俺とあいつと◯◯と
第二話 朝の交通事故
「うぉあ」
「きゃっ」
気づいたときには遅かった
当然、ぶつかったのが男と女ってこともあって体格差により、俺が女の子をはねたという形になってしまったのである
運動量と力積的には………って今はそれどころじゃない
「おい、大丈夫か!?」
俺は以前地面にへたりこんだままのその娘に慌てて声をかける
「…え!?あれれ…」
どうやら今だに何が起こったか理解できていないご様子である
とりあえず、何が起こったか説明しよう
「あ、そうなんだ〜、てっきり私、車にはねられたかと思ったよ〜」
「ほんと、申し訳ない」
のんびりとした口調で話す座り込んだままの彼女にぺこりと頭を下げる
多少、俺とぶつかったのを車と勘違いをしたことを大袈裟だと思いつつも……
「あれ?遥?まだこんなところにいたのか??」
どうやら湊が追いついてきたようだ
「って、どうしたん、その娘?………あれ、柊さんじゃん」
「え?知ってるの?この人」
再び柊さんとよばれし少女に目をやる
紫色した髪をもっているのが特徴的だった
………確かに何処かで見たことがある
しかし…
「な〜んか、雰囲気違うような…」
ぼそりと湊にこぼす
「………確かに」
湊も同意
こいつも思っているだろうが、なんかもう少し活発でさばさばしている覚えがあった
「あのぉ…」
俺と湊が考え込んでいる時、考えの対象となっている柊さんとやらが声をかける
「それってお姉ちゃんのことじゃ…」
「「あ」」
そういうことか
「重ね重ね申し訳ない」
またまたぺこりと頭を下げる
「あ、気にしないでください〜、私も地味で目立たないですから」
そう困ったような笑顔で答える
しかし、俺的にはそんな感じには思えなかった
「ん、とりあえず、話を戻そうか」
「話?」
忘れているらしい
「さっきのことだよ…というか、そろそろ立ち上がろうぜ」
「…え、あ、まだ座ったままだった」
……こいつ、素で天然系か
柊さんは恥ずかしそうに立ち上がる
………が、
「いたっ…」
突然と体がよろめく、今度は俺はその体を支えることができた
「…大丈夫か?」
「わっ、ごめん、ありがとう」
柊さんは更に恥ずかしそうに礼を言う
「お二人さん、お互いに知らないどうしなのに、朝から熱いねぇ」
その光景を見ていた湊がニヤニヤ顔で言う
「なわけあるか」
とりあえず、軽くつっこんでおいた
「あはは…」
柊さんはまた困った笑い
「そうかいww、まぁ、いいけど〜。ところでさ」
「「?」」
「急がなくていいの?遅刻するよ?」
「…あ」
すっかり忘れていた
それは、隣にいる柊さんも同じだったらしく、少々慌てた様子だった
そうか、そもそもお互いそれが原因でぶつかったのか
まぁ、とにかく、今は急がねば…
「湊、柊さん、急ぐぞ」
俺は駆け出そうとするが
「……っ」
突然、体勢を崩す柊を再び支えることで止まった
………ってまたかよ
というよりも…
「柊さん、どうかしたの?」
さすがに不思議に思い、柊さんに尋ねてみる
「あ、うん、実は……、足を捻っちゃったみたい…」
こういう状況下の突然の告白…
「………まじか…って、やっぱりそれって、さっきぶつかった時だよな」
「…そういうことになるかも」
またもや困ったような笑み
俺も罪悪感が沸いて来る
「え、お前ら、そんなことがあったの??」
戻ってきた湊が言う
「まぁな…さて、柊さんや、そなた、歩けはするかな?」
柊さんの方を見て尋ねる
「……ゆっくりなら大丈夫かも」
そうか、歩けるのならよかった
だったら俺がやるべきことは…
「湊、お前先に学校行って」
湊に向きなおし言う
「え、なんで?」
「俺、柊さんと一緒に行くから」
そうだ、この責任はちゃんと取らなければならない
「んで、なんで俺だけ先に行くの?フラグでもたてるん?」
「なわけあるか。お前が先に学校に行って、先生に報告しとくんだよ」
「あー、そういうこと」
「だから、頼むな」
「まぁ、いいけど…、旦那、ただとは言わせねぇぜ?」
また、これか…
「昼飯一回奢りくらいでいいだろ」
「まいどあり、んじゃ、行ってくるわ」
と、にかっと笑って湊は猛スピードで走って行った
「………さてと」
柊さんの方を見る
「俺たちも行こうか」
俺たちはゆっくり出発した