灰色
手を濡らす雫
(夏生side)
中学2年の秋から、私のお隣はずっとずっと緑色の髪をしたバスケ少年だった。
いつからか好きになってしまって、どうしようもない胸の痛みに耐え難かったのは、今だってそう。
「別れて欲しい」なんて彼に言わせてしまう程、私は最低な女だったのかと心底落ち込んだ。
好きだった、大好きだった彼と別れたくなんかないけれど、未練がましい女と思われて余計嫌われるのも怖くて。
だから嗚咽が出そうな喉の詰まりに気づかれないよう「分かった」と呟いて押し黙る。
本当は聞きたくて聞きたくて、仕方なかった事も聞けず仕舞い。
『どうして?何で?何がいけなかったの?』
繰り返して繰り返して、自問自答、他者他釈してみてもダメで声が涙が出そうになった。
強がってみたけれど辛くて悲しくて胸が抉られそうで
ねえ私の何がいけなかったの?
直すから、すぐには直らないかもしれないけれど、時間をかけてゆっくりと。
辛いよ悲しいよ泣きたいよ、でも泣けないの。
涙がカラカラに脱水してしまって一滴も出ないの。
嗚咽だけが辛いくらい悲しいくらい沢山でるんだよ
慎太郎
すきなのに別れるってとっても辛いね
違う、慎太郎はもう私のことなんか、好きじゃないんだった。
ポトリと、たくさんの雫が高尾くんの暖かい手を濡らした―。