オ・・・・」
―――ワシのせいで、ナオが死んだ・・・・―――
「・・・・うっ・・・・うっ・・・うっ・・・・・・」
口から嗚咽が漏れる。
「ま、まあ、待ってりゃその内戻ってくるんじゃないッスか・・・?」
「そ、そうそう!時間差だよ時間差!!そのナオっちってのも死んでるのかどうか分かんないワケだし、ひょっとしたらどっこい生きてるかもしれないじゃん!」
外人風とチャイナ服がそう言う。
「そんなわけ・・・無いじゃろう・・・それなら今頃は転送が始まってるじゃろう・・・・?」
「・・・工藤さんはきっと帰ってきます」
するとマミがワシの隣に来た。
「私は工藤さんは生きてると思います・・・そうだって言う確証は無いけど・・・でも、少なくとも死んだとは思えないんです・・・」
「・・・・ナオは死んだんじゃ・・・ワシはそれをこの目で見た・・・・」
と、ワシがそこまで言いかけると・・・
・・・・ピュゥゥゥイィィ・・・
ガンツから再びレーザービームが照射され始めた。
それは人型を作り、徐々に実体化する。
そこに現れたのは・・・
「あ・・・帰って・・・きた・・・・」
ナオが立っていた。
作品名:GANTZ Paradise Lost 田中星人篇 作家名:プラスチッカー