貴音「あなた様は命よりも仕事のほうがだいじなのですか?」
P「突然だがおれはP。765プロという芸能事務所で働いているプロデューサーだ。」
P「昨日仕事から帰るときに転んで足を捻挫したので、念のため早退して病院にいったら…」
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医者「…考えられません。どうしてこうなるまで放っていたんですか」
P「え?俺の足、そんなに悪いんですか?」
医者「足、ではありません……正確には…肺、です」
P「は、肺?え、なんですか俺肺炎にでもなったんですか」
P「そんな症状今までぜんぜんなかったのになあ」
医者「……もし肺炎ならよかったのですが」
P「……え」
医者「はっきりいいます。あなたの体内にはガンが存在します」
医者「それもそこそこ成長して大きくなっています。初期症状があるはずなんですが」
P「…いや、ほんとに。今日までなんともなかったのに…うそでしょ?」
医者「冗談でこんなこといいませんよ。とにかく…このまま治療をつづけていくとして」
医者「完全に治療できる保障はありません。もちろん最善は尽くしますが」
P「……」
医者「すぐに入院の準備をしてください。」
P「いや、でも…一ヵ月後にライブがあって、その準備をしないと…」
医者「そんなこといってる場合じゃないんです、命にかかわる問題なんですよ?」
P「そんなことじゃないんです!…あの子達の今後にかかわる問題なんだ…」
医者「とはいっても……もし悪化すれば手術しても助かるかどうか…」
P「お願いします!あと一ヶ月でいいんです!ライブが終われば…」
医者「……」
P「お願い…します…俺のアイドル達の未来がかかってるんです…」
医者「…わかりました。どうやら無理やり入院させてもあなたは抜け出しかねませんし」
P「!…ありがとうございます」
医者「ただし、条件があります。1つは、こちらが出す薬を定時に服用すること」
医者「2つ、最低でも一週間に一度、こちらで診察を受けてください。」
医者「最後に、もし病状が悪化すればすぐにでも入院させます。これだけは医者として譲れません」
P「…わかりました」
医者「では、こちらが服用していただく薬になります。これが…」
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P(正直なところ、ガンだといわれても実感が無かった)
P(体はいつもとかわらないように見えたし、別に異常は無かった)
P(足の捻挫は3日ほどで完治したし)
P(そもそも何で捻挫で病院いったのにいきなりガンを宣告されなきゃならんのだ)
P(だから…そう、これはテレビ局とかのドッキリだと。そう思っていた)
P(翌日に検査に通えと言われたのも…きっと、そう、ドッキリのうちなんだ)
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ーガン宣告から1日目ー
P「おはようございまーす」ガチャ
小鳥「おはようございます、プロデューサーさん」
小鳥「足の怪我、どうだったんですか?」
P「ああ、なんともなかったです、ただの捻挫ですよ」
P「ただ、骨に問題あるかもしれないんで、今日も病院よってきます」
P(俺は、音無さんに嘘を…ついた)
P(皆には知られたくない、なんてカッコイイもんじゃない)
P(ただライブを成功させるためには入院するわけにはいかない)
P(そう、これは俺の我が儘だ。自己中な自分に嫌気がさすが、それは昨日に始まったことだ)
小鳥「骨に問題って…今日出勤してよかったんですか?」
P(あ、しまった)
P「あはは、ただ念のための検査なんで、大丈夫ですよ。問題ないです」
P(普段と変わらぬ音無さんの様子を見て、俺は少しずつガン宣告がドッキリでないことを疑い始めていた)
P(いや、認めたくなかっただけなのかもしれない。自分が最悪あと半年の命だなんて…)
P(今の科学は進歩している。きっと一ヶ月くらい無理しても、大丈夫さ)
「おはようございまーす」
P「お、みんなも来たか」
ガヤガヤ
P「よーし、みんな傾注!」
亜美「なになに兄ちゃん、けいチュウ?」
真美「えー、兄ちゃんがKとチュウ?」
亜美「Kってことは、だれだだれだー?かきくけこ…もしかしてピヨちゃん!?」
真美「うええ→それってちょ→やばくない?」
律子「こら亜美真美、ちゃかさないの!話を聞きなさいってことよ」
亜美真美「な→るほど→!」
P「あー、オホン。皆も知ってのとおり、765プロ総がかりでやるライブまであと一ヶ月を切った」
P「まだほかの仕事がたくさんあるとはいえ、ライブの練習をおろそかにするわけにはいかない」
P「もちろん全体練習をする時間は俺と律子と音無さんでなんとか調整する」
P「だから皆は安心して今の仕事を頑張ってほしい」
P「そして、体調には十分気をつけるように!アイドルは体が資本だからな!」
P「まあかくいう俺も昨日足を捻挫しちゃったわけだが、皆は俺みたいにならないように!」
春香「プロデューサーさん、大丈夫だったんですか?」
P「ああ、一応検査で今日は早めにかえるけどな、心配ないよ。だから春香も体調に気をつけてな」
春香「プロデューサーさん、わかってますよ!大丈夫です!」
千早「プロデューサーの口癖ですものね」
真「口がすっぱくなるほど言ってたもんね」
雪歩「でもでも、それが一番だいじだよね…」
響「自分は完璧だから体調管理もバッチリさー!」
美希「美希も今日は12時間ねたから大丈夫ってカンジかな」
あずさ「あらあら〜忙しくてもしっかり睡眠をとるなんてえらいわね〜」
伊織「美希の場合、時間があれば寝てるだけだけどね」
美希「そういうデコちゃんはしっかり寝ないとまたおでこが後退しちゃうの」
伊織「なんですって!」
やよい「ああっ、ケンカはだめですー!」
律子「そうよー、一ヶ月っていっても時間は無いんだから!」
小鳥「たぶんスケジュールの合間合間にレッスンをいれることになるから、皆今日から忙しくなると思うけど」
小鳥「私もしっかりサポートするから、頑張ってね!」
P(はは、ガンになっちまった俺がみんなに体調管理しろってか…笑えないな)
P(だが、怪我や病気になるのは俺ひとりで十分だ。プロデューサーなんてのは代わりがきくが)
P(アイドルはそうはいかないからな…)
貴音「…あなた様?」
P「ん、ああ。すまんな考え事してた」
P「えーと、そういうことだ。じゃあ解散!」
P「今日のスケジュールは、春香と千早が歌番組、美希と響と貴音がグラビア撮影」
春香千早「「はい!」」
美貴響「「はい(さい)(なの)!」」
P「あとは真美とやよいがCM撮影、雪歩と真が雑誌取材だな」
真美やよい「「はーい!」」
雪歩真「「はい!」」
律子「で、竜宮小町はミニライブよ。今日の出来で今度のライブにも影響するからしっかりね」
伊織「大丈夫よ、まかせなさい」