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【銀魂】短文まとめ【CPなし】

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【おめでとうぎんときくん】2008.10.10


「オイ、これは何だ?」

―――――

数時間前、昼寝をしていたら電話のベルに起こされた。
なんだかイラッとしながらも「はい、もしもし」なんて出たのが間違いだった。
「銀時、今すぐ駅前のでにぃずに来てくれ。」
受話器から聞こえてきたのは、長髪の旧友の声。
迷わず叩くように受話器を置くと、再び電話が鳴る。
面倒事に巻き込まれるのはごめんだと無視を決め込んでいると、万事屋の扉が開く。
『鍵はさっき閉めたはずだ、どうせ新八だろう、昼寝の邪魔しに来やがって。』
そう心の中でぼやいてチラッと玄関を向くと、長髪とペンギンお化けが立っていた。
「オイ、新八、お前そんなに髪長かったか?ん?ヅラか?」
「ヅラじゃない桂だ。」
おかしい。幻覚の次は幻聴か。
疲れているんだと自分に言い聞かせて目を閉じると、体がふわりと浮く感覚がした。
ついに俺にもお迎えが来たのか。
さようなら、皆。
墓前には甘いものをたくさんよろしくな。
「何を言っているんだ、銀時。だからお前は天パなんだ。」
恐る恐る目を開けて右斜め上を見るとペンギンのみたいなくちばしが見えた。
そして脇から腹にかけて、白い何かが巻き付いていた。
「エリザベス、重くないか?」
ヅラがペンギンお化けに語りかけると、そいつは『大丈夫です』とメッセージボードを上げる。
そうこうしている内に、何やら古ぼけた一軒家に着いた。
だが俺は未だにペンギンお化けの小脇に抱えられたままで、そのままミシミシと音を立てる階段を上り、俺の足がようやく踏めたのは、古い和室の畳の上だった。
それからすぐ、机の前に座らされ、何やら帽子のようなものを被せられ、それからペンギンお化けが『逃げるな』と言うように、俺の後ろに仁王立ちをした。
「銀時、ちょっと待ってろ…おーい、銀時来たぞ。」
ヅラがそう叫ぶと、スパーンという音を鳴らしながらふすまが開いた。

「金時ィィィ!!!!!久しぶりじゃのォォォ!」
そしてふすまの向こうから出てきたのは、モジャモジャ頭の男と…
「よォ」
左目を包帯で隠した男だった。
「…高杉…てめェ…!」
高杉とはあの時、紅桜の事件の時、決別したはずだ。
腰にさした木刀に手を伸ばそうとするも、腰の左側を探しても何も見当たらない。
「落ち着けー、金時。今日は祝いに来たんじゃー。」
「は?祝い?」
能天気なモジャモジャの口調に、肩の力が急に抜けた。
「まだ分からんのか」
「はァ?」
わけがわからずかつて共に戦った三人を順番に見ると、三人は何のためらいもなく、俺が座らせられた机の周りに座った。
「今日は10月10日だ。」

10月10日……
何かあったか?
えーっと…目の日?
「貴様っ、まさか自分の誕生日を忘れたのか?!」
ヅラがバシーンと机を叩く。
大丈夫か?コイツ。
「んなもん…」
「銀時、誕生日だぞ、バースデーだぞ!特別な日、バースデー!一年に一度のバースデー!ハッピハッピバースデーだぞ、銀時ィィィ!」
またバシンバシンと机を叩く。そろそろ机が可哀想だ。
「オイ、ヅラァ、俺ァ祭があるってから来たんだぜ。…どこが祭だ。」
明らかに不満そうに高杉がぼやく。
「高杉ィー、金時は照れとるんじゃー、ほっといてやるきに」
モジャモジャはそういうと、机の上にある唐揚げを食べ始めた。
「じゃあ始めるぞ。」

何を?とツッこむ間もなく、おもむろにヅラが立ち上がり、まだ何も入っていないコップを掲げる。
「2008年、坂田銀時君誕生日会ィィィ!パフパフ!」
パチパチ、と坂本だけが拍手をする。
そして勧められるまま、唐揚げをひたすら食べる。たまに坂本が喋る。
そんなこんなで俺の誕生日会は進んでいった。

そして今、俺の目の前にはヅラから貰った大きな紙袋と、坂本から貰った何やら高級そうな小さな紙袋、そして高杉からのやや大きめの白い箱が置いてある。
「…何だ?これは。」
「皆からのプレゼントだ。まぁ、とにかく開けてみろ。」
ヅラに言われるまま、まずは大きな紙袋をガサゴソとあさる。
布っぽいものに触れたのでゆっくりと引っ張り出すと、趣味が悪いGジャンが出てきた。
「欲しがっていただろう?」
「いや別に…」
そう言うとヅラは「また照れちゃってー」とか言いながらつついてくる。気持ち悪いからやめろ。
次に小さな紙袋を探る。
そして中にあったものを掴んで袋の外に出すと、それは大量の紙の束だった。
「…辰馬、これァ何だ?」
「んっ?あー、それは手紙じゃ。」
「は?」
束になっている一番表の紙を引き出して読むと、紙の一番上には『金時君へ』と書かれている。
「心を込めてかいたきに、じっくり一人で読んでのー。」
「辰馬。」
「ん?」
「…俺ァ銀時だ。金はマズイだろーがァァァァ!」
なかなか名前を覚えようとしないモジャモジャ頭を何回か殴り、もう一度、プレゼントが並べられた机に向かう。
「で、高杉。これァ何だ?」
正方形の白い箱。
俺の好きなアレに似ている気もするが、気のせいだろう。
なんだか甘い匂いがするが、気のせいだろう。
この男に限ってそんな…
「ククッ…見りゃ分かるだろう………ケーキだ。」
…やはり俺はもうダメかもしれない。
また幻聴だ。
「自信作だ。開けてみろ。」
「自信作?なんのことだ?」
「だからケー…」
昔馴染みのそいつには似合わぬ言葉が聞こえたのでそれを否定したいがために白い箱を開く。
そこに入っていたのは、やはりケーキだった。
真っ白な生クリーム、真っ赤な苺、そして真ん中のチョコプレートには『ぎんときくんへ』と汚い字で書いてあった。
「ククッ…最近ケーキ作りにハマっててよ……見た目は汚ねェが味は保証するぜ…。」
どこをツッこめばいいか分からずに苦笑いすると、高杉もなんだか気持ち悪い笑みを返してきた。
この三人に会うと、どうしても昔のことを思い出してしまうと思った。
たくさんの仲間を失った、あの戦争を思い出して辛くなってしまうと思った。
だから、もう会いたくなかった。
いや、会えないと思っていた。
だけど時は確実に流れていて。
やっぱりあの頃の思いを全て忘れることは出来ない、しちゃいけないと思うけど…―

「…ありがとうな」
とにかく今日は、こいつらに会えて良かった…と思いました。
アレ、作文?