何もかも越えて
「俺はいいんだよ。お前は剣心の嫁だろお?」
「なっ・・・」
「ま、ま、薫。とにかく着替えてきたら?」
剣心は薫を寝室に向かわせた。
ぷりぷりして去っていく薫の姿を見送りながら、弥彦は剣心をこづいた。
「で?剣心、夕べはうまくいったのかよ?」
「おろ?弥彦にはまだ早いでござるよ」
「何だよー。俺だってもうオトナだぜ。夜の飛天御剣流出たのかよ?」
「弥彦、それは聞くまでもないでござるよ。奥義全開でござる」
「な・・・・」
剣心はすました顔で朝餉の支度に戻った。
(剣心のやつ・・・つきものが落ちたような顔してやがる・・・左之助が言っていたとおり、十年ぶりだったのか??)
弥彦は妙に楽しげな剣心を疑惑の眼差しで見つめていた。