貴音「あなた様は命よりも仕事のほうがだいじなのですか？」
亜美「んっふっふ〜、亜美をあなどってもらっちゃ困りますな〜」
あずさ「うふふ、頑張りましょうね〜」
Ｐ「と、こんなもんか。うーん、全体レッスンは明後日になりそうかなあ…」
Ｐ「あー、でもここにこの仕事をいれて…そうなると代わりの日が…」
小鳥（プロデューサーさん手帳をみながらいろいろ考えてる…）
小鳥（きっとプロデューサーさんもみんなと同じくらい…いえ、それ以上に大変なのね）
小鳥（よくみれば目の下にくまがあるし…睡眠はとってるのかしら）
響「貴音！今日は忙しいけどがんばるさー！」
貴音「……」
響「…貴音？どうしたんだ？」
貴音「！…いえ、なんでもありませんよ。響」
響「そうかー。貴音のことだからお昼のこと考えてたのか？」
貴音「そうですね…そういうことにしておきます。ふふ」
響「？とにかく頑張るさー」
美希「ねーねーハニー！今日の撮影が終わったら一緒にお買い物いこっ！」
Ｐ「…！すまん、聞いてなかった。美希、なんていった？」
美希「もー！ハニーは仕事のこと考えすぎなの！もうすこし力抜いたほうがいいって思うな」
Ｐ「ああ、すまんすまん。ただ今日俺用事があってな」
美希「えー。それって美希とのデートよりダイジなもの？」
Ｐ「デートって…お前な」
貴音「美希、あんまり無茶を言ってはいけませんよ。皆らいぶを前にして忙しいのですから」
美希「でも美希デートにいったらもっと頑張れるっておもうな」
貴音「ぷろでゅうさあは怪我をしたばかりですから、我慢するのです」
美希「うう…それを言われるとしかたないの。ライブが終わるまで我慢するの」
Ｐ「ほっ。ありがとな、貴音」
貴音「あなた様」
Ｐ「なんだ？」
貴音「足がなんともないというのはまことなのですか？」ﾎﾞｿｯ
Ｐ「！…どうしてだ？俺は今ピンピンしてるじゃないか」
貴音「いえ…先ほど表情がいささか暗かったもので。つい…」
Ｐ「はは、貴音には隠し事できないな。もしかしたら骨に異常が…ってだけだよ」
貴音「それでは尚のこと、今日はお休みになったほうが…」
Ｐ「大丈夫だって。今休んでたらライブに間に合わないよ。ほんとなら病院にいきたくないのに」
貴音「それはいけません！しっかりと診て貰わなくては」
Ｐ「うん、だから今日は迎えにはいけないかもしれないが、みんなのこと頼むな」
貴音「…はい。承知いたしました」
Ｐ「うん、それじゃー方向一緒なやつは送っていくから準備しろよー」
アイドル「はーい！」
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Ｐ（あのあとアイドル達を送り届けた後、ライブスタッフと打ち合わせをして）
Ｐ（テレビ番組の企画の確認と要望を送って、レッスンの予定表をつくって）
Ｐ（俺が病院に行ったのは、夕方１８時をすぎてからだった）
Ｐ（診察時間ギリギリだと怒られたな。ははは）
Ｐ（そして…体内レントゲンや血液検査…いろいろ検査した結果）
Ｐ（俺がガンであることが確定した）
Ｐ（話に聞くのと自分で結果をみるのとはぜんぜん違った）
Ｐ（俺の体内には、爆弾があるのだと…そう思わざるを得なかった）
Ｐ（そして医者には再度入院を勧められたが…もちろん俺は断った）
Ｐ（ライブを成功させなくては…それしか俺の頭には無かった）
Ｐ（現状で言うとアイドル達の人気はかなりあがった。テレビをつけるとほんとに誰かが映っているし）
Ｐ（電車や街の広告で彼女達を見ない日はない）
Ｐ（ただ…だからこそ、皆にはこのライブを大事にしてほしい）
Ｐ（アイドルはテレビに映るのだけが、テレビで歌うのだけが仕事じゃない）
Ｐ（まだ無名だった頃から続けてきた年１回の全員でのライブ…それだけは必ず行ってきた）
Ｐ（ファンがいて、いるからこそアイドルでいられるという気持ちだけは皆におぼえていてほしい）
Ｐ（そんな社長の考えに俺も同意し、力を入れてきた）
Ｐ（今年で３回目だ。去年よりも大きい会場で、去年よりもっと多い観客の前で歌うんだ…）
Ｐ（みんなの気持ちも俺と同じであってくれればいいのだが…）
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ーガン宣告から２日目ー
Ｐ（俺は今朝、４時に起きた）
Ｐ（起きたというよりは、強烈な吐き気に起こされたというべきか）
Ｐ（そして今……血に染まった洗面台をながめている…）
Ｐ（昨日医者がいってた初期症状ってのはこれのことか…？）
Ｐ（いや、初期どころじゃないのかもな…へたすりゃ末期か）
Ｐ「あはははは…はっはっはっはっは」
Ｐ「遺言でも考えとこうかな…」
Ｐ（どうして…こんなことに…）
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Ｐ「おはようございます」ガチャ
小鳥「おはようございます、プロデューサーさん」
Ｐ「おはようございます」
小鳥「昨日、ちゃんと病院にはいきましたか？」
Ｐ「ええ、なんとか。診察時間ギリギリでしたけど」
小鳥「で、どうだったんですか？足の具合は」
Ｐ「ああ、なんともなかったです。激しい運動さえしなければ特に問題無しってことで」
小鳥「そうですか。それはなによりです」
Ｐ「ほんとにね。あと一ヶ月きったんですし、気合入れてかないと」
「「おはようございまーす」」
Ｐ「お、みんなもおはよう」
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Ｐ（その後はなんともなかったように思えた）
Ｐ（ただ、食欲どころかなにか口に入れた瞬間吐いてしまうので食べ物はほとんど口にできなかった）
Ｐ（医者に渡された抗がん剤のせいか、体重は５キロ落ちて、顔もみすぼらしくなった）
Ｐ（一日数回トイレに駆け込んで血の混じった胃液を嘔吐してはゼリーや水だけを飲む）
Ｐ（そんな日が３日もつづいたころ）
春香「プロデューサーさん？」
Ｐ「ん、どうした春香」
春香「あの…ちゃんと寝てますか？顔色すっごく悪いです」
Ｐ「あ、ああ大丈夫だって。俺は鉄人だからな！」
春香「…はい。でもほんとに気をつけてくださいね…」
春香「もしプロデューサーさんが倒れたりしたら…私…」
Ｐ「…大丈夫だ。俺は病気にまけたりなんかしない」
春香「…えっ…？」
Ｐ「さー！仕事だ仕事！春香、車でいくから準備しとけよ！俺は車回してくる」ﾊﾞﾀﾝ
春香「プロデューサーさん…いや、でもそんな…大丈夫だよね」
（トイレの中）
Ｐ「ゴホッ、ガハッ、ガフッ……はぁ…はぁ」
Ｐ（くそ…これから撮影ででかけるってのに…っ）
Ｐ（もってくれよ、俺の体…）
Ｐ（ははは…漫画みたいだな…漫画ならよかったのに…）
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千早「プロデューサー、お忙しいところ少しいいですか？」
Ｐ「ん、どうした千早」
千早「この曲のここなんですが…」