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夢轍 [4] 兵が夢の跡、鉛の空と銃弾3

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すると前方に見慣れた顔があるではないか。ロベリアの心臓が跳ねた。それは多分、喜びだったのだと思う。見つけた、そうではない、探しに来てくれたのか、追われていることに誰かが気付いて知らせたのか、現実的ではない幾通りかの発想がロベリアの脳裏に浮かび、いよいよ前方の人物がマリクだと確信した瞬間、背後に迫る軍靴と声の距離に、ロベリアは気付かなかった。

 マリク、私は手に入れたのよ、この国の最大の機密、きっとこれがあれば私達にだって出来る、あなたの言うすばらしい理想は一歩実現へと近づく、だからあなたは自分の力で望む変革を勝ち取るの、そうでなくてはならないの、だってあなたは、あなたは私の



 寒空を劈く銃声も、何度も繰り返し名を叫ぶマリクの姿も、ロベリアには届かなかった。
 それでも、ロベリアは残る力全てで、ただ言うべき言葉を繰り返した。そうだ、私は、こうして、あなたの、そばに、居たかった…ただ、それだけなの。