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【銀魂】短文まとめ【CPなし】

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【鬼兵隊の一人のママ(仮)】2007.12.14

―血で汚れた俺の手には
その命は綺麗すぎた―

「…………」
「高杉サン?」
「………なぁ、」
「はい?」
「武市…何のつもりだ?」
「何のつもりって…」
「何でここに……………赤ん坊がいるんだ…?」
「可愛いでしょう?」
武市は両手に大切そうに赤ん坊を抱えていた。
「隠し子か?」
「違いますよ。船の前にこの子が置き去りになってたんです。…はっ…もしかして高杉サンの隠し子…?」
「……覚えがねぇ…」
「晋助、隠さなくても良いでござるよ。誰にだってそんな夜は…」
「だから違…」
「し…晋助様…」
「違…」
「…と、いうより…高杉サン、子供嫌いなんですか?」
「……」
「何言ってるッスか?!晋助様は、子供が嫌い、そんなキャラクターじゃないッスか!」
「キャラクターでござるか…」
「……」
「でも…たしかに可愛いッスね。赤ん坊…。あ、いや…でも晋助様が嫌いなら私も嫌いッス!」
「……」
「晋助…?」
「高杉サン、どうです?親が見つかるまで、預かりません?」
「……反対だ…。」
「え…。」
「…どうして俺らが…」
ほげぁぁぁぁ…
「………」
「晋助様ァ…少しだけ…少しだけッス…預かってみるのはどうッスか?」
「晋助、侍には刀を振ること以外にも大切なことはあるでござるよ。」
「高杉サン、こんな小さな子を放り出すんですか?」
「………」
「晋助様ァ…」
「晋助…」
「…………」
「「晋助(様ァ)…」」
三人の視線は高杉に集中している。
「チッ…仕方ねぇ…親が見つかるまで、この船に置くことを認め…」
「高杉サン!!!!」
「晋助様ァァァ!!!!」
「晋助!!!!」
高杉は少しぎこちなく微笑んだ。
「そのかわり、世話はお前らが…」
「じゃあ、晋助様、私はちょっくら仕事してくるッス!」
「拙者も新曲を…」
「私は書類をまとめてきます。」
「おい…」
「あとで粉ミルク買ってくるッス!」
「ミルクは人肌の温度でござるよ、晋助!」
「高杉サン、少しこの子を預かっていてください。」「ちょっ…待…」
武市はそう言って高杉に赤ん坊を手渡すと、自室に入ってしまった。
「…………」
「…頑張れよィ…」
離れた場所で見ていた似蔵もどこかへ行ってしまった。
「…………」

こうして、高杉晋助の奇妙な子育てが始まった…―

…船の甲板に立っているのは、左目を包帯で隠している、細身の男性。
彼の瞳は、獣のよう…
なのに背中には
赤ん坊が
すやすやと
眠っている。
「フーッ…」
高杉は煙管をくわえ、「どうすべきか」を一生懸命考えていた。
「晋助様、粉ミルク買ってきたッス!」
鬼兵隊の紅一点、来島また子が重そうにスーパーの袋を手に駆けてきた。
「あぁ…っと、来島、この赤ん坊を任せ…」
「ほぉんっと可愛いッスね!じゃあ、お世話頑張ってくださいッ!ではっ!」
「……来島?」
また子は高杉の言葉も聞かず、さっさと次の仕事へ向かっていった。
「……」
「晋助。」
今度は河上万斉がやってきた。彼がいつも着けているヘッドホンからは微かに音楽が漏れている。
「万斉、」
高杉は、丁度いい、と思い、万斉に赤ん坊を手渡した。
「んー。可愛いでござるなぁ。晋助の隠し子とは思えぬでござるよ。」
「隠し子じゃねェ。」
「そうだ、英才教育を受けさせるでござるよ、晋助。」
「は…?」
「この子、輝きますよ…私が保障します。」
いつの間にか武市が後ろに立っていた。
「あぼぅ」
「ほら、この子も何かやりたいって言ってるでござるよ。」
「違ェだろ…」
「むむっ!結構端正な顔立ちじゃないですか。」
武市が赤ん坊の頬に触れると、赤ん坊がぐずりだした。
「…ん?そうか、晋助でいいでござるか……晋助、拙者はこれからお通殿と打ち合わせをしてくるでござる。」
そう言うと、高杉に赤ん坊を手渡し、船の出口へ向かっていってしまった。
「じゃあ、高杉サン、私も行きますね。」
武市まで去っていってしまった。
「…………」
高杉の腕の中に戻った赤ん坊は、再びすやすやと寝息をたて始めた。
「………」
―温けェ…
今までは斬ることでしか"人間"を感じることができなかった。
でも今は確かな温もりを感じる。
生きている"人間"の温もり。
「ククッ…赤ん坊もなかなか可愛いじゃねぇか…」
―キィィィ…
後ろの扉が開く音がした。
「!!!!誰だ?!!!」
「あ…」
「う…」
「む…」
「……」
扉の陰から、また子、万斉、武市、似蔵が覗いていた。
「あっ…晋助様、あの、別にずっと見てたとかじゃなくて…」
「そ…そうでござるよ。"可愛い"とか聞いてないでござるよ!!!!」
「高杉サンが実は小さい子供が好きなんじゃないか、とか思ってませんよ?」
「…フ…」
似蔵以外の三人の額からは、不審なくらいの汗が流れていた。
「…………」
「しっ…晋助さ…」
「ちょいと外へでも行ってくるかねィ…コレを試したい…」
似蔵の手には刀が握られていた。
刀の名は、「紅桜」。
「あ…あァ。行ってこい。」
「それと…そろそろ、飯の時間じゃねェかィ?」
「何を言っている。さっき食べただろ…」
「ゔー」
赤ん坊がまたぐずり始めた。
「…そうか……オイ、また子、」
「はっ…なんスか?」
「…ミルクを作ってこい。」
「は…はいッ!」
「人肌の温度だ…」

―血で汚れた俺の手で
こんな命と触れていいのか?
そう考えてしまう
でも、今はとりあえず
この手の温もりを大切に―